学校経営において重要なことは2つある。一つは「当事者意識」である。その欠如は組織にとって最大の問題であり、うまくいかないことを誰かの責任にするなどの状態では迅速な課題解決は難しくなる。当事者意識を高めるには透明性と情報公開が大切だ。二つ目は対話による最上位目標の明確化だ。教員は対話に慣れておらず、問題が起こると様々な立場から解決策が提示され、その衝突によって解決が遅れるということがしばしばある。こういったことを防ぐには上位目標を共有し、実現する手段に焦点を絞って合意を積み重ねていくことが有効だ。学びとは本来、主体的なものだが日本の教育は学力向上ばかりを唱え、結果として学習時間は伸びたが、最も大切な主体性・自律性を奪ってしまっている。
日本経済新聞 2020/5/18