アステラスの大型M&A 遺伝子治療強化

アステラス製薬が3日、約30億ドル(3200億円)を投じ、米創薬ベンチャーで遺伝子治療技術を持つオーデンテス・セラピューティクスを買収することを決めた。オーデンテスは2012年創業で、遺伝子の運び手であるアデノ随伴ウイルスの技術を持つが、現時点で販売中の薬はなく、1812月期の売上高はゼロ。最終損益は約12800万ドル(約140億円)の赤字だ。新薬は一般に成功確率が高くなく、約10年ぶりの大型M&Aに対し株価の反応は鈍い。しかしアステラスの狙いは新薬候補だけではない。創薬のプラットフォームに加え、遺伝子の運搬に用いるウイルスの大量培養に強みを持つ製造設備も高く評価している。10年の大型M&Aに成功し15年には純利益で武田薬品工業を抜いていたが、今は再び武田に時価総額で抜かれ、武田のシャイアー買収もあって差は2倍に広がっている。今回の買収の成否は、業界トップ返り咲きを狙う試金石になる。

(日本経済新聞 2019/12/10

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