書評『新・観光立国論』

本書は、イギリス人アナリストである筆者が日本経済を分析し、今後GDPの絶対額を増やすための有効な施策として「観光産業」を挙げ、日本が観光立国になるためには何が足りなくて、何をすべきなのか説明し提言したものである。

第一章「なぜ「短期移民」が必要なのか」では、前提としてGDPと人口変化が比例する関係であると説明し、少子高齢化が進む日本において今後のGDP成長の有効手段として「短期移民」の考え方があると述べている。第二章「日本人だけが知らない「観光後進国」ニッポン」では、観光立国の4条件を挙げ日本が全ての条件を満たしているのにも関わらず、観光客数が世界と比べ少ないことを説明し、観光立国を目指す上で深刻な問題があると述べている。第三章「「観光資源」として何を発信するか」では、日本が海外へアピールするポイントが的外れになっており、日本のアピールが外国人の観光する動機になっていない問題があると述べている。第四章「「おもてなしで観光立国」に相手のニーズとビジネスの視点を」では、「おもてなし」という考え方に日本と世界のギャップがあるとし、高品質なサービスをするためには客である外国人の言葉に耳を傾けることが重要であると述べている。第五章「観光立国のためのマーケティングとロジスティクス」では、細かくセグメントに分けターゲティングする重要性、そして訪日外国人が最低限困らないだけのインフラを整備する必要性を述べている。第六章「観光立国のためのコンテンツ」では、コンテンツの多様性が重要であると説明し、筆者の考える観光戦略を述べている。

日本が観光立国となるために、何が問題となっているのか知りたいと思いこの本を選んだ。多くの図表からの分析をもとに筆者の主張が展開されていたので、分かりやすく理解することができ、卒業論文に参考となる本であると思った。2015年の本で図表が古い情報なので、現在の情報を調べ、分析していきたい。

デービッド・アトキンソン著 東洋経済新報社 発行2015年6月

カテゴリー: 新聞要約   パーマリンク

コメントを残す