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卒業研究<完成版>

序論 現在私達の生活は原子力発電に支えられていることは否定できないだろう。2011年3月11日、震災により福島原子力発電で事故が起こった。その後、急速に『脱原発』の動きが強まった日本だが、すぐには脱却できていない現状をみれば、いかに私達の生活には欠かせないものになっていたかがわかるだろう。 しかし、ここで一つの疑問が浮ぶ。それはこの原子力発電という名の種は如何にして日本にやってきて、この大地に根付いたのだろうか。そして政治家達はこの種にどんな水をあげることで、大地に深くまで根を張ることができたのだろうか。 本章ではこのことを紐解いていくことで、その仕組みを今後のエネルギー政策に活かせないか考えていきたい。   第二章 外国から原子力発電が入ってきた経緯 なぜ日本は原子力発電を導入することになったのかをみていきたい。そこにはアメリカとの外交が大きく関わっていると言われている<参考文献1>。アメリカは冷戦下(1945年2月ヤルタ会談以降)で、ソ連との核開発競争に危惧の念を抱き国連総会で原子力平和利用(1958年12月8日)を提唱した。そして平和利用を世界に示すターゲットとなったのは日本だった<参考文献1>。日本にはエネルギー源がないため原子力発電による電気供給がその問題を大きく解消する(それと同時に、アメリカは日本が共産化することを恐れ、アメリカの資本主義陣営に入れるためとも言われている<参考文献1>)ためでもあったそうだ。 ここで原子力の平和利用で核軍縮を提唱したアメリカだったが、実際のところ水爆実験(1946年~1958年)を行っていた。そしてその実験の被害を受け、日本漁船の船員が死亡することになる。第五福竜丸事件(1954年3月1日)である。これにより反米意識が高まる日本国民に対し、アメリカは日本テレビと読売新聞の取締役社長である正力松太郎と接触を図った<参考文献1>。そしてアメリカはそれらのメディアを利用し原子力の平和キャンペーンを行った。この「毒(=原子力)をもって毒を制す」と謳われたキャンペーンにより国民の意向は原子力発電推進に傾き、原子力発電推進派の正力松太郎が衆院選挙当選を果たすことで原子力発電導入に至ることとなった。   第三章 原子力発電導入を促進させた政策 ①電力会社に対する政策 では次に原子力発電を広めるにあたって、国が電力会社に対して行った政策について考えていきたい。その中で重要な政策に「電気事業法」(1964年7月11日制定)が挙げられるだろう<参考文献2>。この「電気事業法」とは、電気供給者の利益保護と電気事業の健全な発展という目的のために制定された電気事業規制の根本となる法律である<参考文献3>。 なぜこの法律が重要かというと日本の電気料金はこの法律に基づき「総括原価方式」が採用されていたからである。「総括原価方式」とは発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬率を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるよう電気料金を決めるやりかたである<参考文献4>。つまり電力会社を経営するのに掛かるすべての費用をコストに転嫁することができる上に、一定の利益率まで保証されている<参考文献4>。なぜなら、戦後の荒廃の中、経済復興をはかるために公益性の高い電力事業を基幹産業として保護育成するためにとられた政策だからである<参考文献5>。 このように電力会社は法律によって保護されることで多くの収益を得ている。そして電力会社を経営するのに掛かるすべての費用をコストに転嫁できるこの仕組みにより、原子力発電をつくればつくるほど儲かる仕組みに繋がっている。そのために原子力発電が次々と増えることに繋がったのと考える。   ②国民に対する政策 この章では原子力発電を広めるにあたって国が行った政策を考えていきたい。国が国民に対して行った重要な政策として電源三法(1974年6月3日制定)による交付金制度が挙げられるだろう<参考文献6>。この電源三法とは「電源開発促進税法」「特別会計に関する法律」「発電用施設周辺地域整備法」の総称であり、原子力・水力・地熱等の長期固定電源を重点的に支援し、電源地域の振興、住民福祉等の地域活性化、安全性確保及び環境保全に関する地元理解の増進など、発電用施設の設置及び運転の円滑化を図るための施策である。 それぞれの法律の内容をみていくと、「電源開発促進法」は発電用施設の設置の促進及び運転の円滑化、またこれら発電施設の利用促進や安全の確保等を図ることが目的であり、その費用は一般電気事業者の販売電気に電源開発促進税を課し徴収している。 「特別会計に関する法律」は電源開発促進税法による収入を、発電所の周辺地域の整備や安全対策をはじめ、発電用施設の設置及び運転の円滑化のための交付金や補助金などを交付するための法律である。 「発電用施設周辺地域整備法」は発電用施設の周辺地域における公共用施設の整備等を促進し、地域住民の福祉の向上をはかり、発電用施設の設置及び運転を円滑化することが目的である。当該都道府県が「公共用施設整備計画」、「利便性向上等事業計画」を作成し、それに基づいて交付金が交付される。 このように国家が原子力発電を推進するにあたり、「特別会計に関する法律」「発電用施設周辺地域整備法」により交付される交付金や補助金が大きな支えとなっていた。<参考文献6>これによりその地域の人は不安ながらも原子力発電設置を認めることになった。つまりお金と原子力発電設置のバーターが行われていたのだ。   第四章 交付金による恩恵 前章では電源三法による交付金制度をみてきたが、この制度は2003年10月1日に法改正された。これによって以前は公共施設の整備などに用途が限定されていたが、整備した施設の維持運営費にも活用できるようになった。さらに改正の大きな特長としては、新たな対象事業として「地域活性化事業」を設け、さまざまなソフト事業にも支援できるようになったのだ<参考文献7>。 では実際に交付金を支給されている自治体はどのような暮らしをしているのだろうか。福井県を例に見ていきたい。福井県は原発を13基と日本で一番保有しており『原発銀座』と言われている。そして2010年度までの37年間に、3461億円の交付金が配分された。そのうち2010年度に配当された金額は約216億円である。そしてその用途としては、主に公共施設の建設や過去に建設された施設の維持費などが多くを占めている。しかしソフト事業分野でも若者のニート対策支援に3千万円、県立高校のパソコン整備に6億円、不妊治療助成などに1億2千万円などと県民の生活に密着したところに活用されている<参考文献8>。 公共施設の整備から県民の生活に密着したソフトな面に至るまで交付金はその地域の人々には必要なものとなっている<参考文献9>。現に甚大な被害をだした福島原発事故後、原発を保有している28の自治体に対して行なったアンケートで、「すぐに又はいずれかは脱原発を進めたい」と回答したのは4つの自治体にとどまっている<参考文献10>。結果として原子力発電導入を促進させた制度は成功したと言えるだろう。   結論 ここまで原子力発電を導入に至った経緯と原子力発電が如何にして促進してきたかをみてきた。福島原子力発電での事故後、原子力の危険性を知り、『脱原発』の流れになりつつある日本だが、その導入のプロセスには国の巧みな政策があったことがわかった。電力会社には『電気事業法』により儲かる仕組みを、原子力発電を受け入れた自治体には『電源三法』による交付金を支給することで、国は原子力発電の促進を図ってきた。つまり2つのスキームが存在したと考えられる。1つ目には電気を作る会社にお金を交付すること。2つ目には原子力の危険性をお金でカバーすることである。 では原子力発電の代わりとなる新エネルギーの促進にこのスキームはいかせないだろか。第四章で「すぐに又はいずれかは脱原発を進めたい」と回答したのは4つの自治体に留まり、原子力発電所をもつ多くの自治体が原子力発電による交付金を受け続けたいとの意向が見て取れる。現在、交付金を受け取っている自治体は原子力発電から、たかが半径数㎞の範囲だろう。しかし今回の事故により、広範囲で放射能が観測され、避難範囲は福島原子力発電所から半径30㎞とされた。よって今後、原子力発電所をつくる際には、現在よりも広範囲に交付金を配布することが必然となる。今後2つ目のスキーム、つまり『お金とのバーター』による新エネルギーの導入が容易でないのは明白だ。よって新エネルギーの促進には1つ目のスキームである『電気を作る会社にお金を交付すること』なら活かせるのではないかと考える。 現在、新エネルギーは技術的に実用化段階に達しつつあるが、経済性の面から普及が十分でないと言われている。このため、導入にあたっては、国等から補助金の支援措置がもっと必要になってくるだろう。現在でも固定価格買い取り制度など電気供給者に対する支援は行っている。その成果は顕著に表れており、太陽光発電導入量は2011年度まで約480万kwだったのが2012年度だけで約200万kwも増えた。ここで大切なことは我々国民が皆で新エネルギーを育てているという意識を持つことである。固定価格買い取り制度の負担は電気料金に賦課され需要者である私達が支払っている。勿論、過度の負担はかえって新エネルギー促進を止めることになりかねなく、適性価格を見極めてもらう必要もある。そして今後、太陽光発電などの新エネルギーの発電コストを下げていくことで、エネルギー施設を作れば作るほど電気供給者が儲かるという1つ目のスキームも導入できると考える。     <参考文献> ①NHK現代史スクープドキュメント『原発導入のシナリオ~冷戦下の対日原子力戦略~』(1994年3月16日放映) http://www.youtube.com/watch?v=EbK_OlzTaWU ②『原発のウソ』 小出裕章 2011年6月1日初版 ③電気事業法 http://100.yahoo.co.jp/detail/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E6%B3%95/ ④電気事業連合会 http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/oshirase/__icsFiles/afieldfile/2012/02/03/press20120203.pdf#search … 続きを読む

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  結論  ここまで原子力発電導入の経緯と原子力発電が如何にして促進してきたかをみてきた。福島原発事故後、原子力の危険性を知ることになり『脱原発』の流れになりつつある日本だが、その導入には国の巧みな政策があったことがわかった。電力会社には『電気事業法』により儲かる仕組みを、原子力発電を受け入れた自治体には『電源三法』による交付金を支給することで、国は原子力発電の促進を図ってきた。つまり2つのスキームが存在したと考えられる。1つ目には電気を作る会社にお金を交付すること。2つ目には原子力の危険性をお金でカバーすることである。 では原子力発電の代わりとなる新エネルギーの促進にこの仕組みはいかせないだろか。第四章で「すぐに又はいずれかは脱原発を進めたい」と回答したのは4つの自治体に留まり、多くの自治体が原子力発電による交付金を受け続けたいと考えられる。既存の原子力発電に対する交付金は受け続けたいのだろうが、しかしあの事故後、原子力発電は当然のこと、2つ目のスキームによる新エネルギーの導入は受け入れられないのは明白だ。よって新エネルギーの促進には1つ目のスキームなら活かせるのではないかと考える。     現在、新エネルギーは技術的に実用化段階に達しつつあるが、経済性の面から普及が十分でないと言われている。このため、導入にあたっては、国等から補助金の支援措置がもっと必要になってくるだろう。現在でも固定価格買い取り制度など電気供給者に対する支援は行っている。その成果は顕著に表れており、太陽光発電導入量は2011年度まで約480万kwだったのが2012年度だけで約200万kwも増えた。ここで大切なことは我々国民が皆で新エネルギーを育てているという意識を持つことである。固定価格買い取り制度の負担は電気料金に賦課され需要者である私達が支払っている。勿論過度の負担はかえって新エネルギー促進を止めることになりかえなく、適性価格を見極めてもらう必要もあるが、皆で新エネルギー育てていこうではないか。そして今後太陽光発電などの新エネルギーの発電効率を高めていくことで、エネルギー施設を作れば作るほど電気供給者が儲かるという1つ目のスキームも導入できると考える。

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卒業研究

序論 現在私達の生活は原子力発電に支えられていることは否定できないだろう。2011年3月11日、震災により福島原子力発電事故が起こった。その後、急速に『脱原発』の動きが強まった日本だが、すぐには脱却できていない現状をみれば、いかに私達の生活には欠かせないものになっていたかがわかるだろう。 しかし、ここで一つの疑問が浮ぶ。それはこの原子力発電という名の種は如何にして日本にやってきて、この大地に根付いたのだろうか。そして政治家達はこの種にどんな水をあげることで、大地に深くまで根を張ることができたのだろうか。 本章ではこのことを紐解いていくことで、その仕組みを今後のエネルギー政策に活かせないか考えていきたい。   第二章 外国から原子力発電が入ってきた経緯 なぜ日本は原子力発電を導入することになったのかをみていきたい。そこにはアメリカとの外交が大きく関わっていると言われている。<参考文献①>アメリカは冷戦下(1945年2月ヤルタ会談以降)で、ソ連との核開発競争に危惧の念を抱き国連総会で原子力平和利用(1958年12月8日)を提唱した。そして平和利用を世界に示すターゲットとなったのは日本だった。<①>日本にはエネルギー源がないため原子力発電による電気供給がその問題を大きく解消する(それと同時に、アメリカは日本が共産化することを恐れ、アメリカの資本主義陣営に入れるためとも言われている<①>)ためでもあったそうだ。 ここで原子力の平和利用で核軍縮を提唱したアメリカだったが、実際のところ水爆実験(1946年~1958年)を行っていた。そしてその実験の被害を受け、日本漁船の船員が死亡することになる。第五福竜丸事件(1954年3月1日)である。これにより反米意識が高まる日本国民に対し、アメリカは日本テレビと読売新聞の取締役社長である正力松太郎と接触を図った。<①>そしてアメリカはそのメディアを利用し原子力の平和キャンペーンを行った。この「毒(=原子力)をもって毒を制す」と謳われたキャンペーンにより国民の意向は原子力発電推進に傾き、原子力発電推進派の正力松太郎が衆院選挙当選を果たすことで原子力発電導入に至ることとなった。   第三章 原子力発電導入を促進させた政策 ①電力会社に対する政策 では次に原子力発電を広めるにあたって、国が電力会社に対して行った政策について考えていきたい。その中で重要な政策に「電気事業法」(1964年7月11日制定)が挙げられるだろう。<②>この「電気事業法」とは、電気供給者の利益保護と電気事業の健全な発展という目的のために制定された電気事業規制の根本となる法律である。<③> なぜこの法律が重要かというと日本の電気料金はこの法律に基づき「総括原価方式」が採用されていたからである。「総括原価方式」とは発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬率を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるよう電気料金を決めるやりかたである。<④>つまり電力会社を経営するのに掛かるすべての費用をコストに転嫁することができる上に、一定の利益率まで保証されている。<⑤>なぜなら、戦後の荒廃の中、経済復興をはかるために公益性の高い電力事業を基幹産業として保護育成するためにとられた政策だからである。<⑤> このように電力会社は法律によって保護されることで多くの収益を得ている。そして電力会社を経営するのに掛かるすべての費用をコストに転嫁できるこの仕組みにより、原子力発電をつくればつくるほど儲かる仕組みに繋がっている。そのために原子力発電が次々と増えることに繋がったのと考える。   ②国民に対する政策 この章では原子力発電を広めるにあたって国が行った政策を考えていきたい。国が国民に対して行った重要な政策として電源三法(1974年6月3日制定)による交付金制度が挙げられるだろう。<②>この電源三法とは「電源開発促進税法」「特別会計に関する法律」「発電用施設周辺地域整備法」の総称であり、原子力・水力・地熱等の長期固定電源を重点的に支援し、電源地域の振興、住民福祉等の地域活性化、安全性確保及び環境保全に関する地元理解の増進など、発電用施設の設置及び運転の円滑化を図るための施策である。 それぞれの法律の内容をみていくと、「電源開発促進法」は発電用施設の設置の促進及び運転の円滑化、またこれら発電施設の利用促進や安全の確保等を図ることが目的であり、その費用は一般電気事業者の販売電気に電源開発促進税を課し徴収している。 「特別会計に関する法律」は電源開発促進税法による収入を、発電所の周辺地域の整備や安全対策をはじめ、発電用施設の設置及び運転の円滑化のための交付金や補助金などを交付するための法律である。 「発電用施設周辺地域整備法」は発電用施設の周辺地域における公共用施設の整備等を促進し、地域住民の福祉の向上をはかり、発電用施設の設置及び運転を円滑化することが目的である。当該都道府県が「公共用施設整備計画」、「利便性向上等事業計画」を作成し、それに基づいて交付金が交付される。 このように国家が原子力発電を推進するにあたり、「特別会計に関する法律」「発電用施設周辺地域整備法」により交付される交付金や補助金が大きな支えとなっていた。<⑥>これによりその地域の人は不安ながらも原子力発電設置を認めることになった。つまりお金と原子力発電設置のバーターが行われていたのだ。   第四章 交付金による恩恵 前章では電源三法による交付金制度をみてきたが、この制度は2003年10月1日に法改正された。これによって以前は公共施設の整備などに用途が限定されていたが、整備した施設の維持運営費にも活用できるようになった。さらに改正の大きな特長としては、新たな対象事業として「地域活性化事業」を設け、さまざまなソフト事業にも支援できるようになったのだ。<⑦> では実際に交付金を支給されている自治体はどのような暮らしをしているのだろうか。福井県を例に見ていきたい。福井県は原発を13基と日本で一番保有しており『原発銀座』と言われている。そして2010年度までの37年間に、3461億円の交付金が配分された。そのうち2010年度に配当された金額は約216億円である。そしてその用途としては、主に公共施設の建設や過去に建設された施設の維持費などが多くを占めている。しかしソフト事業分野でも若者のニート対策支援に3千万円、県立高校のパソコン整備に6億円、不妊治療助成などに1億2千万円などと県民の生活に密着したところに活用されている。<⑧> 公共施設の整備から県民の生活に密着したソフトな面に至るまで交付金はその地域の人々には必要なものとなっている。<⑨>現に甚大な被害をだした福島原発事故後、原発を保有している28の自治体に対して行なったアンケートで、「すぐに又はいずれかは脱原発を進めたい」と回答したのは4つの自治体にとどまっている。<⑩>結果として原子力発電導入を促進させた制度は成功したと言えるだろう。   結論     <参考文献> ①NHK現代史スクープドキュメント『原発導入のシナリオ~冷戦下の対日原子力戦略~』(1994年3月16日放映) http://www.youtube.com/watch?v=EbK_OlzTaWU ②『原発のウソ』 小出裕章 2011年6月1日初版 ③電気事業法 http://100.yahoo.co.jp/detail/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E6%B3%95/ ④電気事業連合会 http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/oshirase/__icsFiles/afieldfile/2012/02/03/press20120203.pdf#search ⑤総括原価方式  http://minkara.carview.co.jp/userid/478945/blog/23212761/ ⑥『電源立地制度の概要』 経済産業省資源エネルギー庁 (2009年3月) http://www.enecho.meti.go.jp/topics/pamphlet/denngenn.pdf#search … 続きを読む

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卒業研究

  序論     現在私達の生活は原子力発電に支えられていることは否定できないだろう。2011年3月11日、震災により福島原子力発電事故が起こった。その後、急速に『脱原発』の動きが強まった日本だが、すぐには脱却できていない現状をみれば、いかに私達の生活には欠かせないものになっていたかがわかるだろう。     しかし、ここで一つの疑問が浮ぶ。それはこの原子力発電という名の種は如何にして日本にやってきて、この大地に根付いたのだろうか。そして政治家達はこの種にどんな水をあげることで、大地に深くまで根を張ることができたのだろうか。     本章ではこのことを紐解いていくことで、その仕組みを今後のエネルギー政策に活かせないか考えていきたい。 第二章 外国から原子力発電が入ってきた経緯     なぜ日本は原子力発電を導入することになったのかをみていきたい。そこにはアメリカとの外交が大きく関わっていると言われている。アメリカは冷戦下(1945年2月ヤルタ会談以降)で、ソ連との核開発競争に危惧の念を抱き国連総会で原子力平和利用(1958年12月8日)を提唱した。そして平和利用を世界に示すターゲットとなったのは日本だった。日本にはエネルギー源がないため原子力発電による電気供給がその問題を大きく解消すると同時に、アメリカは日本が共産化することを恐れ、アメリカの資本主義陣営に入れるためでもあったそうだ。     ここで原子力の平和利用で核軍縮を提唱したアメリカだったが、実際のところ水爆実験(1946年~1958年)を行っていた。そしてその実験の被害を受け、日本漁船の船員が死亡することになる。第五福竜丸事件(1954年3月1日)である。これにより反米意識が高まる日本国民に対し、アメリカは日本テレビと読売新聞の取締役社長である正力松太郎と接触を図った。そしてアメリカはそのメディアを利用し原子力の平和キャンペーンを行った。この「毒(=原子力)をもって毒を制す」と謳われたキャンペーンにより国民の意向は原子力発電推進に傾き、原子力発電推進派の正力松太郎が衆院選挙当選を果たすことで原子力発電導入に至ることとなった。 <参考文献> ・NHK現代史スクープドキュメント『原発導入のシナリオ~冷戦下の対日原子力戦略~』(1994年3月16日放映) http://www.youtube.com/watch?v=EbK_OlzTaWU 第三章 原子力発電導入を促進させた政策 ①電力会社に対する政策     では次に原子力発電を広めるにあたって、国が電力会社に対して行った政策について考えていきたい。その中で重要な政策に「電気事業法」(1964年7月11日制定)が挙げられるだろう。この「電気事業法」とは、電気供給者の利益保護と電気事業の健全な発展という目的のために制定された電気事業規制の根本となる法律である。 なぜこの法律が重要かというと日本の電気料金はこの法律に基づき「総括原価方式」が採用されていたからである。「総括原価方式」とは発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬率を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるよう電気料金を決めるやりかたである。つまり電力会社を経営するのに掛かるすべての費用をコストに転嫁することができる上に、一定の利益率まで保証されている。なぜなら、戦後の荒廃の中、経済復興をはかるために公益性の高い電力事業を基幹産業として保護育成するためにとられた政策だからである。  このように電力会社は法律によって保護されることで多くの収益を得ている。そして電力会社を経営するのに掛かるすべての費用をコストに転嫁できるこの仕組みにより、原子力発電をつくればつくるほど儲かる仕組みに繋がっている。そのために原子力発電が次々と増えることに繋がったのと考える。 <参考文献> ・『原発のウソ』 小出裕章 2011年6月1日初版 ・電気事業法 http://100.yahoo.co.jp/detail/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E6%B3%95/ ・総括原価方式  http://minkara.carview.co.jp/userid/478945/blog/23212761/ ・電気事業連合会 http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/oshirase/__icsFiles/afieldfile/2012/02/03/press20120203.pdf#search ②国民に対する政策     この章では原子力発電を広めるにあたって国が行った政策を考えていきたい。     … 続きを読む

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卒業研究 第4章

第四章 交付金による恩恵 前章では電源三法による交付金制度をみてきたが、この制度は2003年10月1日に法改正された。これによって以前は公共施設の整備などに用途が限定されていたが、整備した施設の維持運営費にも活用できるようになった。さらに改正の大きな特長としては、新たな対象事業として「地域活性化事業」を設け、さまざまなソフト事業にも支援できるようになったのだ。 では実際に交付金を支給されている自治体はどのような暮らしをしているのだろうか。県内には原発が13基と日本で一番保有し、原発銀座とも言われる福井県を例に見ていきたい。2010年度までの37年間に、県内には3461億円の交付金が配当された。そのうち2010年度に配当された金額は約216億円である。そしてその用途としては、子育て支援のための一時預かり施設の運営に300万円、若者のニート対策のためのサポートセンターの運営に500万円、県立高校のパソコン整備に1億円、不妊治療助成などに1300万円などと県民の生活に密着したところに活用されている。また全国の90%を占めている眼鏡産業も1300万円割当てられており、今や交付金なしには成り立たない産業となりつつあるそうだ。 公共施設の整備から県民の生活に密着したソフトな面に至るまで交付金はその地域の人々には必要なものとなっている。現に甚大な被害をだした福島原発事故後、原発を保有している28の自治体に対して行なったアンケートで、「すぐに又はいずれかは脱原発を進めたい」と回答したのは4つの自治体にとどまっている。結果として原子力発電導入を促進させた制度は成功したと言えるだろう。   <参考文献> ・よくわかる原子力 http://www.nuketext.org/yasui_koufukin.html#tukaimichi ・眼鏡産業http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/chisangi/megane/meganesangyo.html ・福井県の幸福度 https://www.evernote.com/shard/s66/sh/492cd81a-81f7-426e-8b5f-6643ea82fbc8/5c5ae95fdbbda77766c1ca13bbece341 ・NHKによる「原発立地自治体アンケート」の結果 http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/600/87283.html ・電源地域振興センター http://www2.dengen.or.jp/html/leaf/sanpo/sanpo.html ・資源エネルギー庁 http://www.enecho.meti.go.jp/info/tokubetsukoufukin.htm

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卒業研究 第二章②

②電力会社に対する政策 では次に原子力発電を広めるにあたって、国が電力会社に対して行った政策について考えていきたい。その中で重要な政策に「電気事業法」(1964年7月11日制定)が挙げられるだろう。この「電気事業法」とは、電気供給者の利益保護と電気事業の健全な発展という目的のために制定された電気事業規制の根本となる法律である。 なぜこの法律が重要かというと日本の電気料金はこの法律に基づき「総括原価方式」が採用されていたからである。「総括原価方式」とは発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬率を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるよう電気料金を決めるやりかたである。つまり電力会社を経営するのに掛かるすべての費用をコストに転嫁することができる上に、一定の利益率まで保証されている。なぜなら、戦後の荒廃の中、経済復興をはかるために公益性の高い電力事業を基幹産業として保護育成するためにとられた政策だからである。 このように電力会社は法律によって保護されることで多くの収益を得ている。そして電力会社を経営するのに掛かるすべての費用をコストに転嫁できるこの仕組みにより、原子力発電をつくればつくるほど儲かる仕組みに繋がっている。そのために原子力発電が瞬く間に増えることに繋がったのと考える。   <参考文献> ・『原発のウソ』 小出裕章 2011年6月1日初版 ・電気事業法 http://100.yahoo.co.jp/detail/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E6%B3%95/ ・総括原価方式  http://minkara.carview.co.jp/userid/478945/blog/23212761/ ・電気事業連合会 http://www.fepc.or.jp/about_us/pr/oshirase/__icsFiles/afieldfile/2012/02/03/press20120203.pdf#search

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卒業研究 第二章①改訂

第二章 原子力発電導入を促進させた政策 ①国民に対する政策 この章では原子力発電を広めるにあたって国が行った政策を考えていきたい。 国が国民に対して行った重要な政策として電源三法(1974年6月3日制定)による交付金制度が挙げられるだろう。この電源三法とは「電源開発促進税法」「特別会計に関する法律」「発電用施設周辺地域整備法」の総称であり、原子力・水力・地熱等の長期固定電源を重点的に支援し、電源地域の振興、住民福祉等の地域活性化、安全性確保及び環境保全に関する地元理解の増進など、発電用施設の設置及び運転の円滑化を図るための施策である。 それぞれの法律の内容をみていくと、「電源開発促進法」は発電用施設の設置の促進及び運転の円滑化、またこれら発電施設の利用促進や安全の確保等を図ることが目的であり、その費用は一般電気事業者の販売電気に電源開発促進税を課し徴収している。 「特別会計に関する法律」は電源開発促進税法による収入を、発電所の周辺地域の整備や安全対策をはじめ、発電用施設の設置及び運転の円滑化のための交付金や補助金などを交付するための法律である。 「発電用施設周辺地域整備法」は発電用施設の周辺地域における公共用施設の整備等を促進し、地域住民の福祉の向上をはかり、発電用施設の設置及び運転を円滑化することが目的である。当該都道府県が「公共用施設整備計画」、「利便性向上等事業計画」を作成し、それに基づいて交付金が交付されます。 このように国家が原子力発電を推進するにあたり、「特別会計に関する法律」「発電用施設周辺地域整備法」により交付される交付金や補助金が大きな支えとなっていた。これによりその地域の人は不安ながらも原子力発電設置を認めることになった。つまりお金と原子力発電設置のバーターが行われていたのだ。   <参考文献> ・『電源立地制度の概要』 経済産業省資源エネルギー庁 (2009年3月) http://www.enecho.meti.go.jp/topics/pamphlet/denngenn.pdf#search ・電気事業連合会 http://www.fepc.or.jp/index.html

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卒業研究 第二章 

第二章 原子力発電導入を促進させた政策 ②国民に対する政策 この章では原子力発電を広めるにあたって国が行った政策を考えていきたい。 国が国民に対して行った重要な政策として電源三法(1974年10月施行)による交付金制度が挙げられるだろう。この電源三法とは「電源開発促進税法」「特別会計に関する法律」「発電用施設周辺地域整備法」の総称であり、原子力・水力・地熱等の長期固定電源を重点的に支援し、電源地域の振興、住民福祉等の地域活性化、安全性確保及び環境保全に関する地元理解の増進など、発電用施設の設置及び運転の円滑化を図るための施策である。 それぞれの法律の内容をみていくと、「電源開発促進法」は発電用施設の設置の促進及び運転の円滑化、またこれら発電施設の利用促進や安全の確保等を図ることが目的であり、その費用は一般電気事業者の販売電気に電源開発促進税を課し徴収している。 「特別会計に関する法律」は電源開発促進税法による収入を、発電所の周辺地域の整備や安全対策をはじめ、発電用施設の設置及び運転の円滑化のための交付金や補助金などを交付するための法律である。 「発電用施設周辺地域整備法」は発電用施設の周辺地域における公共用施設の整備等を促進し、地域住民の福祉の向上をはかり、発電用施設の設置及び運転を円滑化することが目的である。当該都道府県が「公共用施設整備計画」、「利便性向上等事業計画」を作成し、それに基づいて交付金が交付されます。 このように自治体は電源三法に基づく交付金をもらう代わりに原子力発電施設を建設することとなった。   <参考文献> ・『電源立地制度の概要』 経済産業省資源エネルギー庁 (2009年3月) http://www.enecho.meti.go.jp/topics/pamphlet/denngenn.pdf#search ・電気事業連合会 http://www.fepc.or.jp/index.html

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卒業研究 第一章(改訂)

第一章 外国から原子力発電が入ってきた経緯 (改訂) なぜ日本は原子力発電を導入することになったのかをみていきたい。そこにはアメリカとの外交が大きく関わっていると言われている。アメリカは当時冷戦下(1945年2月ヤルタ会談以降)で、ソ連との核開発競争に危惧の念を抱き国連総会で原子力平和利用(1958年12月8日)を提唱した。そこで平和利用を世界に示すターゲットとなったのは日本だった。日本にはエネルギー源がないため原子力発電による電気供給がその問題を大きく解消すると同時に、アメリカは日本が共産化することを恐れ、アメリカの資本主義陣営に入れるためでもあったそうだ。 ここで原子力の平和利用で核軍縮を提唱したアメリカだったが、実際のところ水爆実験(1946年~1958年)を行っていた。そしてその実験の被害を受け、日本漁船の船員が死亡することになる。第五福竜丸事件(1954年3月1日)である。これにより反米意識が高まる日本国民に対し、アメリカは日本テレビと読売新聞の取締役社長である正力松太郎と接触を図った。そしてアメリカはそのメディアを利用し原子力の平和キャンペーンを行った。この「毒(=原子力)をもって毒を制す」と謳われたキャンペーンにより国民の意向は原子力発電に傾き、原子力発電推進の正力松太郎が衆院選挙当選を果たすことで原子力発電導入に至ることとなった。   <参考文献> ・NHK現代史スクープドキュメント『原発導入のシナリオ~冷戦下の対日原子力戦略~』(1994年3月16日放映) http://www.youtube.com/watch?v=EbK_OlzTaWU

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卒業研究 第一章

第一章 外国から原子力発電が入ってきた経緯 なぜ日本は原子力発電を導入することになったのかをみていきたい。そこにはアメリカとの外交が大きく関わっている。アメリカは当時冷戦下で、ソ連との核開発競争に危惧の念を抱き国連総会で原子力平和利用を提唱した。そこでターゲットとなったのは日本だった。建前としては日本にはエネルギー源がなく原子力発電による電気供給がその問題を大きく解消すると。しかし本音の部分では冷戦下でアメリカは日本が共産化することを恐れ、アメリカの資本主義陣営に入れることだった。 ここで原子力の平和利用で核軍縮を提唱したアメリカだったが、実際のところ水爆実験を行っていた。そしてその実験の被害を受け、日本漁船の船員が死亡することになる。第五福竜丸事件である。これにより反米意識が高まる日本に対し、アメリカは日本テレビと読売新聞の取締役社長である正力松太郎と接触を図った。そしてアメリカはそのメディアを利用し原子力の平和キャンペーンを行った。この「毒をもって毒を制す」と謳われたキャンペーンにより国民の意向は原子力発電に傾き、原子力発電推進の正力松太郎が衆院選挙当選を果たすことで原子力発電導入に至ることとなった。   <参考文献> ・NHK現代史スクープドキュメント『原発導入のシナリオ~冷戦下の対日原子力戦略~』(1994年3月16日放映) ・『原子力戦争』 田原総一郎 筑摩書房1976

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