月別アーカイブ: 2023年6月

2023 メンバー写真

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実写版「リトルマーメイド」

今月日本で公開された人魚姫アリエルを描いたディズニーアニメ映画の実写版「リトルマーメイド」がアニメ版の白い肌に赤い髪が特徴のアリエルとは異なりアフリカ系の俳優を起用したことから論争を生んでいる。公式の解説資料で監督は「単にベストな人材を探していただけで人種に関する特定の意図はなかった」と述べている。しかし見た目の違いにSNSでは#Not my Arielというハッシュタグが拡散するなど批判が相次いだ。専修大の河野教授は「多文化主義を重視する現代の潮流を反映させた作品であるとは思うが、さらに時が経てば、多様性を重視したと思っていてもどこか欠けていたと評価される時がくるかもしれない。広い視野で捉える姿勢が必要だ」と述べている。 23/06/27 朝日新聞 23ページ

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カスハラ 精神障害労災基準追加へ

精神障害を労災認定する際の心理的負荷の基準に、客が理不尽な要求をするカスタマーハラスメント(カスハラ)を受けたり感染症にかかるリスクの大きい業務をしたりといった事例が追加される見通しである。カスハラによる精神障害が労災認定されるには、特に心理的負荷が大きい例として「客から治療を要する程度の暴行を受けた」「人格や人間性を否定する言動を受けた」などが条件に示されている。このような事例による影響は今も考慮されるが、基準に明記することでより認定に反映されやすくする狙いである。 23/06/21 朝日新聞 3ページ

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第三章

第一章、第二章でそれぞれ経営理念と多様性について確認した。第三章では、企業組織における認知的多様性に注目し、企業活動の事例を3つ取り上げる。 1.企業組織における多様性とは  社会的多様性は「人口統計的多様性」と「認知的多様性」に分けられる。企業経営における多様性として、近年注目されている「ダイバーシティ経営」は人口統計的多様性に分類される。 ダイバーシティ経営とは、経済産業省が2017年から進める政策で「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」を目指す動きのことだ。経済産業省のHPでは、『「多様な人材」には、性別・年齢・人種や国籍・障がいの有無・性的指向・宗教や信条・価値観などの多様性だけでなく、キャリアや経験・働き方などの多様性も含まれる。それぞれの持つ潜在的な能力や特性などを活かし、生き生きと働くことのできる環境を整えることによって、自由な発想が生まれ、生産性の向上、自社の競争力強化につなげることを目的とする』と書かれている[1]。   一方、本稿では企業組織における認知的多様性について検討することを目的とする。マシュー・サイドは「肌の色や性別が異なるからといって、認知的多様性が高まるわけではない。(中略)成功するチームは多様性に富んでいるが、その多様性には根拠がある」と述べていた。人種や性別などの人口統計的多様性が豊かな企業組織でも、考え方や価値観が同じであれば、事業に対する意見も似通ってしまう。企業組織における認知的多様性の定義として、第一章で確認した経営理念の概念を用いて「経営理念に対する共感度が様々な段階の人が組織にか関わること」とする。 2.事例研究 認知的多様性を創出するための企業活動として3つの事例を取り上げる。本稿では企業組織における認知的多様性を「経営理念に対する共感度が様々な段階の人が組織に関わること」と定義したため、経営理念に対する共感度が違う段階の社員と交流している事例や、組織外部とのつながりを積極的に取り上げる。  ①社外取締役[2] 自社の論理や経営に捉われず、経営理念を株主の視点から捉える役割として社外取締役が挙げられる。社外取締役の役割について、腕時計やそこから派生した精密機器事業で知られるセイコーインスツル(以下、SII)で起きた経営陣の解任例を取り上げる。  社外取締役は株式会社のコーポレートガバナンスにおいて重要な役割を担う。内部取締役による経営監視を外部者の客観的な視点から補強する役割だ。株式会社が大規模化し所有と経営が分離すると、株主と経営者の間の利害の不一致に伴うエージェンシー問題が起きる。株主の利害に沿って経営者を行動させるためのコーポレート・ガバナンスの重要な機関の一つが取締役会である。一般的に業務の執行に関与している内部取締役と、経営者などからも独立な他の企業の経営者や有識者などの社外取締役で構成され、重要事項の決定、代表取締役の選定及び解職などの権限が与えられている。取締役会の議案の中で、通常の業務に直接関わる事項は経営会議・常務会などの社内機関を経て社内取締役には共有されていることが多い。彼らが自社の論理のみに立脚し目先の利益に目を奪われてしまったような場合に、社外取締役には株主の理論や中長期的な視点で異論を唱える役割がある。また、経営理念が形骸化していないか、ひとつの経営判断・意思決定がその会社の理念に合致しているかどうかを判断し、意見を対立させ、議論することは企業統治に重要な意味をもたらす。そのためには、当該企業や経営陣としがらみがないことが必要だ。社内の利害関係にとらわれないことで、社外取締役は経営の透明性・健全性を図るための重要な役割を果たすことができる。社外取締役になるための条件は会社法に定められている通りで、近年は女性の登用が相次いでいる。 2006年11月16日、SIIの代表取締役会長兼社長代行の席にあった服部純市氏を解任する旨の緊急動議が提出された。解任の理由とされたのは「独断的な経営手法によって合理的な経営執行を怠り、会社に多大な不利益をもたらす可能性が高まった。同時に従業員の著しい不信感を招いた」ことであった。この解任劇でキャスティング・ボードを握ったのは、二人の社外取締役である。当初、内部での混乱は世間に公にされていなかったため、社外取締役に対して解任の考えがすんなり受け入れられることはなかった。 純市氏はMBAを取得後、1999年に41歳で社長に就任。業績が悪化していたSIIの経営改善計画「SII21構想」を掲げ、一定の評価がなされる手腕を発揮した。しかし2005年からのトップ人事は混乱し、短い期間で退任・就任の変更が繰り返された。さらに、2006年の夏以降純市氏の「独断」が横行し、反対意見を持つ幹部に退職を迫ったり、実際に退職させるなどしていた。これらを見兼ねた取締役常務執行役員の加藤精彦は純市に退任を迫られながらも、社外取締役2人に根回しを試みた。この二人は純市が招いた取締役で、ミドル層である部長級幹部五十人の請願書を受けて「従業員の著しい不信感を招いている」との判断に至った。 これは社外取締役が経営者の監視役として機能し、社外の視点が生かされた例だ。  ②プロジェクトごとの社外チーム 社外の相談役など、経営理念に対しての捉え方が違う社外の人と一緒にプロジェクトを行う例として、プロジェクト・ベースで組織編成をしている米国のフッ素ポリマーの研究開発企業「W・L・ゴア・アンド・アソシエーツ社」(以下、ゴア社)の事例を取り上げる。  プロジェクト・チームとは、特定の問題解決を図るために必要な人材と経営資源を集めて、期間を区切って一時的に形成される集団である。既存の製品やサービスを継続的に供給する常設の組織単位とは別に、研究や新規の開発・問題解決を図るために複数のプロジェクト・チームを常時設置し、必要に応じて新設・改廃しながら、組織活動を展開していく。問題が解決すると解散され、プロジェクトの新設・改廃に伴って、かなりの人材、資源、知識が流動する構造になっているのが特徴だ。  ゴア社は1958年にアメリカデラウェア州ニューアークで創立され、スキーウェアに用いられる「ゴアテックス」でよく知られている。現在5大陸に12000人を超える社員を擁し、年間売り上げは45億ドルに上る[3]。ゴア社は開発に重点を置いた会社であり、自社の製品技術やその事業領域は技術の変化が著しく、対応速度の速さが求められる。部や課など、ピラミッド型の階層組織ではなく、プロジェクト・チーム中心の水平的な組織編成を採用し、社長以外社員は肩書を持っていないことで有名だ。 プロジェクトはアイデアを持つメンバーが起案し、他の社員に参加を呼び掛ける。10人程度が集まるとリーダーを中心にプロジェクトが結成される。他のプロジェクトから勧誘したり、社外からの人材を採用するなどして事業として発展すれば、メンバーは200人を超えて、独立した事業所を形成する場合もある。基本的に、プロジェクトに対して上司はおらず、スポンサーと言われる有力な商談相手を持つことが義務付けられている。賛同者や協力者が得られない場合やうまく組織できない場合には、プロジェクトは消滅する。  若林直樹(2009)はゴア社の基本的な組織原則として、6つの特徴を挙げている。①直接的なコミュニケーション関係を中心とし、②権限関係を固定せず、③上司ではなく相談相手としてのスポンサーを持つ。④プロジェクト参加者の自発的なリーダーシップ、⑤明確な目標、⑥実質的にコミットされている職能だけの編成という特徴だ[4]。 ゴア社について、(株)ヒューマンバリューの川口大輔氏は「ゴア社では、ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)を通して役割が与えられるのではなく、自ら自分のコミットメントを明らかにして仕事をします。そして、仕事やプロジェクトは、コミットメントの高い一人ひとりが自然につながったスモールチームによって進められます。(中略)ゴア社が目指しているのは、「人は主体性、情熱を持った存在であり、それを解き放つことで最高の価値を生み出せる」という、上記とは対極にある哲学にあるように思います。そして、この哲学をとことん信じ、追求し、具現化し、必要のない管理構造を手放していった結果、今のような経営の在り方が生み出されたのではないかと感じました。」と述べられている。[5] ③変わった人の採用 JT [1] ダイバーシティ経営の推進 (METI/経済産業省) [2] 会社法では社外取締役は「当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人ではなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人になったことがないもの」と定められている。(会社法2条15号及び16号) [3] ゴアについて | History and Information | 日本ゴア (gore.co.jp) [4]若林直樹(2009)『ネットワーク組織』有斐閣pp70~73 [5] Web労政時報 第3回:個人の主体性・情熱を最大限に高めるチーム・組織づくり~ゴア社から学ぶこと~(全12回)|インサイトレポート|リサーチ|WHAT WE … 続きを読む

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ダイエット幻想

著者は文化人類学者で、現代の日本のダイエットを多角的な視点から考察しており主に描かれるのは若い女性が陥りがちな問題、健康的な身体以上の過剰な「痩せ」を求める現代社会の危険性を考察する。ダイエットをする理由が健康を求めること以外に他者との比較と承認欲求、かわいいの追求とその背景にある価値観、シンデレラ体重が加わり「痩せすぎ」を生んでいるなど。またSNSに溢れる「痩せ」の称賛、メディアからの影響も関与しているとの見方もある。最後に著者は、そうした呪縛から解放されるためにもダイエットの語源である生き方に着目しどのように生きていけばいいかを考察している。 23/06/18 朝日新聞 21ページ 山梨全県

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「サイクルミー」セブンで全国販売

セブンイレブンジャパンは15日、心身の健康を意識した食品ブランド「サイクルミー」のセブンイレブン限定飲料やスナックを全国販売すると発表した。体内時計に着目し、いつどんな栄養をとるかという時間栄養学をふまえた食品ブランドで、朝なら食物繊維が取れる飲料、夜には「罪悪感」の少ない豆類といった商品12品を展開する。開発の中心となったのは三井物産の子会社ドットミーで、SNS上で飛び交う言葉を分析しコンセプトを固めた。パッケージには食欲を減退させる色とされるグレーをあえて使い、成分のアピールを控えめにすることでいかにもではない逆転の発想で女性や若者をとらえる狙いである。 23/06/16 朝日新聞 7ページ

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蛙化現象 Z世代に流行

Z世代を対象としたシンクタンクZ総研が5月に調査したところ、言葉部門のトレンド一位に「蛙化現象」が選ばれた。恋愛対象の格好悪い部分を見ると気持ちが冷めるといった意味合いで使われ、SNSなどで頻繁に見られてきた。蛙化現象という言葉からは、ネットで多数と繋がることがたやすくなっている反面関係が切れることにもドライになっていると考えられる見方もある。一方本来の意味は好きな相手に好意を抱かれると逆に相手に嫌悪感を抱く状態を指すとの声もあるが、いずれにせよ表現に思いやりをもつことはいつの時代も求められるだろう。 23/06/13 朝日新聞 7ページ  

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多様性おもちゃにも

今月行われた最新のおもちゃ約3万5千点が集まる東京おもちゃショーでは多様性やデジタル化など、世相を映したおもちゃの展示が目立った。 タカラトミーが4月に発売した8代目の人生ゲームでは、従来結婚は当然のプロセスであったのがルーレットによってするかしないかの選択肢ができ、青とピンクの2色だけであったピンは新たに四色が加えられた。他にも今春発売された同社の着せ替え人形リカちゃんの「せいふくコーデセット」ではスラックスかスカートを選んで遊ぶことができる。またデジタル化の波もきており、キャラクター育成ゲームたまごっちは初めてWi-Fi機能を搭載し世界中のユーザーが育てたキャラクターと交流ができるようになった。このように玩具業界でも時代に沿って多様な価値観や技術を反映させる動きが進められている。 23/06/09 朝日新聞 7ページ

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第二章 多様性について

第二章では、多様性の定義を明確にし、集団における多様性の重要性を確認する。 1.多様性とは 多様性とは多くの側面を持つ言葉であり、その定義が曖昧になりやすい。現代社会で注目されている多様性には大きく分けて2つあり、「生物多様性」と「社会的多様性」である。 はじめにで記した通り、生物多様性とは『生きものたちの豊かな個性とつながりのこと。(中略)生命は一つひとつに個性があり、全て直接に、間接的に支えあって生きている』ことである[1]。 社会的多様性の側面では、近年「DEI」の概念が注目されている[2]。DEIとは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルーションの略称で、差別をなくし平等な社会を目指すSDGsの一環となる考え方だ。「ダイバーシティ」とは年齢・性別・民族・宗教・疾病・性自認・性的指向・教育・国籍等の違いを尊重することで、「インクルーション」は包摂を意味し、どのような個人や集団であっても、歓迎され、尊重され、支援され、評価され、参加できるような環境を作る必要性を表している。以前はダイバーシティ&インクルーションと呼ばれていたが、近年「エクイティ」の重要性が注目されている。エクイティとは公平性を表す言葉であり、情報、機会、リソースへアクセスする権利を保証するもので、マイノリティ格差の不均衡を是正することを目指している。   2.集団における多様性の重要性 ここで社会的多様性の重要さについて理解を深めるため、登山の公募隊からCIAまで、集団としての組織と多様性の重要性について書かれたマシュー・サイドの著書を参考にする[3]。まず集団における多様性の定義と条件を明確にし、次にその重要性を3つの観点から述べ、最後に実生活に活かすための3つのポイントをまとめる。 ①集団における多様性の定義と条件 考え方が異なる人々の集団は大きな力をもたらす。大勢の人々話を聞くと人それぞれ多様性の使われ方が違っていたが、一般的に性別・人種・年齢・信仰などの多様性は「人口統計的多様性」と呼ばれ、ものの見方や考え方の違いは「認知的多様性」と区別される。 高い集団知を生む認知的多様性には2つの条件がある。「問題が複雑であること」と「問題空間をできるだけ広く覆える根拠のある多様性であること」の2つである。直線的ではない何層にも折り重なった複雑な問題の解決には、違う見方をする者同士が共有し合うことでより高い集合知を得ることが出来る。さらに、集合知を得るためには多様性だけでなく賢い個人も必要となる。対処する問題と密接に関連し、かつ相乗効果を生み出す視点を持った人々が集まることが求められる。 ②集団における多様性の重要性 集団における多様性の重要性は3つの観点にまとめられる。1つ目は画一的な組織では健全性が低くなる点、2つ目は支配型のヒエラルキーでは情報が共有されにくくなる点、3つ目はイノベーションには集団の社交性が求められる点の3つである。 画一的な集団には盲点が生まれ、集団の健全性が損なわれる危険性がある。一見すると集団の人数の多さと多様性は比例すると思われるが、人は大きなコミュニティに属すると自分の考えと似ている人を選り好む選択肢が増え、より狭いネットワークを構築する傾向がある。同じ背景を持つ者ばかりで意思決定集団を形成すると盲目になりやすい(集団のクローン化)。同じ意見のもの同士でコミュニケーションを繰り返すと特定の信念が強化される危険性がある(エコーチェンバー現象)。似たような現象として挙げられる「フィルターバブル」は、反対意見を遮断し社会から孤立する分、いったん外部の意見に晒されると信念が揺らぎやすいカルト集団などを指す。対して、エコーチェンバー現象では反対意見に触れることでいっそう狂信的になる。誰を権威とし何が信頼できる情報か、の「信頼のフィルター」を重ね、フェイクニュースとして反対派の人物の信憑性まで攻撃する。 例え個人個人はどれだけ優秀な集団でも、同じような枠組みで物事を考える集団では盲点も共通する可能性が高い。異なる視点を持つ人々を集めることは、多様な視点で自分の盲点に気づかせ合えることができるようになる効果があるのだ。集団の健全性を確認するには、信条に沿わない部外者に対し、その人の信頼度を貶める行為を積極的に行っていないかを考える必要がある。政治的信条などの二項対立を招きやすい問題において有意義な話し合いをするには、正しいコミュニケーションを取れる信頼を築くことが欠かせない。   組織においてヒエラルキーは欠かせないが、複雑な状況下でリーダーが賢明な判断を下すには、その集団内で多様な視点が共有されていることが大切だ。無意識のうちにヒエラルキーは効果的なコミュニケーショの邪魔をする(権威の急勾配)。複数の人数で会議をする場合を例に挙げても、数人だけが発話の主導権を握る傾向や(不均衡なコミュニケーショ問題)、集団の構成員が特定の意見に同調して一方向になだれ込む傾向(情報カスケード)、同調行動(バンドワゴン効果)は日常的に見られる現象だ。 ヒエラルキーの形には「支配型のヒエラルキー」と「尊敬型のヒエラルキー」の2種類ある。決定事案遂行するだけの場合には、指揮系統が明確なため前者がふさわしい。従属者は恐怖で支配され、リーダーを真似る傾向がある。集団の支配者が異議を自分の地位に対する脅威と捉える環境では多様な意見が出にくくなる。新たなアイデアを出したり、アイデアを考え直す際には後者が有効だ。従属者は、ロールモデルとしてのリーダーに自主的に敬意を抱き、集団全体が協力的な体制を築いていく。心理的安全性が保障されている環境では、有益な情報や視点が共有されやすい。ヒエラルキーと多様性の両方のメリットを得るためには、ヒエラルキーのあらゆる層から意見やアイデアを引き出し、共有可能な関連の知識を持つ人全員から学ぶ環境を作る必要がある。   イノベーションにおいて最も重要なのは組織の社交性である。イノベーションも2つの種類に分けられる。改良など特定の方向に向かって一歩ずつ前進しでいく「漸進的イノベーション」と、これまで関連のなかった異分野のアイデアを融合する「融合のイノベーション」の2つである。後者はそれまで関連のなかったアイデア同士を掛け合わせることで、問題空間を広くカバーできる手法だ。世界的に有名な起業家に共通する要素として移民であることや芸術思考が挙げられるのは、特定の思考の枠組みから抜け出して別の角度からあらためて物事をとらえる力として「概念的距離」や「第三者のマインドセット」を持っているからである。 新たな組み合わせが生まれるたびに、さらに新たな組み合わせが見つかる可能性は広がっていく(隣接可能性)。アイデアは人と共有することで、さらに新たなアイデアが見つかる可能性が広がるのだ(情報のスピルオーバー効果)。イノベーションはある偉人個人の知力によって生まれるのではなく、知的想像力は人とのつながりの連鎖の中で強まる。高い社交性によって築かれた社会的ネットワークでは集団的知性が生まれる。創造のエネルギーはこうしたコミュニティの中で高まり、長期的な競争優位性をもたらす。   ③多様性を実生活に活かすための3つのポイント チーム作りやチームワーク、コラボレーションにける多様性の必要性を理解することで組織や社会はより活性化できる。同じようなものの見方や考え方の枠組みが似ている集団では集合知を発揮することが出来ない。集合知を得るには個人個人の「違い」も大切だ。一人一人の意見のエラーは問題ではなく、「反逆者のアイデア」をきっかけに視点が広がることが重要である。 多様性を活かすための3つのポイントとして、無意識のバイアスを取り除くこと、陰の理事会を活用すること、与える姿勢を意識することの3つが挙げられる。無意識のバイアスとは、自分では気づかないうちに持っている偏見や固定観念のことだ。知識のネットワークを拡大し集合知を高めるためには、才能ある人々が理不尽にチャンスを奪われるケースを少なくする必要がある。判断に不必要な情報を隠して審査をすることなど、歴史的に積み重なった構造的なバイアスを解体しマイノリティ格差のない公平な社会を築くことが求められる。陰の理事会とは、重要な戦略や決断について若い人材が上層部に意見を言える場のことで、ヒエラルキーが効果的なコミュニケーションを邪魔するのを防ぐ効果がある。年功序列の壁を壊し、予想外の角度から問題に取り組む若い層とコミュニケーションを図る方法だ。多様な社会で他者とのコラボレーションを成功させるには、自分の考えや知恵を相手と共有しようとする「ギバー」の心構えが求められる。「与える人」は多様性豊かなネットワークを構築でき、視野の広い、反逆者のアイデアを数多く得られる。 [1] 生物多様性とはなにか | 生物多様性 -Biodiversity- (biodic.go.jp) [2] DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)とは・何か | Sustainable Japan [3]

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物流2024年問題  

24年4月以降トラックドライバーの年間拘束時間が約200時間減少され、時間外労働の上限が設けられる。ドライバーの長時間労働の上に成り立ってきた物流が滞るおそれがある「2024年問題」に対し政府は荷主と物流の各事業者、消費者に協力を求め対策をまとめた。事業者にはドライバーの配送先での待ち時間や荷物の積み下ろし作業などの削減を求め、取り組みが不十分なら法的措置を取ることも検討し、消費者には宅配ボックスを普及させることで再配達を削減する。ドライバーの労働時間が規制され運べる荷物の総量が減るなどの2024年問題は、背景にある運送業界の構造的な問題を変えていけるかがカギとなる。 23/06/03 朝日新聞 1ページ  

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