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卒論

2023年度卒業論文 大橋勇輝

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最終章 「さいごに」

これまで欧州や日本のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みや、EVに関連する問題点について触れてきた。この章ではこれまで論じてきたことを整理し、カーボンニュートラル実現のために自動車業界において取り組むべきことについて考察する。 第一に、欧州ではカーボンニュートラルの実現に向け、電気自動車(EV)の普及に向けた取り組みが進んでいる。この動きはガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車の新車販売禁止や、補助金の支給など、EV化を推進するというものである。この積極的なEVを普及させる取り組みにより、EU全体の新車販売におけるEVのシェアは10%を超え、100万台を超える規模にまで成長している。 欧州の中のドイツは、EVの先進国であり、充電ポイントの数も上昇傾向にあるが、それでもまだ、EVのさらなる普及を図るには不十分な数である。特に所得水準が低い南欧や東欧の国々では、充電ポイントの建設はさらに遅れており、EVの普及が進みにくいのが現状である。また、政府の補助金削減により、約二週間にわたりEVの生産が減少し、従業員の雇用の整理も始まっている。車体価格が高いEVは、富裕層にしか手に届かない高級品になりつつある。 第二に、日本では、世界的なカーボンニュートラルの実現に向けた動きが始まる前から、自動車業界では二酸化炭素を減らす取り組みが進んでおり、1997年からハイブリッド車を製造している。多くの企業が環境へ配慮し、先駆的な環境にやさしい車としてハイブリッド車に力を入れてきた。また、日本は世界のカーボンニュートラルの実現の動きに追随し、2030年半ばまでに新車販売をEVやPHEVに重点を置くことを目標に掲げた。EVの普及を促進するため、CEV補助金のようなEVの支援制度も充実している。 日本は欧州と同様に、EVの普及に向けた制度や目標立てがされている一方で、充電ポイントの不足など、インフラの整備が不十分な状況である。また、EVの充電に使う電力の発電源の化石燃料の割合が70%近くあり環境に配慮されていなく、そして、今の発電量のままでは全EV化に移行する際に電力不足が懸念される。また、EV化が促進されたことにより、日本の自動車産業の強みであり、古くから環境に優しい車として生産されてきたハイブリッド車が廃れてしまう恐れがある。 EVのメリットは、走行時に排気ガスを出さず、環境に配慮されたところである。デメリットは、EVの価格が高く、補助金なしでは一般の人には手が届きづらい車であること、電池製造時に二酸化炭素が排出されること、バッテリーの原材料の供給が不安定であること、採掘や精製の工程で環境汚染を引き起こす物質であること、電気の生産に化石燃料が使われていることなどと、多くの問題を抱えている。また、EVは走行時に排気ガスを出さないと言われているが、EVのライフサイクル全体でみると二酸化炭素が排出されている。 EVの普及を100%にするには、充分な充電インフラの整備が必要であり、そのために時間と多額の費用が必要である。また、再生可能エネルギーの増強や原発の再稼働によって、EVの充電に必要な電力を賄う必要がある。さらに、バッテリーの原材料不足も解決しなければならない。コバルトフリーやリチウム以外を使ったバッテリーなども開発されているが、実用化して現在のリチウムイオンバッテリーとの置き換えには相当な時間がかかる。これらの課題が存在するため、EVを100%普及させることは容易ではないと言える。 ハイブリッド車は、ガソリンを使わなければ走行時はEVと同様に二酸化炭素を排出しない。実はハイブリッドにもEVと同じ部品が搭載されているため、根本的に抱える問題は同じである。ただしバッテリーの搭載量がEVの10分の1程度と少ないため、1台あたりの環境負荷は格段に少なくなる。 以上の欧州や日本におけるEV化に伴う課題やEVの問題点から、EVだけではなく、ハイブリッド車にも注目する必要があると考える。カーボンニュートラルを実現するには、最終的にはEVを100%にする必要があるかもしれないが、現時点では上記のような多くの問題が存在するため、一方的にEVを推進するのは良くない。私はハイブリッド車もEVと同様に環境に優しい車だと考えている。そのため、今後はハイブリッド車の活用を増やし、EV化に伴う課題やEVの問題点を解決しながら、段階的にEV化を推し進めていくべきだと考える。

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第六章 カーボンニュートラルを実現していくには

現在、欧州ではカーボンニュートラルの実現に向け、電気自動車(EV)の普及に向けた取り組みが進んでいる。この動きはガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車の新車販売禁止や、補助金の支給など、EV化を推進するというものである。実際、EU全体の新車販売におけるEVのシェアは10%を超え、100万台を超える規模にまで成長している。 EVを推進すること自体は間違っているわけではない。しかし、実際には安全性やバッテリー素材の安定的な調達、また全EV化した際の電力供給の不足など、いくつかの課題が存在している。さらに、EVに偏った政策が、これまでハイブリッド車やガソリン車に力を入れてきた企業に変革の圧力をかけている。現在は、充電インフラの整備不足や政府の補助金削減により、EV需要が圧迫されている状況にある。 EVはメリットもあるが、もちろんデメリットも存在する。デメリットを無視してEVに偏った政策を行うことは適切ではない。現時点では、EVだけではカーボンニュートラルの実現は難しい状況である。 したがって、将来的には、EV化の課題に真摯に向き合い、段階的なアプローチでEV化を推進することが求められる。カーボンニュートラルを実現するためには、ハイブリッド車などの活用を含めた総合的なアプローチが不可欠だろう。

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第五章 直近のヨーロッパの動き

この章ではEU内の動きと英国内の動きについて記述する。 第1にEU内の動きについて記述する。 欧州連合(EU)は2023年3月25日、2035年にガソリンなどで走るエンジン車の新車販売をすべて禁止するとしてきた方針を変更し、再生可能エネルギー由来の水素と二酸化炭素からつくられる合成燃料「e―Fuel(イーフューエル)」を使うエンジン車の新車販売は、35年以降も可能にすると表明した。 ここで2023年の新車販売台数を調べてみる。 欧州自動車工業会(ACEA)によると、欧州連合(EU)27カ国の2023年1-9月期の新車販売台数は794万台と、前年同期比で16.9%増加した。半導体の供給制約が緩和したことなどから、新車市場そのものは回復が続いている。この実績に基づけば、2023年の新車販売台数は4年ぶりに1000万台を超える見込みである(下の図) 動力源別に新車の販売台数を確認すると、1-9月期の新車のうち、首位はガソリン車(288万台)であり、全体の36.2%を占めた。ハイブリッド車が25.2%でそれに続き、さらにディーゼル車(14.1%)、EV(14%)となった。EVの新車登録台数そのものは111万台と、前年同期から55.2%も増えており、好調である。 すでにEU27カ国のEVの市場規模は年間150万台レベルまで拡大しており、ディーゼル車の市場をしのぎつつある。一方で、ハイブリッド車も200万台と前年同期から28.8%増加し、堅調だった。排ガス規制の強化を受けて、自動車メーカー各社がハイブリッド車の販売を強化したことが、堅調の主な理由である。 このデータだけ見ると、ヨーロッパのEV市場は順調に拡大していると評価できるが、一方でヨーロッパの自動車メーカー各社は慎重な姿勢を強めている。ドイツ最大の自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)は、中東欧で稼働を予定していたメガファクトリーの建設を延期すると明らかにした。ヨーロッパ域内でのEV需要が想定よりも下振れしていないことを理由に挙げた。 また政府による補助金の減少が行われた。その影響でVWは2023年9月にも、ドイツ東部のザクセン州にある2つの工場で、10月に約2週間EVを減産すると発表した。うちツウィッカウ市の工場では、有期雇用の従業員の整理を進めるなど、「需要の弱さ」を理由にEVの生産体制をかなり見直した。従来型のガソリン車やディーゼル車に比べると車体価格が高いEVにとって、補助金の打ち切りは、消費者にとっては実質的な値上げに等しい。さらに欧州銀行(ECB)がインフレ対応で金利を引き上げたため、カーローンの金利も高くなった。結果としてEV需要が圧迫されている。 他方、EVが普及するために必要な「充電ポイント」もまだまだ不足している。ドイツ連邦ネットワーク庁によると、ドイツ国内の充電ポイントは2023年8月1日時点で10万1421基だった。今年上半期に1万3302基も増えたとはいえ、急速充電が可能なポイントは1万9859基にとどまっており、EVのさらなる普及を図るには不十分な水準である。EVの普及が進むドイツですらこの状況であるため、所得水準が低い南欧や東欧の国々の場合、充電ポイントの建設はさらに遅れており、EVの普及が進みにくいのが現状である。 第2に英国の動きについて記述する。 英国では、グリーン化の手綱を緩める動きが出てきている。リシ・スナク首相は2023年9月20日に会見し、ガソリンやディーゼルを動力源とする内燃機関車の新車販売禁止を、目標であった2030年から5年遅らせ、2035年にすると発表した。EVによる初期費用が高いことや、充電インフラを整備するにも時間が必要であることを理由に挙げた。また2035年以降も既存のガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車の中古車販売を認めると宣言した。 ヨーロッパでは、EVの新車登録台数そのものは111万台と、前年同期から50%以上増えており好調であるが、政府によるインセンティブの減少や、カーローン金利の上昇により、EV需要が圧迫されているのが現状である。またEVの普及が進むドイツですら充電ポイントが不足している。 英国はガソリンやディーゼルを動力源とする内燃機関車の新車販売禁止を遅らせるなど、EV導入に時間がかかっているのが現状である。 このように、早期のEV一辺倒の政策は、EUや英国でさえ難しくなってきた現状を鑑みるに、カーボンニュートラルの実現に向けてHVやe―Fuelが重要視されるようになってきた。

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第四章 カーボンニュートラルの観点からEVの問題点

第一にEVに使われる電力の発電源の炭素排出の問題点である。 EVは道路上での走行時にはゼロエミッションだが、その環境への影響は電力の発電源に大きく依存する。電力が化石燃料に依存している場合、EVの使用はカーボンニュートラルではなく、炭素排出が存在することになる。カーボンニュートラル実現のためには、すべての電力が、再生可能エネルギーによって作られなければならない。そこで日本の発電割合を見てみると、2022年度の日本の発電割合は、以下の通りになっている。 ※引用:https://www.isep.or.jp/archives/library/14364#_ftn2 日本の電源構成を見ると、70%以上が石炭・LNG(液化天然ガス)・石油などの化石燃料によるものであることがわかる。一方、水力や太陽光・風力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーが占める割合は22.4%である。再生可能エネルギーの割合は増えているものの、依然として化石燃料に強く依存している状況だといえる。そのため火力発電の電力を使うことになり、EVを導入しても走行中はゼロエミッションを実現できるが、トータルで見ると炭素が排出されていることになり、カーボンニュートラルの実現がなされていない。 私はEV化によってカーボンニュートラルを実現するためには、すべての電力をクリーン(再エネ)にする必要があると考える。しかしながら日本で全EV化を実現させるとなると、クリーンな電力だけでは充電するための電力が不足してしまう。夏と冬はただで電力不足なのが日本である。全EV化のためには、電力ピーク時の発電能力を現状より10~15%増強する必要があり(その能力増は、原子力発電だと10基、火力発電だと20基程度に相当する)、また充電インフラコストが約14兆円から37兆円必要になり、国家のエネルギー政策の大変化なしには達成が難しいのが現状である。 第二に電池製造における問題点である。 電気自動車用の大容量バッテリーの製造過程でもある程度環境に影響を与えている。EVのバッテリーには、主にリチウムイオン電池が使われている。リチウムイオン電池にはメリットとデメリット両方が存在する。 メリットは、リチウムイオン電池は環境面にも配慮された電池であることである。カドミウムや鉛などの有害な物質を材料とする2次電池もあるが、リチウムイオン電池はそうした有害物質を含まないため、環境にも良い電池として注目を集めている。さらに、化学的な変化を利用しないために、副反応による劣化がなく長期間安定した性能を維持できるという長所もある。 デメリットは、原材料の調達が難しく、電池製造の過程で二酸化炭素が排出されることである。 リチウムイオンバッテリーの製造に必要な主要な材料はリチウム、コバルト、ニッケルである。リチウムの供給元は南米のチリ、コバルトの供給元はほとんどがコンゴ民主共和国である。またNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が把握している限りにおいては、コバルトは20~30年で枯渇するといわれている。原材料を豊富かつ安定的に入手できない限り、バッテリーの価格は下がらない。そしてリチウムイオンバッテリーは人体に有害な物質(発火した場合、水素、二酸化炭素、エタンやメタン等の炭化水素系に加えて、微量のフッ化水素や一酸化炭素が放出される。)を含み、火災や爆発の危険性もあり、過充電並びに過放電などで、発火リスクがある。また電池製造のためのプロセスにはエネルギーが必要であり、そのエネルギー源が化石燃料である場合、CO2排出が発生する。金属メーカー大手のプロテリアルは、リチウムイオン電池の部材の新たな製造技術として、原料のニッケルを使って「正極材」と呼ばれる部材にする際に、複数の工程を省く方法で従来製法と比べて、出発原料由来のCO2排出量を30%超削減することに成功した。しかしながら二酸化炭素排出量がゼロになったわけではないため、カーボンニュートラルの実現にはまだまだ及んでいない。 以上のカーボンニュートラルの観点から、電力の発電源や電池製造の二酸化炭素排出問題によって、ライフサイクル全体で見ると二酸化炭素が排出されており、カーボンニュートラルの実現が難しいものであるとわかる。 次章では、直近のヨーロッパの動きについて触れ、EV化が停滞している事実について記述する。

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第三章 日本のEV化の動き(修正版)

日本のEV化の動きを考えるの前に、日本の自動車産業における二酸化炭素を減らす取り組みがどのように始まったのかを考える。 1977年に採択された京都議定書で、日本は2008年から2012年の間に1990年の二酸化炭素排出量を平均6%削減することを約束した。その後、2005年2月の議定書発行を受け、政府は同年4月に京都議定書目標達成計画を策定し、産業・民生・運輸部門といった部門ごとに排出量の削減目標と対策が掲げられた。二酸化酸素の約2割は運輸部門から 排出され、そのうち約9割が自動車から排出されていることから、自動車業界及び各自動車メーカーは車両の燃費向上やクリーンエネルギー車の開発を進め、トヨタ自動車は特に1997年から生産しているハイブリッド車の開発・販売を積極的に取り組んだ。その結果として1997年の初代プリウスの発売に始まる約10年間でのハイブリッド車世界販売総数は、累計100万台を超え、発売以来累積で約350万 t の排出制御効果があったと試算している。 このように自動車産業において二酸化炭素削減に取り組んできた中、2020年10月に菅義偉総理が所信表明演説で「2050年カーボンニュートラルの実現」を国家目標に掲げ、脱炭素政策の目玉として、自動車産業においては電動化を推進し、2030年代半ばまでに新車販売で「すべての乗用車が電動車(EV)またはプラグインハイブリッド車(PHEV)」であることを目指すと宣言した。 政府は2023年に総額900億円の予算をあて、電気自動車購入時のCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)の支給を始め、2023年3月23日に申請受付を開始した。 CEV補助金の主なポイントとして4つ挙げる。 1つ目は補助金の対象となる車両は、EV、軽EV、PHEV、FCVなどで、ハイブリッド車は補助金の対象とならないことである。 2つ目は補助金の上乗せ制度があることである。外部給電機能(車載コンセントAC100V/1500Wを装備していることを指す)を備えている車両や、省エネトップランナー制度(対象機器でエネルギー消費効率がもっとも優れたものを「トップランナー」とし、それを省エネの目標基準に定めてエネルギー消費効率の向上を促す制度)の2030年度燃費基準の対象となる車両が上乗せさせる。具体例としてEVの補助金の上限額はベースで65万円だが、条件付きで85万円になる。また軽EVやPHEVはベースが45万円だが、条件付きで55万円になる。条件に合えば上乗せで補助金がもらえるようになっている。 3つ目は高額なEVに対する補助金の減額があることである。2023年度から新たに、税抜き価格が840万円以上の高額なEV・PHEVについて、算定された補助金額が8割に減額されることになる。具体例として高額車両とされるEVの補助金の上限額はベースで52万円だが、条件付きで68万円になる。また軽EVやPHEVはベースが36万円だが、条件付きで44万円になる。 4つ目は補助金の申請が予算額(900億円)に達した時点で、CEV補助金の受付は終了となることである。 交付条件は、一定期間内に新車を購入し、購入したEV等の一定期間保有(原則4年間)を条件としている。 販売台数は2022年において3万1592台で、日本の自動車販売台数(約222万台)のうちわずか1.42%となっている。 このようにEVの導入が遅れている理由は2つ挙げられる。 1つ目はトヨタのハイブリッド車の成功である。トヨタ自動車がハイブリッド車(例:プリウス)のパイオニアであり、日本国内市場では長らくハイブリッド車が主流であった。2022年時点でハイブリッド車が49%とガソリン車の42%を上回っており、日本国内市場では主流であるといえる。そしてトヨタの成功により、日本国内の自動車市場においてハイブリッド車が優勢であったため、電気自動車へのシフトが遅れてしまった。 2つ目は充電インフラの不足である。日本では一部の都市や地域では充電ステーションの設置が進んでおり、特に都市部においては需要が高く、設置が比較的容易であるため、充電インフラが整備されている。しかし、一部の地方地域や遠隔地では需要が低く、設置コストが高いため、充電ステーションが不足しており、これがEVの普及を妨げる要因となっている。 日本は自動車産業において、欧州、中国、米国と比べ早い時期からハイブリッド車の積極的な導入をし、二酸化炭素を減らす取り組みを行っている。日本は欧州などから影響を受け、EVの導入を推進し、充電インフラや法整備を進めるようになったが、依然として電動車に占めるHEVの割合が大きく、そしてEVの販売台数は世界で見ても少なく、日本の自動車市場においても全体のわずか1%とまだ少ないことが分かった。前章からこの章までEV化の動きについて述べてきたが、EV導入が必ずしもメリットだけがあるとは考えていない。そのため次章はカーボンニュートラルの観点からEVの問題点について考える。

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第三章 日本のEV化の動き

2020年10月に菅義偉総理が所信表明演説で「2050年カーボンニュートラルの実現」を国家目標に掲げ、脱炭素政策の目玉として、自動車産業においては電動化を推進し、2030年代半ばにガソリン車の新車販売を廃止すると発表した。 2023年に総額900億円の予算をあて、電気自動車購入時のCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)やEV充電器導入時の補助金(クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金)の補助金支給を始め、2023年3月23日に申請受付を開始した。EV(軽EV含む)のほか、PHEV、FCV、超小型モビリティ、電動二輪、ミニカーが補助金の対象となる車種に含まれている。クリーンディーゼル車やHEVは、補助金の対象とならない。支給額はEVの上限額が85万円、軽EV・PHEVの上限額が55万円で、一定期間内に新車を購入し、購入したEV等の一定期間保有(原則4年間)を交付条件としている。また地方自治体からの補助金もあり、国のCEV補助金と併用して交付を受けられる。生産台数は2022年においては10万2000台と世界の約1%で、総台数は 41万台、世界のわずか1.6%となっている。 日本も欧州と同様新車販売を廃止するとしているが、販売台数が少なく、EV化に踏み出せていないことが分かる。次章はカーボンニュートラルの観点からEVの問題点について考える。

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卒論 第二章 世界的なEV化の動き

世界的なEV化の動きとして、自動車産業を代表する市場を持つ欧州、中国、米国を調べた。 欧州 欧州では2021年に同年を基準とした新車の平均排ガス量を2035年に100%削減するとし、「2035年にガソリン車とディーゼル車、HEVの新車販売の禁止」を表明した。2022年時点ではドイツでは2030年までにガソリン車販売禁止、フランスでは2040年までにガソリン車販売禁止を表明している。またEVの購入を促進するために補助金が支給されている。ドイツは2020年7月から2021年12月までEVの購入に対して9000ユーロ(約114万3000円)の補助金を支給しており、フランス、イタリア、英国なども同様に行われている。生産台数は欧州自動車工業会(ACEA)の発表によると、2022年(1〜12月)におけるEU全体の新車販売におけるEVのシェアは12.1%(前年比3%増)の約112万4000台に上り、初めて100万台を超え、10台に1台をEVが占めるようになった。 中国 中国では2015年に中華民族の復興のために中国製造2025という、2025年までに製造強国入り、建国100周年(2045年)までに製造強国のトップグループ入りを果たすためのロードマップが作られた。中国製造2025の中の国家戦略10項目では、次世代情報技術(5G、半導体)や省エネ・新エネ自動車、新素材といった自動車産業に密接に関わってくる分野が入っており、EV製造会社である中国自動車メーカーのNIO(ニオ)、BYD(ビーワイディー)、SGSM(上汽通用五菱汽車)は大きな勢いで成長している。 また2016年には新車販売に関するロードマップ「中国国家省エネルギー車および新エネルギー車ロードマップ」を公表した。ここでの省エネルギー車はHEVや天然ガスなどを使うエンジン車のことを指す。一方新エネルギー車は、PHEV、EV、燃料電池車(FCV)を指す。2030年に省エネ車が60%(うちHEVは60%)で新エネ車を40%、2035年には省エネ車(HEV)が50%で新エネ車を50%にするという目標を立てた。生産台数は2022年において590万台で、世界の約60%を占めている。 米国 米国では2021年にバイデン政権は「2030年に新車の50%をZEV(Zero Emission Vehicle:無公害車)にする」という大統領令に署名した。また米国のカリフォルニア州は2035年に、エンジン車の販売を禁止する宣言がなされた。2022年8月に可決されたインフレ抑制法 IRA(過度なインフレを抑制すると同時に、エネルギー安全保障や気候変動対策を迅速に進めることを目的とした法律)の一部ではEV導入の加速に重点が置かれ、車両の最終組み立てが北米で行われているなどの決められた要件を満たしている電気自動車の購入時に、1台あたり最大で7500ドルの税額控除が受けられるようになった。 EV化に向けて各国が大きな動きを見せている。次章では日本のEV化の動きを調べる。

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卒論 第一章 カーボンニュートラルについて

カーボンニュートラル(carbon neutral)とは環境に関する用語で、本来は、「植物や植物由来の燃料を燃焼してCO2が発生しても、その植物は成長過程でCO2を吸収しており、ライフサイクル全体でみると大気中のCO2を増加させず、CO2排出量の収支は実質ゼロになる」という考え方である。 ここでのカーボンニュートラルとは、産業活動により排出されるCO2(二酸化炭素)をはじめとする人為的な温室効果ガスの「排出量」を削減する取組みに加え、植林や森林管理などによる「吸収量」を増加させる取組みも併せて、合計を実質的にゼロにすることである。カーボンニュートラルの実現のためには、産業活動による温室効果ガスの排出を減らし、吸収できる自然環境を保全、強化していく必要がある。 2015年に採択された気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定であるパリ協定では、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑える目標を掲げ、加えて平均気温上昇「1.5度未満」を目指し、また今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成することが世界共通の長期目標として合意された。この実現に向けて、世界が取組を進めており、120以上の国と地域が目標として掲げているのが「2050年カーボンニュートラル」である。 菅義偉総理が2020年10月の所信表明演説で「2050年カーボンニュートラルの実現」を掲げ、脱炭素政策の目玉として、自動車産業においては電動化を推進し、2030年代半ばにガソリン車の新車販売を廃止するという方法を打ち出している。 世界的にEV化が強固に推し進められ、カーボンニュートラル実現に向けてEVしか認めないという風潮が高まり、日本の企業のようなハイブリッドに力を入れている企業に圧力がかかっている。ハイブリッドでもカーボンニュートラルを実現できるかを考えていく必要があると考える。 次章ではハイブリッド車のカーボンニュートラルの実現性を考える。

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卒論アウトライン

①主張 世界的な脱炭素政策により自動車産業において、ガソリン車を廃止し電気自動車(EV)の導入することこそ、脱炭素=カーボンニュートラル、二酸化炭素削減のために必要であるという論調が強まっている。電気自動車それ自体は環境にいい製品だが、安全性や車の製造過程、電気や電池の製造過程で排出される二酸化炭素に注目すると、実際は環境によいとは言いづらいのが現状である。また電気自動車以外に、ハイブリッド車などの環境に優しい車を導入している企業もあるが、欧州メーカーのEV戦略によるガソリン車やハイブリッド車を締め出し、電気自動車を推進する政策により、そのような企業がギリギリのところに立たされているのも現状である。今後の経営が厳しくなってしまう企業があるのにも関わらず、カーボンニュートラルの実現のために一方的にガソリン車は悪だ、電気自動車が正義であるというようなことを言う者まで出てきてしまっている。EV化のために必要な安全性や制度、インフラが不十分であることや、EV化による自動車産業の衰退の可能性のようなデメリットにも向き合うことで、カーボンニュートラル実現に向けてEV以外の手段を柔軟に考えていくことが重要である。そこでハイブリッド車は段階的なCO2削減にハイブリッドはきわめて有効な現実的手段であり重要であり、ハイブリッド車を活用しつつ段階的にEV化を推し進めるべきである。 ②調査の方向性 まずは大枠を理解するために現在の自動車産業の動向や各国・各社のEV生産台数の傾向について調査を行う。その後世界的なEV推進によって起こりうる二酸化炭素問題、雇用問題、インフラ問題、自動車産業の衰退問題について調査を行う。そして自動車産業が今後、EV一辺倒にならずにどのように脱炭素問題に取り組むべきかについてハイブリッド車の導入や、国ごとの自動車産業の特色を調べていき考察する。

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