月別アーカイブ: 2020年9月

脱プラ先進国(EU) 事例

◎EUの目標・規制 ・(2018/1)プラスチック戦略→2030年までに使い捨てプラスチック包装を無くし、全てを再利用または素材としてリサイクル。 ・(2018/5)戦略の具体策→代替製品を安価に入手できる場合はプラスチック製品の市場での流通を禁じる(プラ製のストロー・綿棒・フォーク・ナイフ・スプーン・皿など)。2025年までにプラ製飲料ボトルの9割の回収を義務付ける。 ◎ドイツの事例 ・パッケージフリーショップ(個別包装ゼロの店):ドイツ国内で70店舗ほど展開。ナッツや米などの穀類、コーヒー豆やパスタなどを客がセルフサービスで自由に量り、買うことができるというシステム。客は空き瓶やタッパーを持参。食料品だけでなく、石鹸や固形シャンプー、竹を素材に用いた歯ブラシ、そして再生紙で作られたトイレットペーパーもビニール袋に入れずにむき出しの状態で並んでいる。 ◎イギリスの事例 ・ワンレス・キャンペーン:ロンドン市長とロンドン動物学会が共同で、ペットボトル削減に向けて公共の場に誰でも使える給水器を広めていく活動。ロンドン市内で20機の設置を目指す。給水器は蛇口式のものではなく、マイボトルに給水できるスタイリッシュなデザイン。 ・リフィル・プロジェクト:イギリス西部のブリストルで、市民団体City to Seaが開始した街中にたくさんのリフィル(給水)スポットを増やそうという活動。「Refill」の趣旨に賛同する事業者が、水道を一般に無料で開放し、給水スポットとして登録。利用者は、専用のスマホアプリで現在地近くの給水スポットを検索し、持参した水筒などに水道水を補充できる仕組みである。市内の登録店舗は300を越える。 http://www.newsdigest.de/newsde/features/9872-verpackungsgesetz/ http://sui-do.jp/news/2903

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卒論 アウトライン

【参考文献】 ①『シニアよ、インターネットでつながろう!』牧壮 シニアが他者とのつながりを作るためにインターネットなどのIT(ICT)が役立つ。 社会参加を続けながら年を重ねていく「アクティブエイジング」 ②日本政策金融公庫「高齢社会に潜むビジネスチャンス」前田展弘 高齢者市場の特徴 高齢者市場の開拓視点、高齢者を「活かす・導く」視点、高齢者の「活躍ニーズ」 ③「超高齢社会の就労支援「高齢者クラウド」が、日本の労働市場を変革する」IBM アクティブシニアを人材と捉える。そのためにICT技術で何ができるか。 ジョブマッチング(GBERと人材スカウター) 「モザイク型就労モデル」の導入、UIなどの工夫、ヘルスケア機能 【言いたいこと】 これからの超高齢化社会では、リタイア後も社会参加を続ける「アクティブシニア」が重要な役割を担っていく。 そうしたシニアを人材として活かすためには、IT(ICT)技術の活用が不可欠である。 具体的には、シニア向けのクラウドソーシングサービスなど、シニアとシニアを必要としている人たちとがマッチングしやすいような環境づくりが必要になる。 その環境づくりにITが役立つということ、そして、シニアがITを「ツールとして使えるかどうか」という課題についても論じる。 【アウトライン】 1.はじめに 2.アクティブシニアの広がりと社会にとっての価値 3.アクティブシニアと社会をつなぐIT技術(事例) 4.シニアがITを操るための課題と工夫 5.結論

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書評 「5Gビジネス」

情報通信業界における経営管理、事業戦略・技術戦略立案、および中央官庁の制度設計支援に長く従事し、政策やテクノロジー、ビジネスの動向に精通する亀井卓也氏による著書。われわれのライフスタイルやビジネスが5G時代にどのようにに変わっていくのか、5Gに関する取り組み事例から紹介されている。   第一章「5Gが話題になる理由」では、5Gへの基本的な理解を深めるべく、移動通信の歴史をひもとき、技術革新の具体的な内容、日本と世界における5Gの現状、今後の見通しなどが述べられている。また先行事例として米ベライゾンによる「ベライゾン5GHome」、や米韓による「世界初」競走についてなどが取り上げられている。   第二章「5Gが変える生活」では、スマートフォンの進化を始め、エンターテインメント、モビリティ、またこれまではICTを導入されにくいとされていた医療・介護といった生活を取り巻くサービスがどう進化するのかを現状と展望を交えて解説されている。   第三章「ビジネスをどう変えるのか」では、電気・ガス・水道といったユーティリティ産業でLPWA(Low Power Wide Area)。製造業ではネットワークスライシングやローカル5G。防犯・警備といった公衆安全ではAIカメラ。そして公共交通産業ではモビリティサービスなど、上記のところで5Gの技術が活躍する。また、キーワードをB2B2Xとし、「センターB獲得競争」の時代になるとしている。   第四章「5Gがもたらすリスク」では、プライバシーやパーソナルデータの管理上のリスクや、地域間での「デジタル格差」の拡大。また、新たな通信需要を創出できなければ、5Gへの移行が進まないといったリスクも示唆されている。   第五章「5G時代にわれわれは何をすべきか」では、4Gから5Gへの革新において、最も重要な変化は技術よりもビジネスモデルにあると筆者は述べる。B2B2XになることでセンターB事業者が追加されたことにとどまらず、これまで主役であった通信事業者が裏方にまわり、センターB事業者が通信の主役になること、これを革命的なことと述べる。   事例をもとに、5Gの3つのビジョンである「①高速大容量通信」「②超信頼・低遅延通信」「③多数同時接続」が、各事業でどのように活用されているのか、あるいは期待されているのかを取り上げられていることで5G産業の概要をさらうことができた。 5G技術は、いわゆる魔の川(Devil River)・死の谷(Valley of Death)・ダーウィンの海(Darwinian Sea)と例えられるような、技術を基にしたイノベーションを実現するために、研究開発から事業化までのプロセスにおいて乗り越えなければならない障壁のさなかにいると言える。しかしながら、5G技術とは大きな木の幹のようであり、そこから枝葉のように新たな技術やサービスが今後生まれていくことに期待したい。   亀井卓也 著 日本経済新聞出版社 2019年6月12日発行

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書評「AIが人間を殺す日」

飛躍的な進化を告げる人口知能・AI。この後明るい未来が語られる一方でAIに仕事を奪われるといった脅威論も増えている。本書では車、医療、兵器の三つを挙げAIの真の脅威を見つけつつ、それとの付き合い方を述べている。 第一章「AI脅威論の虚実」 この章ではAI脅威論として「進化したAIやロボットに雇用を奪われる」という見方を挙げている。しかしこの考えはAIがビックデータの中からある種の規則性を見出す技術である「パターン認識」といったごく一部に限られるものであると説明している。それ以外の職種はむしろお互いに足りない能力を補うような形で役割分担がなされていくと結論付け、問題は「制御に人間が関与しないこと」であり、それこそが「真の脅威」であると説明している。 第二章「自動運転の死角」 この章では実際に死亡事故を引き起こした自動運転機能搭載の自動車を例に挙げ、現場検証を踏まえAIの判断ミスの危険性を説明している。主要先進国にとって自動車は基幹産業であり自動運転技術が成功すれば産業的インパクトは大きく、多くの経済効果が期待されるが機械への信頼は未だ薄い。現在では「ディープラーニング」と呼ばれる機械が自ら学ぶ機械学習が開発されており、半自動運転下での人と車の関係の再認識が必要になると述べている。 第三章「ロボ・ドクターの誤診」 この章では我々人間の健康と命を左右する医療界にAIが進出しようとしていることの危険性を説明している。AIは人間と違い高速プロセッサと大容量記憶装置を持つため、医師のわからない病名や治療法などを導き出せるという。だが、現在でも「医師のアシスタント」として位置付けられている。これにはAIの判断が誤診であった場合の責任追及問題、ディープラーニングによる診断で合意的理由が不明、といった課題があると説明している。 第四章「自立的兵器の照準」 この章では戦争の際に使用される無人ステルス機や自動照準など「命を奪う」ための活動にもAIが導入されてきていることを問題視し、現状を危険視している。これまでの兵器は歴史上主に破壊力、攻撃範囲を拡大などに重視してきたが現在開発させているAI兵器では敵を定め攻撃するか否かの能力を備えているという。人に使われる道具から人に代わる戦闘主体へと変化した兵器だが我々一般市民も相応の責任感が必要になると述べている。   本書ではAIの現状を三つの視点から述べ危険性や課題を三つの視点から見ることができた。一般的にもっとも可能性があるのは完全な自動運転であるが実現は当年先となりそうだ。現在はこの未完成なAIにどこまで身を預けられるかといった付き合い方が重要であると改めて感じさせられた。 「AIが人間を殺す日 車、医療、兵器に組み込まれる人工知能」 小林雅一/集英社新書

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卒論アウトライン

参考書籍】 『アメリカの大楽観時代が始まる~中国とイランは既に敗れた~』 → アメリカ贔屓の著作ではあるが、自分とは別の視点から見たトランプ大統領の政策とそれが世界にもたらした結果を学んだ。 『アメリカの制裁外交』 → アメリカの巨大な力を背景にしたトランプ大統領の強硬な政策の裏にある狙いとそれに伴う負の面、続けていくと何が起こるのかといったことを学んだ。 『「米中関係」が決める5年後の日本経済』→ 米中関係について論じた上で日本は今後両国とどう付き合っていくべきかといったことを述べた一冊。 【言いたいこと】 ・何かと強硬な姿勢が取り沙汰され、超大国アメリカの影響力を浮き彫りにしたトランプ大統領だが、実際のところどのような影響を世界に与えたのか。個別な例を出して論じていきたい。 ・米中の対立が大きくなっていく中で日本はどのような立ち位置にいるべきか。 ・中国の成長によってドル支配構造が揺らぐことを見越して中国にすり寄るか、これまで通りアメリカに張り付くか。 【アウトライン】 1.はじめに 2.アメリカが世界に対して強気に出られる理由 3.トランプの政策個別評 a)米中関係 b)中東への対応 c)コロナ  4.総評 5.結論(今後の日本は)

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卒論 アウトライン

1.【参考書籍】 「AIにできること、できないこと」 →現在のAI技術では何ができて何ができないのかを実際のビジネスの事例とともに述べられている。 AIは人間を助けるために生まれたため、AIの長所と短所をよく理解し、共同作業していくことが大事だと学んだ。 「HUMAN+MACHINE 人間+マシン AI時代の8つの融合スキル」 →人間がAIをどのように活用すれば、社会で活躍できるかが書かれている。AIは人間を置き換えるものではなく人間の能力を高め、これまでに不可能であったレベルの生産性向上まで実現できるということを学んだ。   2.【言いたいこと】 ・現状、AIが人間の仕事を完全に奪うことは無いということ。 ・AIを活用することによって、人間ができなかった生産性の向上、社会課題の解決ができるようになる。 ・AIと人間のできることの違い。そこから、AIを活用するための方法。 3【アウトライン】   1.はじめに 2.AIとは(歴史、長所、短所) 3. AIの活用の成功例 4.AIの活用の失敗例 5.結論

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卒論アウトライン

【参考書籍】 ・『脱プラスチックへの挑戦』 プラスチックをめぐる世界の状況やリサイクルビジネスについて説明している。プラスチックを減らすことで、海洋汚染を防ぎ、温暖化防止に繋がると指摘。 ・『地球温暖化の不都合な真実』 人為的CO₂温暖化説を否定し、科学的な根拠はないと説明している。温暖化の危機に直面していないと指摘。 【言いたいこと】 ・近年、なぜ世界的に脱プラスチックの動きが見られるのか。 ・脱プラ先進国と後進国が存在している。そこで、先進国(EU)と後進国(日本)の違い(国の政策面や企業の考え方など)を明らかにし、今後日本や日本企業が取るべき行動について論じる。 【アウトライン】 1.はじめに 2.脱プラスチックへの動き 3.脱プラ先進国(EU) 4.脱プラ後進国(日本) 5.おわりに

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書評「アフターデジタル」

 昨今の日本、いや世界において、デジタル化の波は留まることを知らない。日本ではここ数年のあいだにキャッシュレス決済を普及させようという動きが活発になり、つい最近でもキャッシュレス還元やマイナポイントなど、政府主導の元でキャッシュレスが推進され、各決算事業者が凌ぎを削っているのが現状である。  しかし、このような日本に住む私たちに「圧倒的に遅れている」という現実を突きつけてくるのが、この「アフターデジタル」という本である。本著は、デジタル化の進んだ “アフターデジタル” の世界である中国において成功を収めている企業の共通している取り組みや理念を、実際の企業活動や著者の中国での経験を交えて全4章に渡って解説したものである。  著者の1人である藤井保文は、ビービットという会社にコンサルタントとして入社し、金融、教育、ECなどさまざまな企業のデジタルUX(ユーザーエクスペリエンス)の改善を支援している。その中で藤井は様々な日本企業の幹部に対して、『チャイナトリップ』と称した「中国デジタル環境視察合宿」を行ってきた。この活動を通じて藤井は、「日本のビジネスパーソンはデジタルが完全に浸透した世界をイメージできていない」ということを痛切に感じていた。この状況に危機感を抱いた藤井は、『チャイナトリップ』の参加者の中で最も意気投合した尾原和啓と共に、この「アフターデジタル」という本を執筆した。  先述したとおり、この本は全4章で構成されている。第1章「知らずには生き残れない、デジタル化する世界の本質」では、アリババグループや平安保険グループなどの企業の成功例をもとに、中国でどのようなサービスが成功しているのかを説明している。第2章「アフターデジタル時代のOMO型ビジネス ~必要な視点変換~」では、従来のO2O(Online to Offline)に代わる、新しい時代のOMO(Online Merges with Offline)という概念は何なのか、また、それが実現された際の企業の姿を説いている。第3章「アフターデジタル事例による思考訓練」では、読者がアフターデジタルの世界における考え方を身につけられるよう、実際の企業活動やその方針を紹介している。第4章「アフターデジタルを見据えた日本式ビジネス変革」では、訪れるであろうアフターデジタルの時代において、日本の企業が求められる取り組みや理念が解説されている。  本書を通して主に力説されていることは、 ・アフターデジタルの時代では、個人の全ての行動がデータとしてIDに紐付けられ、人々の感覚としてもオンラインとオフラインの境界は曖昧になり、融合する。 ・膨大なデータを活用し、OMOで思考できるようになると企業体のできることは変わってくる。 ・UXと行動データをもとに、顧客の属性ではなく状況志向でサービスを提供しなければ勝ち残ることはできない。 というものである。これらを踏まえ、アフターデジタル時代のビジネス原理は、 ⑴高頻度接点による行動データとエクスペリエンス品質のループを回すこと。 ⑵ターゲットだけでなく、最適なタイミングで、最適なコンテンツを、最適なコミュニケーション形態で提供すること。 この2つが重要となると説いている。  この本を読んだ所感としては、有意義なものになったというのが素直な感想である。日本のデジタル化が先進国に対して遅れ気味であることは承知していたところであるが、そもそもの考えとして、オンライン化はオフラインの付加価値であるというどこかこびりついた考えが根底から覆された。また、日本の従来の考えであるモノづくり志向ではなく、どこまでも顧客に寄り添うカスタマージャーニーを重視しているという点も新鮮さを感じた。  しかし、紹介されていたアリババグループ含む中国企業の事例については、ある程度アンテナを張っている企業の経営陣からすれば、既知であったものも多いのでは、という思いも生じた。また、ビッグデータに基づく個人の行動データ取り扱いについて、本書でも多少触れているが、欧州のGDPR施行など、個人情報やプライバシー保護へ向かう社会の趨勢を鑑みるに、中国で行われているような、個人の行動データを網羅した上でのビジネスモデルの実現は他国だと難しいようにも思えた。データを公共財として扱う利点を挙げる一方で、倫理的な問題などに対する解決策が特に挙げられていない点にも疑問が残った。 「アフターデジタル」藤井保文、尾原和啓 日経BP社 2019年3月25日 第1刷発行

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書評『邪悪に堕ちたGAFA ビッグテックは素晴らしい理念と私たちを裏切った』

企業総資産のじつに80%を、全体のわずか10%の企業が占有している。また、この10%の企業は物理的な資産や商品を有しておらず、情報とネットワークの技術を持つ企業である。『ビッグテック』や、『GAFA』、『FAANG』、『関心の商人』と呼ばれるそれら企業のビジネスは私たちの暮らしに深く組み込まれ、多くの利点を享受している。その動きはコロナ渦におけるテレワーク、オンライン授業で加速した。 『フィナンシャル・タイムズ』紙でグローバル・ビジネス・コラムニスト及び共同編集者を務め、また、CNNのグローバル経済アナリストとしても活躍する本書の著者、ラナ・フォルーハーは、このビッグテックのビジネスモデルを、「私たちは、自分のことを消費者だと考えている。だが実際には、私たちこそが製品なのである。」(引用 )と捉え、懸念を抱く。また、これら企業と政治の結び付きを指摘し、閉鎖的な現状に疑問を投げかけている。 第一章 概説 筆者は民主主義の存続を心配せざるをえない状況に陥っていると指摘する。 彼らビッグテックは広告市場の独占や、懸命なロビー活動によって政治と結び付き、介入を避け、自由な活動を存続できるよう操作してきた。 これによって独占が更なる独占を生むというサイクルの確立に成功し、公平な情報を入手する機会や自由競争が減少した。 第二章 王家の谷 革新的と言われるビッグテックの企業の経営でも、多くの権力はトップに集中している。また、効率的なソリューション志向により、その中で生じる個人のプライバシーなどの問題は見えなくなってしまっていると語る。 第三章 広告への不満 Googleが行ったデータマイニングとハイパーターゲティング広告というビジネスモデルは急速に成長した。これは人の評判が更に人を増やし、それに伴いデータも増大し、正確性を増すという単純な「ネットワーク効果」というメカニズムによって支えられていた。他業界にも進出を試みるビッグテックに対し、現行の企業たちは声をあげるべきだが、彼らもこのシステムで利益を得ており、声を出せないのが現状ということを指摘している。 第四章 1999年のパーティ 1999年に起きたPets.com等の倒産を省み、現在のシリコンバレーでスタートアップ企業が置かれている状況は同様にバブルであると指摘する。 その分析から、ユニコーンと言われているような企業は破綻し、投資家だけが利益を総取りするという予測をたてている。 第五章 広がる暗闇 ビッグテック各社が知的財産についてどう取り扱ってきたかについて書かれている。政治への介入による制度優位の獲得など、貪欲に知的財産を吸収あるいは、淘汰してきた事実が書かれている。 第六章 ポケットの中のスロットマシン とあるゲームに課金し続けてしまう筆者の息子を一つの例に、高度なサービスと便利なデバイスに依存する人々の事実を書き出す。巨大企業が発する、関心をジャックするようなネットワークはあまりにも強力で、対抗馬となるようなスタートアップが出現することは難しく、現行のそれも勢いには乗れていない。 第七章 ネットワーク効果 ビッグテック、主にGoogleの検索エンジンにおける独占的な支配に至った経緯を、それは「必然であった」という切り口で解説している。有形なものより価値のある人々のデータ等の無形資産を活用し、連鎖的に広がるプラットフォームを構築したこと、また、その利用者のプライバシーに関する意識の低さもそれを加速する要因になったと述べている。 第八章 あらゆるモノの‘ウーバー化’ ネットなどを通じて単発の仕事を請け負う働き方、ギグワークの台頭は自分の自由な時間を収入へと還元することを実現した。しかし、これを筆者は多くの労働者のフリーランス化の予兆と捉え、現状でクラウドコンピュータやスマートフォン、ソーシャルネットワークを利用できる環境を持つ、労働者との格差を更に広げるものだと危惧している。その広がりは既に観測されており、一例として従業員給与の低下等を挙げている。 第九章 新しい独占企業 この章では、様々な業界へと分野を拡大するアマゾンについて説明している。また、独占禁止法政策の抜本的な見直しを求める声が高まり初めていることを紹介している。 第十章 失敗するには速すぎる 2008年のサブプライム危機で打撃を受けたビッグファイナンスと言われる金融企業と今のビッグテックを照らし合わせ、筆者はどちらの業界も、経営の不透明さや複雑さ、イノベーションに対しネガティブな側面を認めたり、責任を負ったりしようとしないという共通点を見出し、今後を予測している。また、そういった大きな企業においてこそ多くのルールを設けるべきだと主張している。 第十一章 泥沼のなかで この章では、ビッグテックの中でも、特にGoogleは自社の関心分野について行われる学術研究を買収、援助してきたと指摘している。敵を見方につけるという意味で攻めでも守りでもあるこの手段はアメリカのみに留まらず、欧州の国々でも行われ始めており、世界でこの問題に慎重な目を向けるべきだと、筆者は語っている。 第十二章 2016年、すべてが変わった 2016年の米国大統領選挙では、ビッグテックのプラットフォームを利用したプロパガンダが大量にばらまかれ、論争をあおるために利用された。この中で、Facebookはドナルドトランプを勝たせようとするロシアの工作員から十万ドルを受け取っていたことが明らかになった。 筆者は選挙の不正操作、ひいては思想統制だけでなく、あらゆるインターネット上での活動を通してビッグテックが収集した情報は第三者や政府に監視目的で使われていることが最大の問題と考えている。 第十三章 新たな世界対戦 米中のデジタルイノベーションを遡って考えると、米国のビッグテックは表向きでは、世界で最も戦略的で高成長な業界を支配するために中国を相手に戦っているという姿勢を貫きながら、裏では利益のために中国の独裁政権と取引を行っている。 デジタルイノベーションに関して今後予想される対戦において、トップダウン型の監視国家があらゆるデータを集め、その管理も行う中央集権型の中国に挑むには、適切な監視と公平化が重要だと筆者は述べている。 第十四章 邪悪にならない方法 筆者は、このビッグテックの支配とこれからの競争を緩和・対応するには、超党派のメンバーで構成された独立委員会があらゆる問題について話し合い、問題を一般の大衆にも理解できる形で明らかにする必要があると主張している。また、ビッグテックにプラットフォーム上で起こる出来事にたいし法的に責任を免除されている現状の見直しや、活動の規制、課税、教育への投資の義務化等を挙げている。そして労働者層の保護も重要だと述べている。 私は高校在学中に同じ話題でレポートを書いたことがあり、問題提起としては以前読んだ書籍と代わりはないが、その中で新しい事例もあり、以前より私たちの生活に根をはるビッグテックの技術・サービスの負の側面を再確認することができた。 内容は多くの自らの経験と、様々な経緯や観点の事実に基づく分析がなされており、また、随所でビッグテックの称賛できる点についても言及し公平性を保とうとする努力も見られ、意見に説得力を感じた。 不満に感じた部分は、文章中で引用で登場する人物が余りにも多く、煩雑に見えたこと、多分に列挙された『邪悪』な事実に対して、結論が弱いと感じたことが挙げられる。もう少し具体的な方法を期待していただけに残念だった。 引用 … 続きを読む

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書評「5Gビジネス」

現在私たちが利用している携帯電話の移動通信システムの大半は4Gであるが、5Gが日本で本格的に商用化される未来はすぐそこまで来ている。本書では、5Gの普及による私たちの生活の変化について、事例を交えて紹介している。 5Gの導入によって動画配信サービスはより発展する。「5Gとはどういうことを実現するものか」について、国際電気通信連合(ITU)は、①高速大容量通信、②超信頼・定遅延通信、③多数同時接続の3つのビジョンを示している。これらについて本書では、5Gでは、より大きな電波の塊の送信、「C/U分離」という仕組みを持つ5Gのネットワークによる、基地局付近へのサーバーの設置、「グランド・フリー」という方式による接続の円滑化、が可能となるため、3つのビジョンが実現できるという。 私たち消費者にとって、5Gの高速大容量通信というメリットを実感できる一番のコンテンツは、動画である。通信速度の向上により、よりストレスフリーになることはもちろん、大画面化・高精細化にも期待がかかる。本書では、スマートフォンの次の形は折り畳み式であるという。2019年にサムスンは、5Gに対応した折り畳み式スマートフォン発表した。ディスプレイ技術の革新により柔軟に曲がるディスプレイが開発されたため、実現可能となったのだ。大画面のディスプレイは動画との相性がよく、今後発展する動画配信サービスに最適な端末だと感じた。 また動画配信サービスは、「マルチアングル」という方向にも発展するという。これは、ライブステージやスポーツの試合中の選手など、ある対象をいろいろな角度から撮影し、その映像を同時配信するという新しい視聴体験をもたらす方法である。高速大容量通信によって複数の動画を同時に伝送でき、スムーズな視点の変更も可能となるため、この視聴方法が主流となる日は遠くはないだろう。 本書ではその他に、自動車の自動運転化などの事例も取り上げられていたが、今回はより私たちに親しみ深い事例である動画配信サービスの点に着目した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため自宅で過ごす時間が多くなった現状で、動画配信サービスの需要は急速に拡大した。5Gの高速大容量通信は動画とのシナジーがあり、今後益々発展するだろう。しかし、通信インフラの提供力は通信需要を超える恐れがあると私は考える。現在私が利用している動画配信サービスでは、4Gで十分に視聴できていると感じている。4Gでも通信の遅延は少ないからである。したがって、動画配信サービスの観点からでは、私たちが5Gの恩恵を実感するには、先で述べたマルチアングルなどの新サービスが必要不可欠だと考える。 亀井卓也 「5Gビジネス」日経文庫 2019年6月14日発行

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