書評 「ゲノム編集を問う」

ノーベル賞級の発明とされるゲノム編集は遺伝子組み換え技術よりも高い効率で遺伝子を改変することを可能にした。本書では、ゲノム編集を農業、畜産業、医療の観点から世界と日本を見比べつつ述べている。そして、各分野での遺伝子組み換え技術の規制では、ゲノム編集を規制することができないことを指摘している。それに伴い生殖医療の章では、日本でゲノム編集が生殖医療現場で利用されるのは時間の問題であると、日本が不妊治療超大国であることを理由に述べられており、ルール作りの必要性を示唆している。

遺伝子組み換え作物が嫌われる理由や先端医療が与える影響などが生命倫理以外の点からも述べられていてとても参考になった。また、ゲノム編集は素晴らしい技術であるがその反面、デザイナーベイビーや倫理的な問題が起こるためルール作りが急務であることが改めて認識できた一冊であった。    「ゲノム編集を問う」石井哲也 岩波新書 2017年7月

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