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輪読データ(温暖化懐疑論について)

2023年5月31日 丸山正次. (2015). 気候変動否定 (懐疑) 論の討議作法. 山梨学院大学法学論集, 65-106. 丸山正次. (2015). 気候変動否定 (懐疑) 論の討議作法. 山梨学院大学法学論集, 65-106.   2023年5月24日 増田善信. (2013). 「温暖化懐疑論」 をどう考えるか. 地学教育と科学運動, 70, 29-42.増田善信. (2013). 「温暖化懐疑論」 をどう考えるか. 地学教育と科学運動, 70, 29-42. 2023年5月17日 「地球温暖化防止」運動の暴走 – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute 「地球温暖化防止」運動の暴走 – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and … 続きを読む

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第一章

本論文は、企業組織を多様性の面から捉えることを目的とする。第一章では、企業組織を形成する概念としての「経営理念」と、「多様性」について確認し、本稿における「企業組織における多様性」を定義する。   1.経営理念とは 社会には様々な組織が存在している。政府機関や教育機関、企業や非営利団体、宗教団体から学生団体まで、共通の目標を掲げその達成のために活動する集団は一般的に組織と呼ばれる。マックス・ウェーバー(1922)は組織を「目的を達成するために人々が互いに協力し、特定のルールに基づいて行動する形式的な社会的構造である」と定義している[1]。ウェーバーが提唱する「特定のルール」とは組織の理念を指す。組織の構成員には行動指針があり、目的達成のためにはどんな手段をとってもいいのではなく、共通したルールに基づいた手段を選択する必要がある。 経営目的を達成するために集まっている企業組織に共有されている「特定のルール」として経営理念が挙げられる。中小企業庁が公開している東京商工リサーチが実施した「中小企業の経営理念・経営戦略に関するアンケート」によると、現在経営理念・ビジョンを明文化している企業は5293社のうち87.1%に上る。(図1)経営理念には明確な定義は存在していないが、近年ビジョン経営が注目される中で多くの研究がされている。Collins・Porras(1995)によると、経営理念・ビジョンとは「経営者および組織体の明確な信念・価値観・行動規範」であり、コアバリュー・パーパス・ミッションの3つの要素で構成され、明確さと共有が重要であると説明されている[2]。本稿では経営理念や企業理念、ビジョンを区別せず、組織の将来像を表すものとして「組織が業務を通して、または通り越して実現したい社会・組織の理想像」と定義する。経営理念は企業組織全体に「特定のルール」として共有され、構成員は経営理念に基づく行動を選択していることを確認する。 図1 経営理念・ビジョンの明文化の状況 (出典:中小企業庁中小企業庁:2022年版「中小企業白書」 第3節 中小企業経営者の経営力を高める取組 (meti.go.jp))   2.多様性とは 多様とは、文字通り「さまざまなようすをしたものがあること」を表す言葉であり[3]、英語でダイバーシティと訳される多様性は「幅広く性質の異なる郡が存在すること」と定義されている。単にいろいろあることとは違い、性質に類似性のある群が形成される点が特徴とされる[4]。多様性とは多くの側面を持つ言葉であり、自然科学や社会科学・人文学においても使われるためその定義が曖昧になりやすい。はじめにで記した通り生物多様性とは『生きものたちの豊かな個性とつながりのこと。(中略)生命は一つひとつに個性があり、全て直接に、間接的に支えあって生きている』ことであり[5]、社会的多様性の側面では近年DEIの概念が注目されている。DEIとはダイバーシティ・エクイティ・インクルーションの略称で、差別をなくし平等な社会を目指すSDGsの一環となる考え方だ。ダイバーシティとは年齢、性別、民族、宗教、疾病、性自認、性的指向、教育、国籍等の違いを尊重することで、エクイティは公平性を表す言葉である。情報、機会、リソースへアクセスする権利を保証するもので不均衡を是正する。インクルーションは包摂を意味し、どのような個人や集団であっても、歓迎され、尊重され、支援され、評価され、参加できるような環境を作る必要性を表している[6]。 ここで、社会的多様性の理解を深めるため、登山の公募隊から政治運動、文化人類学まで、集団としての組織と多様性について書かれたマシュー・サイドの著書を参考にする。 一般に性別、人種、年齢、信仰などの多様性は「人口統計的多様性」と呼ばれ、ものの見方や考え方の違いは「認知的多様性」と区別される。(本の要点を簡潔にまとめる)   3.企業組織における多様性とは 企業経営における多様性として、近年ダイバーシティ経営が注目されている。ダイバーシティ経営とは、経済産業省が2017年から進める政策で「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」を目指す動きのことである。「多様な人材」には、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などの多様性だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性も含まれる。それぞれの持つ潜在的な能力や特性などを活かし、生き生きと働くことのできる環境を整えることによって、自由な発想が生まれ、生産性の向上、自社の競争力強化につなげることを目的としている[7]。経済産業省が進めるダイバーシティ経営は、企業組織における人口統計的多様性を高める施策である一方、本稿では企業組織における認知的多様性について検討する。 以上より、本論文では企業組織における多様性を「経営理念に対する共感度が様々な段階の人が組織にいること」と定義する。 [1] マックス・ウェーバー(1922)『官僚主義論』 [2] [3]三省堂国語辞典 [4] 多様性 – Wikipedia [5] 生物多様性とはなにか | 生物多様性 -Biodiversity- (biodic.go.jp) [6] DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)とは・何か | Sustainable Japan [7] ダイバーシティ経営の推進 (METI/経済産業省)

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要約 1冊目 後半

第4章 イノベーション 4章では、革新的な組織の特徴、経済発展への多様性の活かし方など、イノベーションと多様性との関係について掘り下げている。 イノベーションも2種類に分けられる。改良など特定の方向に向かって一歩ずつ前進しでいく「漸進的イノベーション」と、これまで関連のなかった異分野のアイデアを融合する「融合のイノベーション」である。生物の進化の過程に例えると前者は自然淘汰、後者は有性生殖のようなものだ。一つの個体に起こる突然変異が、遺伝子のやりとりによりほかの個体に起こる突然変異と組み合わされることで劇的に進化が進んでいく。後者はそれまで関連のなかったアイデア同士を掛け合わせることで、問題空間を広くカバーできる手法である。世界的に有名な起業家に共通する要素として移民であることや芸術思考が挙げられるのは、特定の思考の枠組みから抜け出して、別の角度からあらためて物事をとらえる力として「概念的距離」や「第三者のマインドセット」を持っているからだ。(もちろん、専門的な知識や概念を深く理解しているからこそ、距離を取ることに意味が出てくる。) ケロッグ経営大学院のブライアン・ウッツィ教授はここ70年間に執筆されたほぼすべてにあたる1790万本の論文を分析したところ、極めて反響の大きかった論文は、どれも「標準的とは言えない組み合わせ」をしていたことが明らかになった。こうした融合のイノベーションが増える傾向は、コンピューター時代とも言える現代において、巨大なネットワークの広がりとともに加速している。新たな組み合わせが生まれるたびに、さらに新たな組み合わせが見つかる可能性が広がることは「隣接可能性」といい、アイデアは物理的なものと違って、新たなアイデアは人と共有すると可能性がどんどん広がっていく。これは「情報のスピルオーバー効果」と呼ばれ、イノベーションはある偉人個人の知力によって生まれるのではなく、知的想像力は人とのつながりの連鎖の中で強まる。これは、自立型の経営で孤立したルート128より、パブで活発にエンジニア同士の水平的な情報伝達が行われたシリコンバレーの方が多くのイノベーションを起こした事例からも見て取れる。高い社交性によって築かれた社会的ネットワークでは集団的知性が生まれ、創造のエネルギーはこうしたコミュニティの中で高まり、長期的な競争優位性をもたらす。 第5章 エコーチェンバー現象 5章では、社会的ネットワークが形成される過程について考察されている。 一見すると集団の人数の多さと多様性は比例すると思われるが、人は大きなコミュニティに属すると自分の考えと似ている人を選り好む選択肢が増え、より狭いネットワークを構築する傾向がある。インターネット上でも同じことが起き、多様性が豊かな環境がもたらすこうした矛盾した現象は「エコーチェンバー現象」と呼ばれ、同じ意見のもの同士でコミュニケーションを繰り返すため、特定の信念が強化される。専門的な趣味のコミュニティでは問題にならないが、政治問題など複雑な話題について情報を探す場合、集団の健全性に関わる。似たような現象として、「フィルターバブル」が挙げられる。反対意見を遮断し社会から孤立する分、いったん外部の意見に晒されると信念が揺らいでしまうカルト集団などを指す。対して、エコーチェンバー現象では反対意見に触れることでいっそう狂信的になる。誰を権威とし何が信頼できる情報かの「信頼のフィルター」を重ね、フェイクニュースとして、反対派の人物の信憑性まで攻撃していく。集団の健全性を確認するには、信条に沿わない部外者に対し、その人の信頼度を貶める行為を積極的に行っていないかを考える必要がある。政治的信条などの二項対立を招きやすい問題において、有意義な話し合いをするには、相手が間違ったことをしていないのにただ自分と反対の意見だからという理由で攻撃することや、自分の信念に沿わないものを悪として論じる人身攻撃は自身の信用をも失うということを公人が理解し、正しいコミュニケーションを取れる信頼を築くことが欠かせない。   第6章 平均値の落とし穴 6章では、多様性を活かすための標準化から個人化への転換事例がまとめられている。 「マルチモーダル分布」とは、集団の平均値を出したところで平均値にぴったり当てはまる個体が存在するわけではない状態を指す言葉だ。標準規格化され硬直した制度やデザイン、思考のパターンを押し付けると、平均値に惑わされて多様性を見過ごし、そのメリットを得ることが出来なくなる。多様性のメリットとは、正しい情報と間違った情報が豊富に蓄積されると、正しい情報が一方向を向いているのに対し、間違った情報はそれぞれ違った方向を指し、互いを相殺し正しい情報が残っていく統合性だ。有益な違いを組織や社会は考慮するべきである。 様々な状況を踏まえたマニュアルは、もっとも効率的だと認められたベストプラクティスだが、労働経済学者のマイケル・ハウスマンが行った5万人のコールセンター従業員に関する調査によると、自分できちんと考えた上でマニュアルから離れた対応をした従業員が、問題の解決や売り上げに高い業績を上げていた。一人ひとりの従業員の柔軟性を加味する柔軟なシステムや環境が組織や社会に進化をもたらす。 エクセクター大学の心理学者クレイグ・ナイトがアレックス・ハスラムと共同で行った研究では、オフィス環境と従業員の生産性について調査し、生産性が向上した原因を2点挙げた。権威あるいは自律性があること、と個人的な空間にカスタマイズできることの2点だ。教育現場における、生徒一人ひとりのニーズに適応した学習指導を行う「適応学習」から、腸内細菌マイクロバイオームの違いから血糖値の上昇をもたらす食材は各人で異なり、万人に共通した健康法は存在しないことに至るまで、多様性のバランスを科学的に検証し、効果的な部分において個人化に転換していく必要がある。   第7章 対局を見る 7章では、多様性をより広い角度から見つめ、人類の進化の視点で本書を締めくくっている。 人類がここまで繁栄したのは、個人の脳を超えた集団脳によってもたらされた。人類の祖先をたどると、ホモ・サピエンスの脳はネアンデルタール人の脳より小さかった可能性がある。しかし、社会性があったホモ・サピエンスは密な社会的集団を築き、学習が進み知恵が積み重ねられ、やがて融合のイノベーションが起きた。個人知から集合知への進化の結果として生まれた優れた知恵やアイデアが、脳を大きくした。一方ネアンデルタール人はイノベーションが集団で共有されることはなく、一代で新たなアイデアは消えていった。他者(の脳)と繋がりあいながら遺伝的と文化的の「二重相続」を得られた人類は、世代を超えて高度な知能を備えることが出来るようになった。テクノロジーや知恵やアイデアは識字能力など生理的な変化をももたらしている。 多様性を実生活に活かすためには3つのポイントがある。1つ目は、自分では気づかないうちに持っている偏見や固定観念である「無意識のバイアス」を取り除くことだ。我々の人生に付きまとう審査において、才能ある人々が理不尽にチャンスを奪われるケースを少なくすることで、歴史的に積み重なった構造的なバイアスを解体し、マイノリティ格差のない公平な社会を築くことができる。同時に知識のネットワークを拡大し、集合知を高めることにもつながる。具体的には、判断に不必要な情報を隠して審査をすることなどが挙げられる。2つ目は、「陰の理事会」だ。重要な戦略や決断について若い社員が上層部に意見を言える場で、年功序列の壁を壊し、予想外の角度から問題に取り組む若い層とコミュニケーションを図る方法だ。3つ目は与える姿勢だ。多様な社会で他者とのコラボレーションを成功させるには、自分の考えや知恵を相手と共有しようとする「ギバー」の心構えが必要だ。「与える人」は多様性豊かなネットワークを構築でき、視野の広い、反逆者のアイデアを数多く得られる。 チーム作りやチームワーク、コラボレーションにける多様性の必要性を理解することで組織や社会はより活性化できる。  

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文房具をめぐる貧困問題

ある人がフリーマケットサイトメルカリで年代物のドラえもんの文房具を出品したところすぐに買い手が見つかった。メルカリでは、学用品という単語を含む昨年2〜4月の取引数が21年11月〜昨年1月と比べ3倍近くあった。入学準備で文房具などを買い求める保護者が多いためと見られる。必需品でありながら消耗が早く高価なものも多い文房具は、ここ数年の値上げが追い討ちとなり新品が買いづらい家庭も多いのではないかと推測される。中学校まで文房具など無料という国もある中、低い支給額の上限や年収による世帯区分によって制度を受けられる家庭が制限され、必要な家庭に援助ができていない日本の教育施策は見直すべきであると指摘されている。 23/05/29 朝日新聞夕刊 1ページ

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進む入管法案 懸念もなお

難民と認められず非正規滞在となった外国人にどう対応するか、収容や送還のルールを大きく見直す入管難民法の改正案をめぐり参院での採決が迫っている。出入国在留管理庁によると4233人もの外国人が、日本から退去すべきことが確定したのにそれを拒んでいる。現在の入管法では難民認定の申請中は送還できないルールがあるが、一部の外国人が申請を繰り返すことで退去から逃れていると入管庁はみており入管施設への収容長期化の要因になっていると問題視している。改正案では送還停止を申請2回目までとし、3回目以降は申請中でも送還できるとしているが、認定の判断を誤ったまま送還し死刑になれば取り返しがつかないという声もあり難民申請乱用防止との最大の争点になっている。 23/05/29 朝日新聞朝刊 2ページ

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AI作品 投稿認めるか

AIによる技術革新が進む中、イラストレーターは作品アイディアがAIによって盗まれ無許可で利用されるのを懸念しており、漫画やイラストなどの投稿サイトピクシブでは一部機能やサービスでAI作品の取り扱いを当面禁止するとした。一方で写真やイラストなどを販売できるサイトを運営するピクスタではAI作品を販売可能とする案内をサイト上に出した。AIによる画像やイラストの投稿を認めるか判断は割れているが、企業は定期的にリスクを洗い出し急速に進化する技術に対応していくことが求められる、 23/05/22 朝日新聞 26ページ

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児童の交通安全意識を校内から

通学路や校内の安全向上に取り組んできた八街市の小学校が、学校安全の認証制度セーフティプロモーションスクールの認証を受けた。飲酒運転による児童死傷事故を教訓に始めた活動が全国的にも評価されたのである。校内の曲がり角の廊下を道路に見立て道路標識のような手作りの「止まれ」の看板やカーブミラーが設置されている。設置したのは児童で、校内での安全対策に取り組むことで校外の交通安全への意識を高める狙いがある。 23/05/17 朝日新聞 21ページ  

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要約 1冊目前半

書評 マシュー・サイド(2021)株式会社トランネット訳『多様性の科学』株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン 元卓球選手でイギリスのジャーナリストであるマシュー・サイドは2016年、サッカー英国代表の技術諮問委員会に呼ばれ、起業家や陸軍士官とイングランド代表監督らへの助言を話し合った。認知的多様性に溢れた体験に感銘を受けたマシューは、どうすれば多様性の力を上手く発揮できるのか考え始める。一般的に性別、人種、年齢、信仰などの多様性は「人口統計的多様性」として分類されるが、本書ではものの見方や考え方が違う「認知的多様性」についても検討されている。 第1章 画一的集団の「死角」 1章では、本書のテーマは多様性であり、考え方が異なる人々の集団がもたらす大きな力を様々な角度から検討していくことが記されている。 長い間「能力の高さと多様性は両立しない」という考え方が主流だったが、2001年のニスベットらの実験により人の世界の捉え方についての普遍主義が覆され、文化に基づく違いが明らかになった。直線的ではない何層にも折り重なった複雑な問題の解決には、違う見方をする者同士が協力し合い、共有し合うことでより高い集合知を得ることが出来る。個人個人はどれだけ頭脳明晰でも、同じ背景を持つ者ばかりで意思決定集団を形成すると盲目になりやすいことは「集団のクローン化」と呼ばれる。どれだけ優秀な集団でも、同じような枠組みで物事を考える集団では「盲点」も共通している可能性が高い。しかもその傾向を互いに強化してしまうミラーリングが起きる。異なる視点を持つ人々を集めることは、多様な視点で、自分の盲点に気づかせ合えることができるようになる効果もある。 (CIAが9.11アメリカ同時多発テロを未然に防げなかったのは、CIA職員の画一性が、イスラム過激派による数々の兆候を脅威としてつなげる視点に欠けていたからだ。当時CIAの採用には偏りがあり、プロテスタント系の白人のエリート男性ばかりの組織では、自分達こそがアメリカの理念を守る存在であるという強い愛国心が育っていた。ビンラディンの聖戦布告映像はイスラム文化に合わせた原始的な映像で、優秀なCIAの分析官はそのメッセージを時代錯誤で無知な連中としか捉えることが出来なかった。この例からも、画一的な集団は重大な過ちを過剰な自信で見過ごしそのまま判断を下してしまう危険が確認できる。) <画一的な集団の思想は鋭くなってく>   第2章 クローン対反逆者 2章では、筆者が多様性に興味を持った経緯と、多様性の定義を明確にするため事例を科学的に考察している。 異なる視点やモデルを組み合わせることで全体像をより正確に捉えることが出来る。デューク大学のソル教授は、エコノミストによる経済予測を分析し、個人でトップだったエコノミストの予測と、上位6人のエコノミストによる予測の平均正解率を比較した。結果として後者の方が15%も高い正解率となった。仮にトップだったエコノミストのクローン6人がアイデアを出し合ったとしても、同じアイデアばかりが重なりアイデアの合計数は少なくなるミラーリングが起きてしまう。同じようなものの見方や考え方の枠組みが似ている集団では集合知を発揮することが出来ないのだ。頭のいい人材を集めれば頭のいい集団が出来るのではなく、集合知を得るには個人個人の「違い」も大切である。一人一人の意見のエラーは問題ではなく、「反逆者のアイデア」をきっかけに視点が広がることが重要だ。 高い集団知を生む認知的多様性には2つの条件がある。「問題が複雑であること」と「問題空間をできるだけ広く覆える根拠のある多様性であること」だ。製造業や短距離走など単純なタスクの場合、多様性は邪魔になり得る。正解と間違いの二極しかない直線的な課題で重要視されるのは能力の高さだ。また、集合知を得るには多様性だけでなく、賢い個人も必要となる。対処する問題と密接に関連し、かつ相乗効果を生み出す視点を持った人々が集まることが重要だ。 <最初は多様性に富む集団でも、そのうち主流となる考え方に「同化」してしまう。 多様性は評価されないと同化していく、一時的なものつながりがいい> 第3章 不均衡なコミュニケーショ 3章では、これまでのコンセプトから実践された、重要な情報や視点の「共有」へと話が進められている。 人間の頭や心は序列が定められた集団の中で生きるよう設計されている。集団の秩序は「順位制」によって決められ、集団の支配者が異議を自分の地位に対する脅威と捉える環境では多様な意見が出にくくなる。無意識のうちにヒエラルキーが効果的なコミュニケーショの邪魔をすることは「権威の急勾配」と呼ばれる。複雑な状況下では、多様な視点や意見が押しつぶされ重要な情報が共有されていない限り、いかに団結力があるチームでさえ適切な意思決定はされない。複数の人数で会議をする場合を例に挙げても、数人だけが発話の主導権を握る傾向がある「不均衡なコミュニケーショ問題」や、集団の構成員が特定の意見に同調して一方向になだれ込む「情報カスケード」、同調行動の「バンドワゴン効果」は日常的に見られる現象だ。 組織においてヒエラルキーは欠かせないが、リーダーが賢明な判断を下すには、その集団内で多様な視点が共有されている必要がある。ヒエラルキーの形には2種類あり、支配型のヒエラルキーでは、従属者は恐怖で支配された結果リーダーを真似る。決定事案遂行するだけの場合には指揮系統が明確なためうまくいく。一方尊敬型のヒエラルキーでは、ロールモデルとしてのリーダーに対し、自主的に敬意を抱き、集団全体が協力的な体制を築いていく。これは新たなアイデアを出したり、考え直す際に有効だ。両者の決定的な違いは「心理的安全性」である。集団の感情を読む共感力のあるリーダーは、メンバーの声によく耳を傾け信頼の絆が高まる。ヒエラルキーと多様性の両方のメリットを得るためには、ヒエラルキーのあらゆる層から意見やアイデアを引き出すこと、共有可能な関連の知識を持つ人全員から学ぶことが欠かせない。 <社長一強な会社はみんなが間違いを指摘できないからダメなのか。>   多様性を創出するための企業活動の事例 ①社外取締役 ②プロジェクトごとの社外チーム ③変わった人の採用 ④フォーカスグループ→政界や起業の権力構造を変えずに政策の妥当性を問う聴聞会 ⑤会議の場における多様性 アマゾンの黄金の沈黙、ブレインライティングとブレインストーミング

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企業活動での人権侵害 対応求められる企業

長年にわたり人権問題に取り組むNGO副理事長の伊藤氏はG7サミットに何を期待するかという質問に、人権デューデリジェンス(DD)の法制化に踏み込んでほしいと答えた。人権DDとは企業活動の陰でおこる人権侵害やその可能性について企業が取引先も含めた事業活動を徹底的に調べ、必要な対策を取ることである。日本も人ごとではなくユニクロの服を作る中国の委託先工場での長時間労働や化学薬品による健康被害のリスクが明らかになっている。伊藤氏は強制力を伴う法規制がないままでは人権侵害は無くならないと主張している。 23/05/09 朝日新聞 6ページ

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「読み書きできない」隠れる実態

2020年の国勢調査で最終学歴を小学校卒業と答えた人は約80万4千人で戦中戦後に育った75歳以上が9割を占めるが、20-40代も約1万3千人に上る。55歳で漢字が読めないために仕事を転々とし、保険加入を諦めた人もいて夜間中学で10-80代の仲間と学び直している。読み書きができず生活に支障があるという人たちが国内に相当数いるとみて識字調査の実施を進める研究者は、必要な施策を取るため実態把握が急務だと訴えている。 23/05/09 朝日新聞 1ページ  

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