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作成者別アーカイブ: 小松崎 静
1章「リキッド消費の台頭」(改めたもの)
この章では、数十年前のそれからは大きく変容を遂げた「消費」の形を説明する為に、特に現代において「リキッド消費」と呼称されるものについて紹介していく。かつての社会で圧倒的に主流であった消費の形態は、「モノを所有して消費する」という消費の仕方だった。日本経済においては、戦後の高度成長期やバブル期に非常に盛んだった傾向であり、何かを所有すること、それ自体に価値が置かれていた消費の形態とも形容できる。そんな消費と対になる概念が「モノを所有せずに消費する」という消費の仕方を表すリキッド消費である。これは、正に現代になってから注目され始めた消費の形態であり、リキッド消費という概念が生まれ、議論がなされ始めたのも、比較的最近の2017年のことだ。但し、リキッド消費とは数年単位で移り変わるようなトレンディな消費傾向を指す言葉ではなく、今後数十年という単位で議論されるべき、大きな流れである。 近年リキッド消費が注目されるようになった理由は、一般的に「デジタル技術の進展(それに伴うシェアリングエコノミー、サブスクリプションサービスの浸透)」や「人々の価値観の変化」、「環境意識の高まり」などがあるとされている。中でも特に重要だと考えられるのは「デジタル技術の進展」である。スマートフォンなどに代表される個人デバイスの普及、インターネットなどの通信インフラの高度化によって、個々人は必要な時に必要な分だけ、商品やサービスにアクセスすることが可能になった。こうした環境の変化が、従来の「モノの所有」を中心とした消費形態から、「モノの利用」を重視する新しい消費形態の創出を促した。近年のシェアリングエコノミーやサブスクリプションサービスの急速な拡大は、リキッド消費の社会浸透を象徴する最たる例と言える。 その具体例として、2つの企業を取り上げてみる。 まず第一に、音楽産業においては、サブスクリプション型のストリーミングサービスを提供する企業が増加傾向にあるが、ここではその中でも世界最大手と名高いSpotifyを挙げる。Spotifyは、2025年現在、世界180ヶ国以上の国と地域で、7億1300万人のユーザー(うち2億8100万人が有料会員)に利用されている。主なサービスとして、膨大な楽曲カタログへのアクセス権を月額料金制で提供しており、ユーザーは所有する為の購入行為を行うことなく、必要な時に必要な楽曲に即座にアクセスできる。これはCDやダウンロード購入を前提とした従来の消費とは異なり、リキッド消費に即した形の消費行動を社会にもたらした。同社は、現在に至るまで継続的にユーザー数と収益を伸ばし続けてきている。月間ユーザー数は、2015年第一四半期時点では6800万人であったのが、2024年第一四半期時点では5億7000万人を超え、2025年第一四半期時点では6億7500万人を獲得している。特に2024年から2025年にかけては月間ユーザーが1億人増加しており、さらに有料会員に関しても、2億3000万人から2億6300万人と、大幅な伸び率を記録している。 第二に、シェアリングエコノミーの代表例として、パーク24の提供する大手カーシェアリングサービス、タイムズカーシェアを取り上げる。カーシェアリングは、個人が自家用車を所有する代わりに、必要なときだけ近隣のステーションから車両を利用できるサービスである。予約から返却までが無人で完結することや、時間制でどんなタイミングでも気軽に使用ができることなどから、レンタカーよりもさらに柔軟性のある利用を可能にしている。従来通り、車両を所有した上で利用する場合には、車両本体の購入費用や維持費、駐車代等、多くのコストに向き合わねばならないが、カーシェアリングはこうした負担を全て取り除く。このカーシェアリングという事業形態が社会に受容され、利用されている所にも、使いたい時に使いたいだけアクセスするという、リキッド消費の浸透を見ることが出来る。
1章
1章「リキッド消費の台頭」 この章では、数十年前のそれからは大きく変化を遂げた「消費」の形を説明する為に、特に現代において「リキッド消費」と呼称されるものについて紹介していく。かつての社会において圧倒的に主流であった消費の形態は、「モノを所有して消費する」という消費の仕方だった。特に日本の歴史の中では、戦後の高度成長期やバブル期に非常に盛んだった傾向であり、何かを所有すること、それ自体に価値が見出されていたとも言える。そんな消費と対になる概念が「モノを所有せずに消費する」という消費の仕方を表すリキッド消費である。これは、正に現代になってから注目され始めた消費の形態であり、リキッド消費という概念が生まれたのも、人類史的に見れば比較的最近の2017年のことだ。しかし、ここ最近で話題になっているという側面からして誤解されがちだが、リキッド消費とは数年単位で移り変わるようなトレンディな消費傾向を指す言葉ではなく、今後数十年という単位で議論されるべき、大きな流れである。とはいえ、人間の生活とは切っても切り離せない消費という大きな概念に、近年新たなスペクトラムが加わった、というのは些か想像がつきにくいかもしれない。だが、近代になってようやく見出されたというのにも、やはりそれなりの理由がある。一般的に「デジタル化の進展(それに伴うシェアリング・サービス、サブスクリプション・サービスの浸透)」や「所有から利用へ、というような人々の価値観の変化」、「環境意識の高まり」などが理由として挙げられているが、特に重要であると考えられるのは「デジタル化の進展」である。つまり、インターネットの普及とスマートフォンなどに代表される個人デバイスの普及だ。 (これ以降研究内容か、ソリッド消費の話になってしまう)
卒論に関して
【章立て(仮)】 ①社会におけるソリッド消費からリキッド消費への変遷 ②リキッド消費、ソリッド消費とは(先行研究の事例など) ③前項を踏まえてのモノ消費、コト消費、トキ消費とは何か、またリキッド消費やソリッド消費との差異などのまとめ ④現状の整理(推し活市場の拡大やトキ消費の流行などについて) ⑤トキ消費とソリッド消費の関連性の説明、及び今後のコンテンツ・ビジネスにおけるモノの販売戦略の検討 ⑥結論 前回の言論をある程度整理したもの モノ消費は殆どソリッド消費と同じ意味を持ち、コト消費は魅力的なサービスや空間設計によってデザインされた「時間」を消費する為、リキッド消費そのものというと語弊があるが、それを促進するものとして扱われる。そしてさらに、コト消費よりも限定性や非再現性、参加性や貢献性が特に高い消費がトキ消費と言われている。例えば音楽ライブだとかワールドカップ観戦だとか、応援上映だとかだ。トキ消費は、コト消費に要素が加わった進化系とも捉えられる。 (基本調べたものをベースに解釈していますが、自分のことなので、前回のように間違った解釈をしている部分があるかもしれません。) 無論細部(価値の源泉や何を示すものなのか)は異なるが、リキッド消費が広まってきたという背景のもと、コト消費やトキ消費が増加傾向にあるというように、ある程度重なる部分があり、相関させて整理することが出来ると、私は考えている。 そんな中で、こと推し活であるとかトキ消費だとかに関しては、よく「所有したモノを用いて参加・応援する」ということがかなりの規模感で行われているということに私は気がついた。ソリッド消費とトキ消費が繋がったような感じがした(まぁ多分繋がっちゃいないんだろうが)のはこの時だ。リキッド消費が広まる中で、ソリッド消費の強みを再認識する機会がある、というのが興味深かった。 そして、凄まじく狭い対象のように感じられるが、推し活に代表されるような「トキ消費に先立つ(あるいはトキ消費の価値を一層高めようとする)ソリッドな消費」というのが、個人的には1番面白く、そして昨今において活発な消費行動だと考えた。それは好意だとか熱意だとか所有欲だけに根差すものではなく、トキ消費が内包する性質である参加性や貢献性が働いているものだ。その存在を主張したい、というのが、恐らくは最も自分が言いたいことだ。考えがふわっとしているし、下手くそな文だから、どの道理解は得られないだろうが。 未だに上手く言えないが、リキッド消費やらが広がる社会の中でそういった消費行動があり、今後さらに広がっていく可能性があると示されているというのは面白いことであり、今後のコンテンツ・ビジネスにおいてどんなモノを売り出していくのかを考慮する上で、示唆に富むものになるのではないかと考えた訳だ。 ただし、これに関しては自身の実体験から得た感覚や経験が主な情報源となっている為、論文として書き上げるのは難しいかもしれない。様々な要素を考慮すると、一からまた考え直した方が良いだろう。
卒論 アウトライン
【テーマ(タイトル):『推し活』から考えるソリッド消費の未来】 昨今、シェアリングサービスやサブスクリプションサービスなどに代表されるような、アクセスベースで、モノ自体を所有しないリキッド消費が広まりを見せている。これまでの物的所有をベースとした消費であるソリッド消費とは対になる消費の形態であるといえるが、数々の言説の中で、「ソリッド消費がなくなることはない」とされている。考えてみれば当然のことだが、しかしソリッド消費がなくなることはなくとも、今後どのようになっていくか、についてはあまり触れられておらず、ソリッド消費そのものについて掘り下げられることは存外ないように見受けられる。 そこで、この論文ではリキッド消費と対比させながらも、現代のコンテンツ・ビジネスにおけるソリッド消費について焦点を当ててみたいと考える。 このリキッド消費が広がる社会の中で、ソリッド消費が選好されるような状況とは、どんなものなのか。今日の若者の消費傾向として確実に存在する消費傾向である「推し活」には、その答え、ないしはヒントがある、と私は考えている。扱う題材が故に、取り敢えずはコンテンツ・ビジネスに限った話にはなるが、リキッド消費が広がる現代においても、ソリッド消費を意識することの重要さを主張していきたい。
AI雑誌資料
ゼミ用のやつ ↑添える文章がぜんっぜん思いつかなかった為、一旦実行結果のせただけの資料です。(AIオススメコンテンツ、作詞作曲、小説作成 ※全部原文そのままコピーしたり、SSしたものです) https://suno.com/song/00d6a403-6b8e-43db-a18b-85dca94e575d ↑AI君が作成してくれたものです。
【論文要約・紹介 デジタル社会におけるブランド戦略】
この研究は、Bardhi&Eckhardt(2017)の「リキッド消費」の概念をもとに、デジタル社会におけるブランド戦略を広い視点から検討するもの、としている。 Kubota(2020)の先行研究を踏まえ、リキッド消費と社会の液状化現象を消費行動の観点から再考し、それに対応するブランド戦略のあり方を探る。つまり、「リキッド消費が進む中で企業や組織が取るべきブランド戦略の方向性を俯瞰的に検討すること」が本研究の目的である。 I.リキッド社会におけるブランド消費 1.リキッド消費環境におけるブランド消費傾向 はじめに、筆者はリキッド消費の特性(短命性、アクセスベース、脱物質)について説明している。(ここでは割愛する)また、リキッド消費がブランド消費行動において①使用価値の重視や使用価値志向の行動、②量的な意味での物質主義の強まり、③活発なブランド遷移、④占有志向の弱まり、⑤ロイヤルティとコミットメントの希薄化、⑥不即不離の関係、⑦流動的な愛着、⑧コミュニティの変化といったことが重要になると述べている。 2.文脈への適合と消費の手軽さがもたらす心地よさ 本節は、リキッド消費環境において、消費者はその時々の文脈に応じて最適なブランドを消費していくという書き出しに始まる。 これまで重視されてきた「象徴的価値」や「自己とブランドの結び付き」などの要素の影響が小さいものとなり、より実用的で大きな効用をもたらす変化に富んだ消費を、消費者はするようになる訳だ。そんな中で、マーケターは流動的なニーズに適切に対応することとなる。文脈に応じて製品・サービスを変化させたり、選択や購買に関する消費者の労力を低減させることで、「より大きな効用をもたらす変化に富んだ消費」を実現する。 リキッド消費を前提としたブランド・マーケティングでは、文脈への適合とブランド消費の手軽さがポイントだという。これらが消費者に与える快適性、心地よさは、リキッド消費に対応したブランド戦略の鍵であると、筆者は考えている。 3.2つの戦略 前項の文章(文脈、というと紛らわしい為変えてあるが、その意である)を踏まえると、「裾野を広げる」と「生活の中に溶け込む」という2つの戦略を導き出せるのだそうだ。 裾野を広げる戦略というのは、リキッド消費環境において起こりがちなブランド・スイッチング傾向を肯定的に捉えた上で、より多くの消費者を自社ブランドのユーザーとして獲得する戦略。 一方で生活の中に溶け込む戦略というのは、必要な時に必要なものを提供し、消費者の日常を形作る存在となる戦略。 これらはそれぞれ、「心地よい取引」を武器にした広い範囲から消費者を取り込もうとする「幅」の戦略と、「心地よい関係」を武器として顧客との関係を深化させる「深さ」の戦略だといえる。 1つ目は従来のブランド戦略の応用だが、2つ目の生活に溶け込む戦略はこれまでのものとは趣を異にするものであるようだ。 II.裾野を広げる 1.戦略の概要 ブランド・スイッチングを前提とした、裾野を広げる戦略では、いわゆるロイヤル・ユーザーだけでなく、購買額や購買頻度が低い顧客にも目を向けなければならない。その為には、消費者にとって手軽で買いやすい状態を提供して、「心地よい取引」をしてもらうのが重要。 この戦略の背後には、Ehrenbergが指摘した「ダブル・ジョパディ」という経験的法則が理論的基盤として存在している。多くの市場データの分析から、市場シェアの高いブランドは市場浸透率(その市場を構成する人々の中で、ある一定期間内に1度でもそのブランドを購入したことがある人の割合)が高く、購買頻度もやや高い傾向にあるが、市場シェアの低いブランドは顧客の少なさとロイヤルティの弱さ(低購買頻度)という二重苦(Double Jeopardy)を背負っている、というのが指摘の内容である。 ダブル・ジョパディは、市場に「極めて類似する」「同等のメリット」を持つようなブランドが複数存在し、大半の消費者は同じようなブランドでも知名度の高いものを選好する為に発生するという。 こうして市場シェアの低いブランドは市場浸透率も購買頻度も低いものとなる訳だが、これまでの研究や調査により、購買頻度の差については、実際僅かであることが分かっているようだ。その為、ダブル・ジョパディを考慮した議論においては、大きなブランドを目指すのならば、市場浸透率を高めるべきだという結論に辿り着くのが一般的だという。 ここまでの説明から、ダブル・ジョパディの考え方は、リキッド消費の示唆する購買行動によく当てはまるものであることが分かる、と筆者は述べる。また、手軽で買いやすい状態を提供することで、自社ブランドのユーザーを多く獲得しようとする戦略が導けるようだ。また、この裾野を広げる戦略には、さらに3つの下位戦術が考えられるという。 2.戦術1:選択・購買・使用を容易にする 第1の戦術は、つまりその場に応じた価値(とりわけ使用価値)を、簡単に選び、手に入れ、使えるようにすることを意味している。より多くの消費者を自社ブランドのユーザーとして取り込む為には、いわゆるライト・ユーザーにも目を向ける必要があるため、こうした工夫はとても大切だという。 第1の戦術の要点となるのが、「ブランドの意味のわかりやすさ」である。ブランドの意味が分かりやすくなると、知識や動機づけが十分でなくとも、その場のニーズにフィットしたブランドを選びやすくなる。 もうひとつ要点となるのが、「手続きの容易さ」だ。例えば発注、支払、配送の手続きを自動化したり、省力化したりすることは手続きの容易さにつながる。 筆者は最後に、「安心感」を高めることも大切だと付け加えている。 3.戦術2:消費者が多様性を楽しめるようにする これは文脈に合わせて最適なブランドを消費したいという、バラエティを求める移り気な消費者へのアプローチである。 この第2の戦術を実践する方法は少なくとも2つある。1つは特定のブランドを使用し続けながら、新製品やリニューアルによって変化に富んだ消費を経験できるようにする方法。もう1つは、積極的にバラエティ・シーキング行動を支援する方法で、この場合ブランド・ポートフォリオを充実させることで、自社ブランド内を回遊してもらうような仕組みが有効となる。 4.戦術3:非能動的な選択を促す いわば、「コカ・コーラ」でも他のジュースでも良い時に、「コカ・コーラ」を選んでもらえる確率を高める戦術だ。 リキッド消費環境では、実用的なベネフィットに重点が置かれ、多くのブランドのコモディティ化が促されることになり、深く考えずに買ってみるといった行動が多くなる。 非能動的な選択の1つは、たまたま買ったというような偶発的な選択。このタイプの戦術の鍵となるのが、ブランド認知と「セイリエンス(顕現性)」を高めることだという。 非能動的な選択には、無意識的あるいは習慣的な選択もある。こういったことは珍しくなく、無意識的な選択を促すなら、感覚マーケティングや選択アーキテクチャの研究が参考となる。 III.生活の中に溶け込む 1.戦略の概要 第1の戦略が個人との相互作用を前提としないものであるのに対して、第2の戦略は相互作用によって、顧客一人一人を理解し、パーソナライズされた対応をしようとするもの。そこでは、消費者の求めるものを察し、ブランド側が自ら柔軟に対応することで、生活の中での接点を増やす。そして消費者の生活になじみ、一体になろうとすることから、「生活の中に溶け込む」戦略と言えるようだ。 これの具体例として、筆者はAppleなどのエコシステム型ブランド、Amazonなどの生活を多面的に支える小売・サービスブランドを挙げている。 … 続きを読む
【論文要約・紹介 「デジタル化時代の消費文化」】
【はじめに】 昨今の消費及びそれに関連する活動は、PC・スマホなどの通信デバイスによって、オンラインで行われるようになってきたことについて触れる。この消費プロセスの浸透については、1990年代以降から動きがあったが、特にコロナ禍での生活様式の変遷により、一層それが加速したと説明。 AIやIoTなど画期的なデジタル技術の登場、デジタル・インフラの整備等、生活や社会のあらゆる領域での「デジタル化」が進展していく中で、消費者が何をどのように求めるのかが劇的に変化している、と筆者は述べる。 また、デジタル化は利用やアクセスを重視できる消費環境を構築した為、これまでの消費(=ソリッド消費)の特徴だった所有感覚や物質主義という基盤を揺るがしている。これまでその基盤の上で議論されてきた、消費社会学的研究である、「顕示的消費」、「記号消費」、「消費者のアイデンティティ形成」、「プロシューマー」、「マクドナルド化」などの概念は再考されなければならないとしている。 本論文では、第1に「拡張自己」(Belk/2013)、「リキッド消費」(Bardhi and Eckhardt/2017)、そして「マクドナルド化」(Ritzer and Miles/2019)という3つの先行研究の整理を行い、第2にこれらを消費プロセスの中に位置付けた上で、デジタル化の影響を考察する。第3に、以上の結果を踏まえた上で、今後の研究においての課題について提案を行うとしている。 【拡張自己】 筆者は、Belkがインターネットが普及する前に提唱した拡張自己の概念を、デジタル化が進む現在に適応させたと説明する。拡張自己を捉え直す為に、Belkは「脱物質化」、「再具現化」、「共有」、「自己の共構築」、「分散記憶」という5つを、デジタル化における重要な変化としており、元の概念に考察を加えているようだ。 「脱物質化」は、所有物がモノの形を取らなくなること。紙やCD、DVDなどの記録メディアが必要だったものや、ゲームの中の実在しない所有物(売買の対象にもなる)などが該当する。 「再具現化」は、SNSやゲームなど、視覚的に表現されるオンライン環境において、具体的に自己を提示できるということ。かつては自分に付随するモノ(服や髪型や車など)を変えることでのみ表現していたアイデンティティが、より自由に簡単に操作され、使い分けることする出来るという。 「共有」は、SNS、掲示板、YouTubeなど誰もが参加して簡単に情報を発信できるWebサービスの爆発的な増加を示している。多くの人に自己顕示が出来るが、自己イメージのコントロールが困難になることもある。 「自己の共構築」とは、他者との相互作用により、自己が共同で構築されることである。SNSユーザーは、その特性から他者からの承認や自己肯定感を追求するようになる。 「分散記憶」とは、様々なデジタル・ツールの発展により、自伝的な記憶や思い出がほぼ無限に蓄積でき、かつそれらを自由に取り出せること。かつては、所有物に過去の記憶が埋め込まれているとされてきたが、今では写真やツイートなどの形で、PCやスマートフォンなどに分散して保存されている。 結論として、従来の拡張自己概念がデジタル世界においても有効であることだけでなく、むしろ新たなデジタル製品・サービスの登場により、事故拡張の手段が飛躍したと主張されている。他方で、仮想所有物と物的所有物では自己拡張の効果の強弱が異なるという指摘もある。 ただし、これらの議論は、基本的には情報財や情報コンテンツの消費に限るものというのを留意しなければならないと、筆者は述べている。とはいえ、デジタル化は従来からあるモノやサービスと消費者との関係性も変化させており、その点を補足するのが、次項で触れる「リキッド消費論」である。 【リキッド消費】 ここで筆者はバウマンのリキッド・モダニティ論から着想を得た、「リキッド消費」の概念について説明する。 この辺りは前回紹介した論文でも触れた部分なので、かなり大幅に省くが、前半では「リキッド消費」は「短命性、アクセスベース、脱物質化」という特性を持ち、「永続的、所有権ベース、物質的」という特性を持つ「ソリッド消費」と対極をなすものであると説明し、それらの深堀りを行っている。後半では、リキッド消費論は「ソリッド消費からリキッド消費への移行」が主張されている訳ではなく、それらを両極としたスペクトラムが想定されているとしている。消費がそのスペクトラム上、ソリッドとリキッドいずれの特徴を強めるかどうかは、4つの条件(消費者のアイデンティティ、社会関係の性質、モビリティ・ネットワークへのアクセシビリティ、不安定性)に影響されているとし、以降具体的にはどのような条件、状況においてどんな消費が選考されるかという考察に移っている。(これも前回紹介したものと被る部分なので割愛する。) 【マクドナルド化】 ここでは、Ritzerがデジタル化の影響も考慮して、マクドナルド化論の更新を試みたことについて触れている。 そもそも「マクドナルド化」とは、「効率性」、「計算可能性」、「予測可能性」、「制御」といった、「ファスト・フードレストランの諸原理がアメリカ社会及び他の世界の国々のますます多くの部門を支配するようになる過程」であるという。つまり、数量化や画一化、機械化などの合理的な経営原理が、教育や医療などの他分野まで広く浸透していく様態を明らかにしたものである。この議論ではマクドナルド化の進展を、「合理性の非合理性」をもたらすものとして批判的に捉えることが重要視されている。 当初、マクドナルド化論にはあまりデジタル化の要素は含まれていなかったが、次第に時代の変化として取り込まれることになり、Ritzerもデジタル化は「マクドナルド化の激化」をもたらすという意見を述べるようになったそうだ。 Ritzerはその具体例として、AmazonやWalmartなどの大型通販システム、Uberなどのシェアリング・エコノミー、Googleなどの一般プラットフォーム等々、様々な領域でいかに「効率的」に物事が処理され、注文プロセスなどにおいて「予測可能性」や「計算可能性」が高く示され、規範を逸れないように「制御」されているかを語る。 また、Ritzerはリキッド消費/ソリッド消費の概念についても触れており、「消費の場」に着目する彼の研究においては、実店舗=ソリッド、オンライン店舗=リキッドという図式が採用されているものの、オンラインで注文し、実物は実店舗で受け取るというような中間形態が現在では多く見られるという。 Ritzerは、そんな双方の技術が相互浸透して生まれた中間的な形態を「AR」(拡張現実)と表現しているようだ。これは、通常の技術的な意味合いよりも広範な意味として用いられている。Jurgensonは「デジタル二元論」(現実とデジタルを別のものと捉えること)を誤謬として、その相互に影響し合う現在の状況を表す枠組みとして「拡張現実」としたが、正にその用法に倣ったものである。 筆者の意見として、以上の議論は単にECサイトやアプリにマクドナルド化論を適用したというのでなく、デジタル・プラットフォームの重要性に着目している点が評価されるべきであると述べている。 デジタル・プラットフォームとは、インターネットを介してやり取りする企業とユーザーとの相互作用を促進するサービスと解釈できる。検索エンジンやSNSなど、多くの現代人にとっては生活の一部となっているものだ。世界中の業者や個人と、多種多様なものを売買、貸し借り、コミュニケーションが出来るようになり、個々人の趣味嗜好に沿う製品やサービスを得られるようになったのは、正にデジタル・プラットフォームの発展とマッチングの結果だという。 【考察】 「消費プロセスのデジタル化」 本論文で取り上げた、拡張自己論、リキッド消費論、マクドナルド化論は、それぞれ電子化された情報財、それ以外のモノ・サービス、「消費の場」に対するデジタル化の影響にアプローチした議論であると捉え直すことが出来る。 筆者は、以上の議論を消費プロセスの中に位置付け、各段階におけるデジタル化の影響の定式化ができるとしている。(論文内では図式を用いて詳しく説明している。) 「消費文化論への示唆」 この項では、上記の定式化を踏まえて、デジタル化時代の消費文化について今後実証的に研究されるべき点をいくつか提案するとしている。 研究課題は多く、例えば、フェイクニュースの拡散や差別・ヘイトの先鋭化、監視とプライバシーの問題、デジタル詐欺などによる消費者問題の増加などがあるとするが、ここでは消費文化にもたらされる観点から互いに関連する論点を取り上げている。 第1に脱物質化、アクセス・ベース化は人々の所有感覚に大きな変化をもたらす可能性があるという。 第2に、物質主義の盛衰も検討課題となるようだ。どの議論においても、脱物質化は重要な構成要素だったが、それは必ずしも脱物質主義的な価値観の浸透を意味するわけではないということである。物質主義の衰退どころか、助長する可能性すらあると述べる。 第3に、持続可能性、とりわけ環境問題へのインパクトも重要である。単純にデジタル化を進めれば環境問題が低減するという訳でなく、デジタル消費の環境負荷については、データの「再物質化」が容易である点なども考慮しなければならず、複雑な問題とされている。 … 続きを読む
【論文要約・紹介 「リキッド化する消費:脱物質化と所有概念」】
【はじめに】 社会学者バウマンの「液状化」概念を引用し、現代社会の不確実性や変化の激しさが、消費行動にも影響を与えていると述べ、従来のモノを所有する消費(ソリッド消費)に代わり、コンテンツ自体を消費したり、モノを消費せず共有する形態の消費(リキッド消費)が広まっていると説明。 本論文では、リキッド消費の概念化の背景や財の特性・消費形態、さらにリキッド消費が他研究領域に与える影響などについて研究展望を行うとしている。 【「リキッド消費」概念が現出する背景】 「社会の変容」 筆者はまず、バウマンの捉えた社会の液状化について説明をする。社会の液状化とは、社会ネットワークの崩壊や個人アイデンティティの多様化、製品ライフサイクルの短命化や時間の無限性への欲求が一過性へシフトすることなどを意味している。 現代社会において、社会ネットワークへの影響を大きく与えているのは2000年代以降のICTの飛躍的な発展(恐らくより平易な言葉として、デジタル化と言い替えてもいい)であるとも触れている。 「アクセスベースの消費」 アクセスベースの消費とは、市場の取引ながら、所有権の移転されない消費のことを指す。カーシェアリングなどが代表例だが、機能的利用価値のみを求めるような消費形態である。比較的、有形財より無形財(特にデジタルなモノ)はシェアリングに移行しやすいとされ、ICTの革新とリキッド消費の繋がりについても説明している。 【リキッド消費に関連する財の定義と分類】 「第3の財としての情報財」 リキッド消費に関連するものとして、財の脱物質化という点ではサービス財、アクセスベースという点では情報財があり、これらがどういうふうに定義されてきたかを語る。 サービス財は「有形部分の所有権が移転しない取引である」という解釈や、「サービスは行為であり、現実世界では純粋な商品やサービスは極稀である」という解釈がなされ、単純に実体のあるなしで語られてきた訳では無く、複合されたモノであるという点で重要な主張がされているということが強調されている。 情報財の定義については、製品の細分化の議論(製品のコア部分、期待部分、拡張部分)に始まり、最終的にはデジタル・コンテンツに焦点を当てた研究へと移行していったとされる。 「情報財の特性」 情報コンテンツそのものは、均質で文脈上の価値を持ち、自由に加工可能な動的なモノとして定義され、不可逆性という独特な特性も持っていることから、サービス財とは同一視すべきでないとしている。 【リキッド消費】 ここで筆者は、リキッド消費は短命、アクセスベース、脱物質的であるのに対して、ソリッド消費は長命、所有ベース、物質的な消費であると再確認している。その上でそれらの消費について具体例を交えつつ、深堀りを行っている。リキッド消費とソリッド消費それぞれが好まれる条件や、リキッド消費とソリッド消費の共存などがその例である。 「財の違いによる消費」 ここでは、物財、サービス財、情報財という3つの分類があり、さらにそれぞれの財は有形部とサービス、情報から成り立っているということを確認した上で、3種類の財がリキッド・ソリッドのどのような消費に結び付くのかを細かく説明している。とはいえ、現在の消費の特徴としては、提供する内容が同じでも提供される形態が異なる財(例えば書籍と電子書籍等)なら複数の消費パターンがあり、財そのものが消費形態を決める訳ではなく、多様な財と消費の組み合わせがあると主張している。 「消費者行動研究へのインプリケーションと今後の展望」 今後の消費者行動研究において、どのような研究が要請されるかについてを、筆者はここでまとめている。 一つは財の特性で、消費者の「所有」の感覚との関連性についてなどだ。情報財などであっても、所有の感覚はあるのかなどの問題である。 次に、物財への愛着がこれまで消費者行動やマーケティング研究の分野(ブランドへの愛着や自己関連性など)を発展させてきたが、サービス財や情報財でそうしたことは起こるのか、という問題だ。 次に、ギフト消費などに代表される、モノのやり取りにおいて、情報財は贈与の対象になるのか、またリキッド性の高い消費が選択されるのかという問題である。 最後に、筆者はリキッド消費という概念を手掛かりに、消費する対象の特性と消費者の認知処理、さらに消費者を取り巻く社会関係との関連という観点から、消費研究の可能性は開いていけるだろうと締めくくる。 出典:神戸大学学術成果リポジトリ https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/kernel/E0041404/E0041404.pdf
国内映像ソフト売上高の推移と、その内訳
日本映像ソフト協会によると、2023年の国内映像ソフト売上高は前年比0.4%増の1152億円で、19年ぶりに増加に転じた。しかし数量は前年の3098万枚から13.5%減の2680万枚と減少が続き、特にレンタル向けが大幅に(数量で前年比5〜6割程度)落ち込んだ。一方、単価の高い個人向け販売数が増加し、売上高の約93%を占める。市場は個人向けブルーレイの売上中心で成り立っている。 出典:アニメーション ビジネス ジャーナル http://animationbusiness.info/archives/15553