アメリカテキサス州の知事は商業目的のメキシコからのトラックの検査を厳しくするとした。その決定にトラックドライバーは反発しデモが発生した。米政府によるとトラックが国境を通過するのに他の国境地点より5時間以上増え、トラックの通行は6割減った。大統領報道官は全米での物価上昇などにつなげるとし、批判している。メキシコ側も両国の商業の流れに支障をきたすと反発している。この停滞が長引けば、米国のインフレ圧力が高まるとされている。
2022/04/15 日本経済新聞 12面
アメリカテキサス州の知事は商業目的のメキシコからのトラックの検査を厳しくするとした。その決定にトラックドライバーは反発しデモが発生した。米政府によるとトラックが国境を通過するのに他の国境地点より5時間以上増え、トラックの通行は6割減った。大統領報道官は全米での物価上昇などにつなげるとし、批判している。メキシコ側も両国の商業の流れに支障をきたすと反発している。この停滞が長引けば、米国のインフレ圧力が高まるとされている。
2022/04/15 日本経済新聞 12面
日立製作所は給与を減らさずに週休3日制度を新しく導入する。1日3.75時間と言う勤務時間の加減を撤廃し、働く日を従業員が選びやすくする。今までは、勤務日の減少とともに賃金も減っていたが、日立の場合、勤務日の労働時間を増やすことで総労働時間、賃金共に維持する。政府も経済財政運営の基本方針に選択的週休3日の促進を入れた。これに伴い、成果で評価するような仕組みの整備が企業に求められ、労働時間を基準としてきた日本企業がその働き方を変えられるかが課題となっている。
2022/4/12 日本経済新聞 1面

ゼミ長 野村陽菜
副(会計) 水谷舞子
副(合宿) 坂元 優
副(合宿) 樋口 廉
副(宴会) 関口颯斗
副(入ゼミ)奥田雅則
副(その他)大橋勇輝
コロナ禍を契機に日本でもDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性と遅れを意識するようになったが、残念ながら世界デジタル競争力ランキング2021では31位と、G7では最下位となってしまっている。DXは単なる業務効率化だけでなく、企業文化変革であり、企業として迅速に変わり続ける力がなければ敗者となることが経産省のレポートでも警告されている。
卒業論文では日本の製造業に焦点を当て、DXで企業文化変革に成功した企業の事例なども交えながら日本企業が生き残る為に必要なことについて論じていきたい。
近年人々の価値観が所有から利用に変わる中でシェアリングエコノミーサービスは私達の生活に欠かせないものとなってきている。車・衣服・高級品・スペース・スキルなど様々な分野でそのサービスが担う役割が大きくなっている。
このサービスを支えているのがレーティング(評価)制度である。多数の個人の経験や評判などの多様な情報を共有し、相互評価することによって、自分にとって未知の相手のつながりの可能性を広げている。その一方で現状のレーティング(評価)だけでは相手を信頼することができないと示唆する事例も出てきた。悲惨な事件に繫がる事例もあり、社会問題の1つになっている。この問題の解決策として信用スコアが活用できると考える。信用スコアを活用し、より取引相手の能力を可視化することで、取引間でより信頼しあえる状態が構築できると考えるからだ。
本論文はシェアリングエコノミーサービスの現状を第一章で述べ、第二章で信用スコアの特徴・事例を紹介する。第三章では信用スコアがシェアリングエコノミーにおいてどのような役割を担うことができるかを考察していく。
2019年度の国内シェアリングエコノミーサービス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比128.2%の1,132億円であった。(図1参照)
さらにその市場規模では2024年には1800億円を超えると予測されている。このことからもシェアリングエコノミーサービスは私達の生活に浸透して行くだろうと予測できる。
シェアリングエコノミーサービスは登場初期からその利便性の高さに注目が集まってきた。人々の価値観が“所有”から“利用”へと変わりつつあり、それに伴って消費行動も変化し始めている。それに伴って「Airbnb」に代表される場所・空間、「Uber」に代表されるように移動手段、「クラウドワークス」に代表されるスキルや労働力といったあらゆる分野でシェアリングエコノミーサービスが発展している。このような状況を踏まえると市場規模の拡大が示す通り、シェアリングエコノミーサービスはまさに時代に応じたサービスであると言えるだろう。しかし課題も少なくはない。その最たるものとして「利用者が信頼性とトラブル時の対応に不安を抱えている」ことが挙げられる(図2参照)。シェアリングエコノミーサービスは全くの他人同士が取引しようとする場合、サービスの提供者とユーザーをマッチングさせる仕組みを利用することが多い。この仕組を提供する企業はあくまで「場」を提供しているだけであり、そこで提供されるサービスの品質の保証や、そこで生じた損害に対する責任は、提供者が負うべきであると主張する。このようなことが起こっているため結果に対する責任と損害に対して補償する主体が曖昧な点は社会的に大きな問題となりうる危険性を孕んでいる。
(PWC国内シェアリングエコノミーに対する意識調査より作成)
前述した危険性が事件となって表面化した事例を2つ紹介する。1つ目はカラマズー事件だ。2016年アメリカミシガン州のカラマズー郡でウーバーのドライバーによる銃乱射事件が起こった。
この6人が殺害され2人が重症を負った事件後ウーバーはドライバーの適性と安全性の見極めについて厳しく追求をうけることになった。しかしウーバーは「このドライバーのレーティングは5点中4.72点であり経歴照会にも合格していた」と証言し事件の予測は不可能であったとして責任はないと主張した。
2つ目はAirbnbで起きた銃乱射事件だ。2019年米Airbnb経由でレンタルされたカリフォルニア州コントラコスタ郡の閑静な高級住宅街オリンダの邸宅で5人が死亡する銃乱射事件が起きた。この事件によってAirbnbは大人数が集まるパーティハウスの禁止を発表した。これも従来のAirbnbのレーティング制度では適正なホストと判断されたため大きな問題となり、Airbnbはセキュリティ強化の対応に追われることとなった。
この2つの事件についての一連の流れはレーティング制度の限界を示している。レーティングだけでは相手を信頼するには不十分であり、シェアリングエコノミーサービスのようにプラットフォームを介する取引にはより強固な信用を保証する仕組みが必要であるとこの事件は世界に知らしめた。
信用スコアとはそれぞれ個人の持つ信用力(どのくらい契約を確実に履行するか、債務を返済するか、道徳的に正しいとされる行為を選択するかといった要素)を可視化し、一定の数値として示したものだ。
多くの信用スコアサービスはFICOスコアが源流となっている。FICOスコアとはアメリカ・フェア・アイザック社が提供するクレジットスコアである。過去の返済履歴や借入残高などから住宅ローンやクレジットカードなど金融機関などで融資を受ける時の審査基準として使われる。最もウエイトが大きいのは返済履歴(35%)と借入残高・利用率(30%)で、この他に、信用履歴の長さ(15%)、利用しているクレジットの種類・構成と新規クレジットがともに10%である。性別や年齢、住所、収入、勤務先などの個人情報は使われない。クレジットスコアが高い場合カードの種類のランクアップ、金利やポイントが優遇されるといった各種金融サービスが受けられることがメリットである。クレジットスコアが金融機関の融資周りでしか使われないのに対して、これから紹介する信用スコアサービスは社会全体のあらゆる分野を巻き込みサービスを提供している。
アリババグループであるアント・フィナンシャル社が提供するサービスでアリペイ付帯機能として2015年に開始した。「1.身分特質(年齢、学歴、職業など)」「2.履行能力(過去の支払い状況や資産など)」「3.信用歴史(クレジットの利用履歴など)」「4.人脈関係(資金のやり取りに基づく交友関係や相手の信用状況など)」「5.行為偏好(消費や購買の傾向など)」の基準により、350~950点のスコア付がされる。このスコアが高いほど低金利で融資を受けることができたり、サービス利用時のデポジット(保証金)が免除になったり、出国手続きが簡素化されたりという優遇を受けられる。
みずほ銀行とソフトバンクの合弁会社であるJ.Socre社が運営するものでAIを使って個人の返済能力を診断し融資を決定するサービスだ。年齢や職業、年収といった信用情報に加え、自分の性格や趣味嗜好、人脈を質問に答える形で回答していく。それがAIスコアとして点数化され、貸付利率や貸付限度額といった融資の条件が提示される仕組みとなっている。そして融資を受けないとしても提携企業のサービス優待を受けることができる。
この信用スコアは既存のクレジットスコアの理不尽さの解消を目的として作られた。オンラインインタビュー形式で、財務状況、ライフスタイル、専門性のデータを取得し、各ユーザーの将来性を予測することで、今まで融資を受けられなかった人にも、融資のチャンスを提供する。クレジットスコアのように単純な取引履歴を見るのではなく、ライフスタイルや専門性から今後その人が稼ぐ能力があるのか・稼ごうとする意志を継続できるのかを予測し評価している。
スマートフォンから1分以内に1万件以上のデータポイントを収集して、その持ち主の返済能力と返済意志を測ることができる信用スコアサービスだ。テキストメッセージ・通話履歴・商業的な取引・アプリの利用履歴といったデータからユーザーの行動面に注目をする。例えばテキストメッセージ・通話履歴から人脈の広さを測ることができる。クレジットヒストリーを持たない人に対してスマートフォンのデータという新たな活路を見出したことによりアフリカで大きな支持を得ている。
事例の通り様々な信用スコアがある一方で、国によって信用スコアの普及度はまちまちである。中国の芝麻信用が社会サービス全体に影響持ち始めている一方で日本やヨーロッパなどは金融関係のみでの活用に留まっている。これはデータ利用に対する国民性が表れている。中国人はプライバシーがないがしろにされる怒りや不安より、芝麻信用に付随したサービスによってもたらされる利便性を重視する傾向にあると言われている。これは長い間共産党の一党独裁政治のもとで生活しているために、自由や平等という概念や民主主義の基本的な価値観であるプライバシーの尊重といった意識が希薄であるといった政治的背景もあるだろう。一方ヨーロッパや日本ではプライバシーに関するデータを企業に使われることに抵抗感を持つのが一般的な考え方である。特にヨーロッパではデジタル時代に対応した個人情報保護法整備が進んでいる。その一例であるGDPR(EU一般データ保護規則)は個人識別につながる情報が保護対象となっている。
上記のような現状から信用スコアの課題はデータ収集面とデータ活用面に分類できる。データ収集面ではプライバシー保護に対する課題だ。ユーザーからするとプライバシーに関するデータを勝手に使われることに対する否定反応がでるのは当然である。
データ利用面では2つ課題が存在する。1つ目は監視社会が到来し、行動を制限される課題だ。信用スコアのアルゴリズムは利用者が知ることはない。そのためよくわからないシステムによって行動が評価され、それが何らかの形で自分に利害を及ぼすことになる。つまり大人しく従っていた方がより恩恵を受けることができるためみんなが自発的に従う状況が生まれる。結果として行動評価のブラックボックス化は実質的な行動制限を生み出してしまう可能性がある。2つ目はバーチャルスラムを生み出す課題があることだ。バーチャルスラムとは信用システムにおいて一度低い評価をされると、負のスパイラルに陥ってしまいそこから抜け出せなくなることである。例えば一度借金をすると信用力が落ち、信用力が落ちると就職も失敗するかもしれない。就職に失敗するとアルバイトとして低賃金の職で食いつないでいく。信用スコアが悪いとこういった負のスパイラルが生まれてしまう危険性が存在する。
第3章では2章で述べた信用スコアの課題の解決策とシェアリングエコノミーにどのように組み込むかを述べていく。
データ収集面での課題に対する解決策としてはシェアリングエコノミーサービスのプラットフォーム運営者が個人に対して明示的な許諾を取り、ユーザー目線の丁寧なコミュニケーションを行っていくべきだと考える。プラットフォーム上において自分たちの格付けやデータが本人の許可を得て正しく使われることがしっかり担保できるような、信頼できるコミュニケーションが必要となってくる。
データ利用面での解決策はアルゴリズムを開示することである。前述したアルゴリズムがフラックボックスになっていることが影響して自分のどの行動が信用力のスコアを上げたり下げたりしているのか分からなくなるので、自己改善が現状ではできない。データ利用面の課題を解消するには信用スコアの評価形態を運営者は開示して、スコア変動の明確な基準を利用者に提示することが必要となるだろう。信用スコアが人生に大きな影響を与える存在になるならば、スコアの基準を明らかにして評価形態の不透明性をなくすことが利用者の過剰な恐怖心を減らすことに繋がる。
信用スコアをシェアリングエコノミーサービスの取引に活用するべきと考える。プラットフォーム上で取引をする際に他人との信用度を測る物差しとして使うのだ。第1章で指摘した通り現行のレーティング制度ではシェアリングエコノミーサービスのプラットフォーム上における取引相手への信用度を測る物差しは不十分である。レーティングはあくまで同じプラットフォームを使ったもの同士による判断である。時に多くの人が見るサイトではいいレーティングを残さなければならないプレッシャーが存在する。Uberでは危険運転したドライバーでも住所を知っているため低評価をつけにくい。本名でも匿名でも人は報復を恐れ、自分たちの親切に相手が報いてくれることを望む。つまりレーティングが評価インフレを起こしているということである。カラマズー事件の加害者のレーティング評価が高かった理由はこの点にもあるかもしれない。レーティングの限界点は評価者の間に明確な基準がないため正確に人を評価できず、時に悲惨な事態が発生してしまう。一方信用スコアは多面的な要素から信用度をAIというテクノロジーが合理的な数値を弾き出す。信用スコアが従来の仕組みと違うのは人脈・趣味嗜好といった金融情報以外の要素を明確な基準でテクノロジーが判断する点である。これによってより多面的かつ合理的に相手の信用度を測ることができる。この点において信用スコアはレーティング制度の限界を超え、トラブルの可能性を大きく低下することができる。ただ信用スコアを用いても取引上のトラブルがゼロになることはないためペナルティも用意すべきである。例えば仮に不正があった場合そのプラットフォーム上での取引を禁止するルールを作れば不正利用者は経済的取引ができなくなる。これが抑止力となって取引がより公正なものとなる。
そしてあくまでシェアリングエコノミーサービス上のプラットフォームの利便性を上げるための1つのツールとして使うことが重要である。プラットフォーム上のツールとして使うことで信用スコアが与える影響がプラットフォーム上の取引で信用できる人間であるかどうかを判断するものに限定できる。信用スコアを芝麻信用のように社会全体に適応してしまうと課題がより大きな影響力を持ってしまうからである。シェアリングエコノミーサービス取引時に相手の信頼度を測る物差しとして活用していくのが信用スコアとの適切な距離感だと考える。距離感を間違えると個人がコントロールできない基準で人の行動が判断され、信用スコアによって下された審判を取り消すことができない、そして他人と常にスコアを比較し続ける息苦しい時代が到来してしまう。適切な距離感を保ちながら信用スコアをシェアリングエコノミーサービスに用いることでデジタル時代における取引の円滑化に貢献できると考える。
シェアリングエコノミーサービスの発展が続く一方でその課題も無視できなくなってきている。シェアリングエコノミーサービスのようにプラットフォームを介する取引にはより強固な信用を保証する仕組みが必要となっている。その中で従来のレーティングでは測れない信用力を測ることができる信用スコアは他人との信用度を測る物差しとして使うことができる。信用スコアは多面的な要素から信用度をAIというテクノロジーが合理的な数値を弾き出すため、信用度の明確な基準となりうる。信用スコアの課題を理解しながら適切な距離感で活用することでデジタル時代の取引において重要な役割を果たすことができると考える。
TRUAT:レイチェル・ボッツマン著 関美和訳,日経BP社,2018
キャッシュレス覇権戦争:岩田昭男著,NHK出版新書,2019
幸福な監視国家・中国:高口宏太・梶谷懐共著,NHK出版新書,2019
限界費用ゼロ社会 ジェレミー・マフキン著・柴田裕之訳,NHK出版,2015
国内シェアリングエコノミーに関する意識調査:(PWC), 2020,2021-10
シェアリングエコノミーサービス市場に関する調査:矢野,経済研究所,2020,閲覧日2021-10
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2545
芝麻信用など信用スコアサービスと情報銀行・プラットフォーム企業動向の考察:庄司昌彦,閲覧日2021-10,dcwg_siryou2-1.pdf (kantei.go.jp)
個人信用スコアと社会的意義:大屋 雄裕,総務省学術雑誌情報通信制作研究第2巻第2号,
2018年発行,[15-26ページ] 閲覧日2021-10
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jicp/2/2/2_15/_pdf/-char/ja,
クレジットスコアとは,閲覧日2021-10
https://www.kunugi-inc.com/creditcard/kisochishiki/shinsa/credit-score.html
コロナ禍による先の見えない長いトンネルが続く中、回転すしチェーンは過去最高の売上高を達成している。この強さの根幹にあるのは地道に築き上げてきた自動化システムであり、人手不足の解消を目的に開発したDXと効率化策が実を結んだ。またすしの鮮度や味を保ち、食材利用を効率化させるための技術や衛生管理にたけていることも強さの理由だ。くら寿司の代名詞ともいえる「抗菌寿司カバー鮮度くん」はコロナ禍の衛生・清潔ニーズとマッチし、透明のカバー部分に触れずにすしの皿を出し入れできるほか、飛沫なども防げることから感染症対策への高い支持を得られている。また大量のテイクアウト注文をスムーズに処理する受注管理システムや店舗オペレーションをすでに確立していたため、コロナ禍下で急増したテークアウト需要にも十分対応できたことも大きい。徹底的な自動化で非接触を実現し、多様なニーズに柔軟に対応する回転すしチェーンの店舗から新たな飲食店スタイルのヒントが見えてくる。
ヤフーは2023年度までに全社員約8000人を再教育し、業務でAI活用できるようにする。再教育を通じて人材を付加価値の高い事業にシフトすることは生産性改善を迫られる多くの日本企業にとっても経営の重要課題だ。ヤフーは業務内容に応じたAIスキルの習得を社員に求める。最も高度な技能を持つデータサイエンティストは米アルファベット傘下のコンテストプラットフォーム「カグル」へ参加させ、半年ごとに結果を評価し、好成績の社員に最大100万円を支給する。経理や人事など間接業務の社員も、身に付けるべき最低ラインの技能習得を要請する。AI人材の育成でヤフーはターゲティング広告の精度を高めるほか、個人ごとにビジネスの問題解決などの新サービスを生み出し、競合他社との差異化を図る。
本書では変化を好まない日本企業が生き残るためにDXが必要であることを主張しており、日本企業の課題とDXを成功させるために必要なことについて書かれている。著者はマッキンゼー・デジタルパートナーの日本人4名である。マッキンゼー・デジタルはデジタルテクノロジーの力を使い、クライアントのビジネスモデルを変革させるチームである。第1章「産業構造の大きな変化」では、製造業におけるデジタル変革は海外企業で成功例が多いとし、フォルクスワーゲンやロールスロイスの例、また日本での代表的なケースとしてコマツの例も挙げられている。日本の製造業でデジタル変革が遅れている理由としては消極的なIT投資、強固すぎるサプライチェーン、組織のサイロ化だとし、国内でのデジタル動向についてまとめられている。第2章「DXで何を目指すのか」ではDXは従来型の業務改善とは異なるとし、企業変革に何が必要かについて述べられている。1200社以上の調査からわかったDXの成功を阻害する要因について解説した上で企業戦略の再定義について触れられ、後半では前半と同じように学ぶべき事例としてニトリとゑびやの例がまとめられている。第3章「日本企業の足枷と挑戦」ではデジタル化で後れをとっている日本の現状と課題について書かれている。デジタルの重要性を理解はしているものの、経営陣の間でデジタル変革が明確に言語化されていないことが多く、デジタル人材を集めることもデジタル投資を行うことも困難な状況にあることが多いと指摘している。またDXが仮に実行できたとしても日本企業には2025年の壁(レガシーシステム、ブラックボックス化など)が立ちはだかるとし、老朽化したシステムが自社のDXを阻害していると実際に感じている割合は7割にものぼると言われている。企業文化が変わらなければこの状況は打開できないため、組織トップの強いコミットメントが欠かせないことを強く主張している。第4章「DXを成功させるために必要なこと」ではデジタイゼーションとDXの違いについて触れ、DXの成功要因についてまとめている。レガシー脱却とDXを融合させ、経営幹部が主導権をもって進めることが重要だと主張している。また組織文化の変革を行う際に大事なこととして伝統的な大企業においてはマインドセット、スキル、プロセスを変えることの3点があるとしている。企業変革に必要な現状分析をした上で変革の必要性を実感をした上で変革のストーリーを描くことが必要としている。第5章「あなたは、何をすべきなのか」では企業変革を今すぐにでも始めることの重要性を主張している。マッキンゼーではリーマンショック後の20年間の企業パフォーマンスについて比較分析を行い、企業価値が高い企業は共通してDXに継続投資し、人材育成に力を入れていたことが分かった。これを踏まえて後半では具体的に何をすべきかを洗い出している。本書を読み、日本のDXではIT化が目的となってしまっていることがよく分かった。DXの本質を知り、古くなった自社の常識を破壊することで自社の企業価値が高まると感じた。今後は今ある日本の中小企業が生き残る為に具体的にどのようにDXを進めていくべきかを検討していきたい。