卒論 第二章 世界的なEV化の動き

世界的なEV化の動きとして、自動車産業を代表する市場を持つ欧州、中国、米国を調べた。

欧州

欧州では2021年に同年を基準とした新車の平均排ガス量を2035年に100%削減するとし、「2035年にガソリン車とディーゼル車、HEVの新車販売の禁止」を表明した。2022年時点ではドイツでは2030年までにガソリン車販売禁止、フランスでは2040年までにガソリン車販売禁止を表明している。またEVの購入を促進するために補助金が支給されている。ドイツは2020年7月から2021年12月までEVの購入に対して9000ユーロ(約114万3000円)の補助金を支給しており、フランス、イタリア、英国なども同様に行われている。生産台数は欧州自動車工業会(ACEA)の発表によると、2022年(1〜12月)におけるEU全体の新車販売におけるEVのシェアは12.1%(前年比3%増)の約112万4000台に上り、初めて100万台を超え、10台に1台をEVが占めるようになった。

中国

中国では2015年に中華民族の復興のために中国製造2025という、2025年までに製造強国入り、建国100周年(2045年)までに製造強国のトップグループ入りを果たすためのロードマップが作られた。中国製造2025の中の国家戦略10項目では、次世代情報技術(5G、半導体)や省エネ・新エネ自動車、新素材といった自動車産業に密接に関わってくる分野が入っており、EV製造会社である中国自動車メーカーのNIO(ニオ)、BYD(ビーワイディー)、SGSM(上汽通用五菱汽車)は大きな勢いで成長している。

また2016年には新車販売に関するロードマップ「中国国家省エネルギー車および新エネルギー車ロードマップ」を公表した。ここでの省エネルギー車はHEVや天然ガスなどを使うエンジン車のことを指す。一方新エネルギー車は、PHEV、EV、燃料電池車(FCV)を指す。2030年に省エネ車が60%(うちHEVは60%)で新エネ車を40%、2035年には省エネ車(HEV)が50%で新エネ車を50%にするという目標を立てた。生産台数は2022年において590万台で、世界の約60%を占めている。

米国

米国では2021年にバイデン政権は「2030年に新車の50%をZEV(Zero Emission Vehicle:無公害車)にする」という大統領令に署名した。また米国のカリフォルニア州は2035年に、エンジン車の販売を禁止する宣言がなされた。2022年8月に可決されたインフレ抑制法 IRA(過度なインフレを抑制すると同時に、エネルギー安全保障や気候変動対策を迅速に進めることを目的とした法律)の一部ではEV導入の加速に重点が置かれ、車両の最終組み立てが北米で行われているなどの決められた要件を満たしている電気自動車の購入時に、1台あたり最大で7500ドルの税額控除が受けられるようになった。

EV化に向けて各国が大きな動きを見せている。次章では日本のEV化の動きを調べる。

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