書評:企業買収の裏側 M&A入門

本書はM&Aについて全く知識のない人でも分かるように、M&Aを企業同士の結婚になぞらえ、表向きの事業戦略だけでなく、裏側のプロセスにも注目することを心がけて書かれている。また、著者は法律事務所でM&Aや国際企業取引等を扱っている。

第1章「ほんとうのM&A」、第2章「企業にとってのしあわせ」では、M&Aは、買収・合併とは限らず、様々な種類があること、M&Aによって企業が幸せになるには、自社の強みを磨くことが重要であると述べている。第3章「出会いはすぐそこにある」、第4章「はじまりはお見合いから」では、企業が出会うパターン、M&Aにおける仲介者(アドバイザー)の説明をしている。第5章「婚約と破談」では、基本合意をしながらもM&Aが実行されなかった原因について解説をし、第6章「身上調査(デューディリジェンス)」では、M&A対象会社の情報入手の大切さ、具体的内容を説明している。第7章「歓迎されないM&A」では、対象会社の経営陣の意思に反して、M&Aを進める例もあるという話をし、第8章「いよいよ結婚へ(正式契約へ)」、第9章「大切なのはその後です」、第10章「別れの局面」で、いよいよM&Aを実行するにあたっての問題を述べ、実行が終わりではないということを主張している。そして、別れる場合も想定しておく必要があると述べている。第11章「幸せなM&Aがニッポンを救う」では、これからのM&Aの形についての考えが述べられている。

私自身、M&Aに関する知識が全くなかったが、わかりやすい本で、とても参考になった。ところどころに実際のケースが紹介されていることも良く、今後様々なケースを学んでいく中で、きっと土台となる本だと思う。そして、冬に決めたテーマは、国内企業同士のM&Aについてだったが、本を読む中で、日本の中小企業が海外の大手企業に買収され復活を遂げた話に一番興味を持った。卒論では、このようなケースを紹介し、今後どのような業界にチャンスがあるのかということを主張したいと思う。そして、次に読む本は、1社に絞った本で、その会社がM&Aなどを通じてどのように変化していったかを学びたい。

『企業買収の裏側 M&A入門』淵邊善彦、新潮社、2010年

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