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作成者別アーカイブ: 松田 琢夢
寒暖差と再エネ変動
冷暖房の稼働が減る秋にもかかわらず、電力需給の逼迫と卸売価格の急騰が目立っている。10月には北海道で風力発電の出力低下と冷え込みが重なり、価格が秋として過去最高の1kWh105円を記録した。西日本でも季節外れの暑さで予備率が3%を切る事態が発生した。秋は夏と冬に備えて火力発電所の定期点検を集中させる時期だが、天候に左右される再エネルギーの拡大と寒暖差によって、安心とされた季節の電力運用が困難になっている。 2026/11/4 日本経済新聞
水素100%での直接還元鉄の試験製造
日本製鉄は、石炭ではなく水素100%を還元材とし、原料に低品位鉄鉱石を使った直接還元鉄の試験製造に成功した。製鉄業は二酸化炭素排出量が大きく脱炭素化が急務だが、水素単独での還元は炉内温度が下がりやすい上、安価で豊富な低品位鉄鉱石は粉化しやすい課題があった。今回、最適な熱補償と粉化を抑える操業技術により300時間超の連続稼働と1000トン超の製造を実現した。実用化に向けて、石炭に頼らない革新的製鉄技術の確立へ大きな前進となった。 2026/11/4 日本経済新聞
日独で核融合発電を共同開発
三井物産、そしてドイツのシーメンス・エナジーなどの日独企業連合は、核融合発電の基幹技術を共同開発し、2030年代にドイツで発電施設を建設することで合意する。AI普及に伴う電力需要拡大を見据え、米中が巨額投資で先行する中、資源の国外依存という共通課題を抱える日独が連携して対抗する。超臨界CO2を用いたタービン技術や加熱装置の開発を進め、CO2を出さない将来の安定電源として日本での展開も目指す。 2026/10/28 日本経済新聞
三井不動産の次世代型地熱発電
三井不動産は地下の熱水ではなく地上の水を地中で温めて発電する次世代型「クローズドループ方式」の地熱発電に参入する。従来の地熱発電は温泉への影響や掘削リスクから活用が進まず、日本の豊かな資源量の約2%しか使えていなかった。新方式は有害物質や温泉への影響が少なく開発地域を広げられるため、2028年度の実証運転、29年度の商用化を目指す。初期コストや熱効率の課題はあるものの、政府も「戦略17分野」に掲げて支援しており、日本のエネルギー自給率向上と脱炭素電源の拡大が期待されている。 2026/10/27 日本経済新聞
核融合発電の安全基準策定へ
自民党は、核融合発電への民間参入を支援する「フュージョンエネルギー推進法案」の概要をまとめた。核融合は原発と異なり途中で反応を停止でき、長期間影響する放射性廃棄物も出ないため、審査に長年かかる原発の厳しい安全基準を直ちに適用せず、実態に合わせた独自の基準づくりを国に求める。海外でも英国や米国が原発と規制を分ける動きが広がっている。エネルギー自給率向上や脱炭素の切り札として、30年代の実証や40年度までの官民3.1兆円投資に向け、事業化しやすい環境整備を目指す。 2026/10/21 日本経済新聞
異常気象がエネルギーと経済を打撃
異常気象による熱波や干ばつが、世界の電力と経済に深刻な打撃を与えている。ハンガリーやルーマニアでは、猛暑による河川の水位低下で原子炉の冷却水が不足し、原発の停止や出力低下に追い込まれた。また、アフリカでは干ばつによる水力発電の低迷で大停電が発生した。温暖化に伴う水不足は、パナマ運河の物流制限や食料貿易の滞り、さらにはサーバー冷却に大量の水を必要とするAIデータセンターの運用にも大きな脅威となっており、地球温暖化がエネルギー安定供給の直接的なリスクとなっている。 2026/10/21 日本経済新聞
カナデビア、ごみ焼却のCO2を9割回収
カナデビアは東京都品川清掃工場で、ごみ焼却時の排ガスから二酸化炭素を高濃度化して9割以上回収する実証設備を完成させた。ゴミ焼却時の二酸化炭素を高濃度化する技術は世界初で、支援事業にも採択されている。ごみ焼却施設は設置場所が狭い都市部も多く、従来の二酸化炭素回収設備は大型で導入が難しい課題があった。本実証では排ガスを再循環させて二酸化炭素濃度を高め、小型設備で済む手法を用いることでコンパクト化を実現し、2031年の実用化を目指す。さらに、回収した二酸化炭素の一部を産業用に活用することも検討している。環境省の脱炭素目標に向け、ごみ焼却時の二酸化炭素削減と回収した一部の活用法確立が期待されている。 2026/10/6 日本経済新聞
火力発電延命で電力逼迫備え
経済産業省は、AI普及やデータセンター拡大による電力需要の増加や猛暑に対応するため、古い火力発電所の延命を支援する新制度を検討している。老朽化した火力の休廃止が進む一方、原発も即座の調整が難しいため、当面の供給力を確保するつなぎとして火力を維持する必要がある。具体的には「容量市場」を活用し、休廃止予定の火力を複数年維持できる費用をまかなう仕組みを2026年内にまとめる方針だ。脱炭素を進める一方で、目先の電力不足を防ぐ対応が求められている。 2026/10/6 日本経済新聞
温暖化ガスの世界排出量、3割が取引・課税対象に
二酸化炭素に価格を付けて削減を促す「カーボンプライシング制度」が世界で広がっており、2026年には世界の温室効果ガス排出量の約3割が対象となる見通しだ。背景にはEUの国境炭素税(輸入品への課税)に対応する動きや、新興国での導入拡大がある。日本でも今年から排出量取引が本格化したが、足元では地政学リスクによるエネルギー価格の高騰や企業の負担増を受け、欧米などで規制を緩める動きも出ている。脱炭素と経済負担のバランスを取りながら制度をどう運用していくかが課題となっている。
太陽光と蓄電池を組み合わせた時間単位の脱炭素実証実験を開始
NTTアノードエナジーやJERA Crossなどは、ドコモの通信ビル向けに、太陽光発電と系統用蓄電池を組み合わせた実証実験を10月から開始する。天候で発電量が変化する太陽光は、昼間に余剰電力が生じて廃棄されるなどのミスマッチが課題となっている。本実証では、昼間の余剰電力を蓄電池に溜め、夜間に放電することで、消費電力と再エネ発電量を1時間単位で一致させる「1時間単位のマッチング」を実施する。これにより、時間単位でのカーボンフリー電力の供給率向上と、再エネの有効利用の効果を検証する。