月別アーカイブ: 2012年12月

  結論  ここまで原子力発電導入の経緯と原子力発電が如何にして促進してきたかをみてきた。福島原発事故後、原子力の危険性を知ることになり『脱原発』の流れになりつつある日本だが、その導入には国の巧みな政策があったことがわかった。電力会社には『電気事業法』により儲かる仕組みを、原子力発電を受け入れた自治体には『電源三法』による交付金を支給することで、国は原子力発電の促進を図ってきた。つまり2つのスキームが存在したと考えられる。1つ目には電気を作る会社にお金を交付すること。2つ目には原子力の危険性をお金でカバーすることである。 では原子力発電の代わりとなる新エネルギーの促進にこの仕組みはいかせないだろか。第四章で「すぐに又はいずれかは脱原発を進めたい」と回答したのは4つの自治体に留まり、多くの自治体が原子力発電による交付金を受け続けたいと考えられる。既存の原子力発電に対する交付金は受け続けたいのだろうが、しかしあの事故後、原子力発電は当然のこと、2つ目のスキームによる新エネルギーの導入は受け入れられないのは明白だ。よって新エネルギーの促進には1つ目のスキームなら活かせるのではないかと考える。     現在、新エネルギーは技術的に実用化段階に達しつつあるが、経済性の面から普及が十分でないと言われている。このため、導入にあたっては、国等から補助金の支援措置がもっと必要になってくるだろう。現在でも固定価格買い取り制度など電気供給者に対する支援は行っている。その成果は顕著に表れており、太陽光発電導入量は2011年度まで約480万kwだったのが2012年度だけで約200万kwも増えた。ここで大切なことは我々国民が皆で新エネルギーを育てているという意識を持つことである。固定価格買い取り制度の負担は電気料金に賦課され需要者である私達が支払っている。勿論過度の負担はかえって新エネルギー促進を止めることになりかえなく、適性価格を見極めてもらう必要もあるが、皆で新エネルギー育てていこうではないか。そして今後太陽光発電などの新エネルギーの発電効率を高めていくことで、エネルギー施設を作れば作るほど電気供給者が儲かるという1つ目のスキームも導入できると考える。

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3章 遺伝子組み換え食品

狂牛病に続いて食の安全を脅かしたのは遺伝子組み換え食品である。遺伝子組み換えとは、DNAレベルで生物の品種改良を行う技術である。遺伝子組み換え食品は、その遺伝子組み換え技術を利用した作物や商品の事であり、利点として以下の3点があげられる。 1.栄養に優れた作物や日持ちのする作物など消費者のニーズにあったものができる。 2.低温・乾燥・塩害などの不良環境や病虫害に強い農作を作ることで食糧問題解決に繋がる。 3.病虫害抵抗性を付与することによる農薬使用量の減少で環境破壊を防げる。 一方で、長期的な安全が確認されていない不安要素が問題点としてある。しかし、短期的な安全は確認されている。 例として、健康食品として販売されていた必須アミノ酸の一つである「L-トリプトファン」を食べた人が、「好酸球増加筋肉痛症候群」という症状を起こしました。1988-89年にかけて判っているだけでも米国を中心にして約1600人の被害者を出し、そのうち38人が死亡するということがありました。その「L-トリプトファン」製剤は、日本の企業が遺伝子組み換えをした細菌に作らせて製品化したものでした。予想外のタンパク質が生成され、それがある体質の人に作用したという事があった。 他にも、企業による種子市場の独占や遺伝子組み換え作物は環境に良くないといった問題点がある。種子の独占が起これば、1つの企業による種子市場の価格コントロールや単一作物に世界が頼ることになります。 上記の不安から、日本では遺伝子組み換えが安全か危険かは消費者が決めるべきであるという考えが生まれます。選択権として2001年4月から表示義務と安全審査を行っています。日本では、遺伝子組み換えである、遺伝子組み換えでない、遺伝子組み換え不分別の3パターンがあり、遺伝子組み換えでないと表示されても混入率が5パーセント未満なら表示可能である。EUでは0.9パーセントであり、人の口には直接入らない家畜の餌にまで表示義務がある。遺伝子組み換えでないは、表示するかは自由ですので、5パーセント未満なら、どの企業も表示すると思われるし、EUに比べて徹底されていない。 また、表示義務の対象外というものもある。遺伝子が食品になる段階で壊されていて検証不能なものが当てはまります。遺伝子組換え技術を用いて生産された作物のうち、日本で食品としての流通が認められているのは、大豆(枝豆、大豆もやし含む)、とうもろこし、じゃがいも、菜種、綿実、アルファルファ、てん菜の7種類である。こうしたものも、しっかり表示しなければフェアでないと思います。 アメリカでは科学的に遺伝子組み換え作物が全く含まれないというデータを集めないと「遺伝子組み換えでない」と表記できないことになっている。なぜなら、「遺伝子組み換えでない」と表示された製品が必ず安全であると誤解を生んでしまうからです。 TPPが日本で可決されれば世界のさまざまな基準の食品が日本に入ってきます。その中で、食の安全を守っていくには、国同士で統一されたEU並みの厳しい規制が必要だと思います。 参考文献 遺伝子組み換え食品の「リスク」 三瀬 勝利   日本放送出版協会 2001年3月

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アメリカ産LNG、日本上陸なるか

2012 12/7 日経 朝刊 3面 米エネルギー省は12/5、米産LNGの輸出拡大が、「米国の利益にかなう」とする報告書を発表。かねてからあった、輸出が増えれば国内ガス価格上昇につながるという、消費者、産業界からの不満があり、輸出計画の審査は凍結していたが、今回の報告書を受け、凍結していた審査を再開する方針を示した。日本では東日本大震災の影響を受け、火力発電の需要が拡大し、輸出量が急増している。燃料費の増加したことで、東京電力は電気料金の値上げを行ったが、米国産LNGを安定確保できれば、値上げ抑制につながる可能性があるとみている。

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病気遺伝子の急増

  米国立保健研究所などのグループは、29日付英科学誌ネイチャー(電子版)に、過去5千年から1万年で人のDNAには病気の原因となる変異が急増しているという遺伝子解析の結果を発表した。一般的には、生存に不利な変異が起きても自然淘汰されるはずだが、栄養状態や公衆衛生の改善による急激な人口増で淘汰が追い付かなくなったらしい。グループは今回の結果を「病気を起こす変異研究の新しい手法の開発につながる」としている。  

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iPS細胞、新培養法確立か

2012 12/11 日経朝刊 16面 京都大学iPS細胞研究所(所長山中伸也氏)は患者を対象に再生医療を実施する際に使うiPS細胞の培養法(京大方式)を確立した。現在のiPS細胞の培養法は、動物から成分をとりだし、未知の成分をふくむため、安全面が考慮されていたが、「京大方式」では培養の足場材料に「ラミニン」と呼ぶたんぱく質の断面を用い、それに加え企業と研究チームはまったく動物の成分がない培養液を開発した。また新手法は安定性にも優れ、作業の大幅に簡素化可能だ。これにより、iPS細胞の普及にも通じる可能性がある。培養液と足場材料の世界での販売を検討している。実現すれば、再生医療に使うiPS細胞の作製、培養方法を日本が握ることになる。

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鎮痛剤適量判断へ

朝日 朝刊 2012,11/29 東京都医学総合研究所などのチームが、同じ量の鎮痛剤を使っても患者によってよく効く場合とそうでない場合がある「感受性」を決める遺伝子の違いを突き止めた。鎮痛剤の適量は5~10倍の個人差があり、痛みが十分に取れないなどの問題があるが、適量がわかるような遺伝子検査が実用化されれば、強い痛みに悩むがん患者に朗報となるだろう。また、この結果は人の体で出したことに意義がある。

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がんの目印発見

2012 12/4 日経 朝刊 14面 京都大学の千葉教授および、妹尾講師らが、「がん幹細胞」。このことは3日発表の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(電子版)に掲載された。研究チームは消化管の正常な幹細胞として考えられていた遺伝巣のDclk1に注目し、大腸がんのマウスを調べると、がんはこの遺伝子が働いた細胞の子孫となる細胞からできているということをつきとめた。この細胞だけを攻撃する毒素を加えると、がんは1/4に減少し、正常な組織に副作用は現れなかった。Dclk1はほかのがんでも、肝細胞の目印になる可能性があるという。

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卒業研究

序論 現在私達の生活は原子力発電に支えられていることは否定できないだろう。2011年3月11日、震災により福島原子力発電事故が起こった。その後、急速に『脱原発』の動きが強まった日本だが、すぐには脱却できていない現状をみれば、いかに私達の生活には欠かせないものになっていたかがわかるだろう。 しかし、ここで一つの疑問が浮ぶ。それはこの原子力発電という名の種は如何にして日本にやってきて、この大地に根付いたのだろうか。そして政治家達はこの種にどんな水をあげることで、大地に深くまで根を張ることができたのだろうか。 本章ではこのことを紐解いていくことで、その仕組みを今後のエネルギー政策に活かせないか考えていきたい。   第二章 外国から原子力発電が入ってきた経緯 なぜ日本は原子力発電を導入することになったのかをみていきたい。そこにはアメリカとの外交が大きく関わっていると言われている。<参考文献①>アメリカは冷戦下(1945年2月ヤルタ会談以降)で、ソ連との核開発競争に危惧の念を抱き国連総会で原子力平和利用(1958年12月8日)を提唱した。そして平和利用を世界に示すターゲットとなったのは日本だった。<①>日本にはエネルギー源がないため原子力発電による電気供給がその問題を大きく解消する(それと同時に、アメリカは日本が共産化することを恐れ、アメリカの資本主義陣営に入れるためとも言われている<①>)ためでもあったそうだ。 ここで原子力の平和利用で核軍縮を提唱したアメリカだったが、実際のところ水爆実験(1946年~1958年)を行っていた。そしてその実験の被害を受け、日本漁船の船員が死亡することになる。第五福竜丸事件(1954年3月1日)である。これにより反米意識が高まる日本国民に対し、アメリカは日本テレビと読売新聞の取締役社長である正力松太郎と接触を図った。<①>そしてアメリカはそのメディアを利用し原子力の平和キャンペーンを行った。この「毒(=原子力)をもって毒を制す」と謳われたキャンペーンにより国民の意向は原子力発電推進に傾き、原子力発電推進派の正力松太郎が衆院選挙当選を果たすことで原子力発電導入に至ることとなった。   第三章 原子力発電導入を促進させた政策 ①電力会社に対する政策 では次に原子力発電を広めるにあたって、国が電力会社に対して行った政策について考えていきたい。その中で重要な政策に「電気事業法」(1964年7月11日制定)が挙げられるだろう。<②>この「電気事業法」とは、電気供給者の利益保護と電気事業の健全な発展という目的のために制定された電気事業規制の根本となる法律である。<③> なぜこの法律が重要かというと日本の電気料金はこの法律に基づき「総括原価方式」が採用されていたからである。「総括原価方式」とは発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬率を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるよう電気料金を決めるやりかたである。<④>つまり電力会社を経営するのに掛かるすべての費用をコストに転嫁することができる上に、一定の利益率まで保証されている。<⑤>なぜなら、戦後の荒廃の中、経済復興をはかるために公益性の高い電力事業を基幹産業として保護育成するためにとられた政策だからである。<⑤> このように電力会社は法律によって保護されることで多くの収益を得ている。そして電力会社を経営するのに掛かるすべての費用をコストに転嫁できるこの仕組みにより、原子力発電をつくればつくるほど儲かる仕組みに繋がっている。そのために原子力発電が次々と増えることに繋がったのと考える。   ②国民に対する政策 この章では原子力発電を広めるにあたって国が行った政策を考えていきたい。国が国民に対して行った重要な政策として電源三法(1974年6月3日制定)による交付金制度が挙げられるだろう。<②>この電源三法とは「電源開発促進税法」「特別会計に関する法律」「発電用施設周辺地域整備法」の総称であり、原子力・水力・地熱等の長期固定電源を重点的に支援し、電源地域の振興、住民福祉等の地域活性化、安全性確保及び環境保全に関する地元理解の増進など、発電用施設の設置及び運転の円滑化を図るための施策である。 それぞれの法律の内容をみていくと、「電源開発促進法」は発電用施設の設置の促進及び運転の円滑化、またこれら発電施設の利用促進や安全の確保等を図ることが目的であり、その費用は一般電気事業者の販売電気に電源開発促進税を課し徴収している。 「特別会計に関する法律」は電源開発促進税法による収入を、発電所の周辺地域の整備や安全対策をはじめ、発電用施設の設置及び運転の円滑化のための交付金や補助金などを交付するための法律である。 「発電用施設周辺地域整備法」は発電用施設の周辺地域における公共用施設の整備等を促進し、地域住民の福祉の向上をはかり、発電用施設の設置及び運転を円滑化することが目的である。当該都道府県が「公共用施設整備計画」、「利便性向上等事業計画」を作成し、それに基づいて交付金が交付される。 このように国家が原子力発電を推進するにあたり、「特別会計に関する法律」「発電用施設周辺地域整備法」により交付される交付金や補助金が大きな支えとなっていた。<⑥>これによりその地域の人は不安ながらも原子力発電設置を認めることになった。つまりお金と原子力発電設置のバーターが行われていたのだ。   第四章 交付金による恩恵 前章では電源三法による交付金制度をみてきたが、この制度は2003年10月1日に法改正された。これによって以前は公共施設の整備などに用途が限定されていたが、整備した施設の維持運営費にも活用できるようになった。さらに改正の大きな特長としては、新たな対象事業として「地域活性化事業」を設け、さまざまなソフト事業にも支援できるようになったのだ。<⑦> では実際に交付金を支給されている自治体はどのような暮らしをしているのだろうか。福井県を例に見ていきたい。福井県は原発を13基と日本で一番保有しており『原発銀座』と言われている。そして2010年度までの37年間に、3461億円の交付金が配分された。そのうち2010年度に配当された金額は約216億円である。そしてその用途としては、主に公共施設の建設や過去に建設された施設の維持費などが多くを占めている。しかしソフト事業分野でも若者のニート対策支援に3千万円、県立高校のパソコン整備に6億円、不妊治療助成などに1億2千万円などと県民の生活に密着したところに活用されている。<⑧> 公共施設の整備から県民の生活に密着したソフトな面に至るまで交付金はその地域の人々には必要なものとなっている。<⑨>現に甚大な被害をだした福島原発事故後、原発を保有している28の自治体に対して行なったアンケートで、「すぐに又はいずれかは脱原発を進めたい」と回答したのは4つの自治体にとどまっている。<⑩>結果として原子力発電導入を促進させた制度は成功したと言えるだろう。   結論     <参考文献> ①NHK現代史スクープドキュメント『原発導入のシナリオ~冷戦下の対日原子力戦略~』(1994年3月16日放映) http://www.youtube.com/watch?v=EbK_OlzTaWU ②『原発のウソ』 小出裕章 2011年6月1日初版 ③電気事業法 http://100.yahoo.co.jp/detail/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E6%B3%95/ ④電気事業連合会 http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/oshirase/__icsFiles/afieldfile/2012/02/03/press20120203.pdf#search ⑤総括原価方式  http://minkara.carview.co.jp/userid/478945/blog/23212761/ ⑥『電源立地制度の概要』 経済産業省資源エネルギー庁 (2009年3月) http://www.enecho.meti.go.jp/topics/pamphlet/denngenn.pdf#search … 続きを読む

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