作成者別アーカイブ: 脇嶋 康介

書評 M&A成長の戦略

M&A(merger and acquisition 企業の合併と吸収)は事業結合、経営が不振な企業の救済、資金手当てなどを目的として実施される。ゴールドマンサックスで日本におけるM&Aアドバイザリー業務をしていた筆者は、本の中で「日本の経営者は買収であれ売却であれ、M&Aを常に経営のための選択肢の1つとして準備し、それが自己の会社の株主価値を最大化するために、最良の選択肢であるかどうかを、公正かつ正確に判断できなければならない。」と述べている。 この本ではM&Aの歴史や現状から、日本企業が考えるべきことが書かれている。 まず、M&Aの歴史として、バブル期に日本ではM&Aは悪い事のように思われていたという。得体の知れない買い占め屋による金儲けしていうと捉えられていた。しかしバブル期で資金調達能力の高い日本企業による海外企業の買収は多く行われていた。ソニーによるコロンビアピクチャーズの買収など本業の強化というより多角化路線の延長であった。バブル崩壊後、日本企業に海外企業の売却案件が中々来なくなる中で、日本企業のM&Aは現在の形に近づいた。日本企業が売り買い双方で活動し、日本企業同士でのM&Aが起こるようになり、KDDIによるテレウエイの買収など本業回帰を目指したものが多かった。バブル期の多角化路線の多くは失敗に終わったからだ。 ではなぜM&Aがブームとなったか。筆者はそのキーワードとして「株主価値の重視」と「株主価値の創造」という言葉を挙げている。日本においても株主価値重視の会社経営が議論され始め、株式を公開しいてるような大企業の意識が緩やかにではあるが、これまでの規模拡大、市場占有率至上主義から株主資本利益率や一株当たりの利益の向上に向き始めているという。株主価値の最大化は資本主義経済の根源をなす株式会社の存在意義であり、アメリカでは比較的早くから最重視されてきた考え方である。その中で、M&Aは今や経営形態の迅速な変化を達成するために必要不可欠な手段であるのだ。 M&Aという言葉だけは聞いたことがある程度だったが、なぜ行われるのか、これまでどういう経緯があったか、分かりやすく学ぶことができた。 やや古い本なので、もっと新しいことが世の中で起きていると思うが、今後の卒論製作のための土台となってくれるような一冊であった。 それに際して、卒論では日本企業同士のM&Aに注目し、ケーススタディを交えながら、今後の日本企業のあるべき姿を考察したい。 服部暢達 著 東洋経済新報社 1999年  

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【書評】ショッピングモールの法哲学

首都大学東京の法学系准教授である著者が「公共性とは何か?」というテーマについての論文に加筆修正を施したものである本書は、第一部「郊外の正義論」第二部「公共性概念の哲学的基礎」から成る。第一部では公共性の象徴としてショッピングモールがあるとして、世界的な規制緩和の潮流で「大規模小売店法(以下:大店法)」が改正され「まちづくり三法」が成立した話、第二部では哲学者カントが提唱する公共哲学について書かれている。 1973年に制定された大店法によってスーパーマーケットや百貨店の出店は規制されていた。しかし1980年代から先進諸国で相次ぐ「小さな政府」への潮流が始まり、1989年から行われた「日米構造会議」を契機に大店法は国際的な改正圧力を受けた。その結果、1998年に「大店立地法」「中心市街地活性化法」の制定、並びに「都市計画法」の改正が行われ、所謂「まちづくり三法」が成立した。それによりショッピングモールは出店規制から解き放たれ、日本郊外に続々と展開していった。しかし規制が極度に緩和され、特に土地利用に関する規制が極めて弱いと分かり2006年に「まちづくり三法」は改正された。ただ、規制強化の直前に駆け込み着工ラッシュが起こり、またショッピングモールが増えたという。 カントの公共哲学については正直な話、訳がわからず活字をただ追いかけるだけになってしまった。 ショッピングモールについて経済的な面ではないところから学ぼうと読み、法との関係については知識を増やすことができたと思う。哲学的な話は知識がないと読みづらいと感じた。知識を増やして再挑戦してみたい。 ショッピングモールの法哲学 谷口功一、白水社、2015年

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書評:ショッピングモールと地域

本書は「第1部 ショッピングモールからみる地域社会」及び「第2部 ショッピングモールからみる現代文化」の2部構成で成り立っている。第1部ではショッピングモールとは何かという話から、法律や財政、商店街や交通問題といった、ショッピングモールが社会や地域と関わる中での位置付けについて述べている。第2部ではショッピングモールから現代の文化について、ショッピングモールを幻燈装置とし、そこに我々の欲望がいかに映し出されているかという話や、本屋がショッピングモール化しつつあるという話などが述べられている。第1部は歴史的な話や、表やデータが多かったが、第2部は現存するショッピングモールを例に出し、そこから現代文化について考察する話が多かった。しかしながら第1部や第2部の見出しの通り、ショッピングモールからみる「地域社会、現代文化」について書いてある本だった。興味深い話ではあったが、自分は「地域社会や現代文化」というものではなくビジネスの視点から「ショッピングモール」について学びたいのだと気づいた一冊だった。しかしながらショッピングモールというものについて多少は知識を得られたと思うので、参考になる本だった。 ショッピングモールと地域 井尻昭夫、江藤茂博、大崎紘一、松本健太郎 編 ナカニシヤ出版 2016年

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書評:ショッピングモールと地域

前回取り上げた本は、イオンの宣伝本に近いものであり、客観的な視点がほぼ無いものだと感じた。そこで幅広くショッピングモールについて書いてありそうな本書を取り上げた。タイトルの通り、ショッピングモールと地域について、地元商店街との関わり、交通渋滞問題などの様々な問題について書かれている。例として挙げられたのがイオンモール岡山で、商店街との協力についてや、渋滞を起こさないための取り組みについて書かれていた。しかしながら、イオンモール岡山は駅近のショッピングモールという特殊性を持つこと、前回の本と同様にイオンモールの施策ばかりが書いてあったことにやや不満を感じた。勉強になる内容ではあったが、ショッピングモールというテーマの本の具体例がイオンであることが良いことなのか悪いことなのか考えさせられる一冊だった。 井尻昭夫、江藤茂博、大崎紘一、松本健太郎 編 ナカニシヤ出版 2016年

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書評 イオンの底力「変化し続ける力の秘密」

イオンの経営方針を説明しながら、これまでの成功について書かれている本である。イオンは新規のモールを作る際に、世界をにらんだグローバル経営と、地域をよく知るベストローカルの二面性を追求する「グローカル」ということを目指している。2010年3月に千葉県銚子市にオープンした「イオン銚子ショッピングセンター」を例に挙げていて、イオンは出店の際に銚子市と提携協定を結んだ。多くの市民が足を運ぶショッピングモールに行政サービスの窓口「銚子しおさいプラザ」を設けた。また、電子マネーWAONの地域限定版を発行し、利用額の一部を銚子市に寄付する取り組みもしている。今後の人口減少の予想が県内トップで、大型商業施設の出店が危ぶまれていたが、地域に溶け込んで住民の支持を得て持続的に事業を継続することを目指して出店したという。こうした取り組みを日本に限らず中国など海外でも目指すことが、更なる発展へ繋がるという。 郊外ショッピングモールは地域の生活インフラ、雇用、税収などで地域に貢献することができるが、小規模商業者への影響や交通渋滞など忘れてはいけない課題があることを改めて学びました。

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卒論テーマ

まず、何をもってショッピングモールと呼ぶか。そして、近年増加するショッピングモールが社会でどのような役割を担うことができるのか。また、周りの土地や近隣住民に与える影響を考え、良い点と問題点を分析したい。そのために世界中のショッピングモールの発展の歴史や、現存するショッピングモールの場所には前に何があったのかを調べること、周辺の交通量や新築物件や商店街についてなどの実際のデータを集める必要があると考えている。

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ビブリオバトル候補

・ショッピングモールから考える ユートピア、バックヤード、未来都市(著:東 浩紀) ・不動産開発事業のスキームとファイナンス(著:深海 隆恒)

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都市開発状況、AIで解析

産業技術総合研究所は人工衛星で撮影した地上の画像をAIで解析し、都市開発の進捗を調べる技術を開発した。膨大な画像データから、わずかな地形の変化を識別し、工事や道路、宅地の開発が始まった時期や工事の進捗状況などがわかる。現地調査に頼らなくても世界各地の都市開発の状況がつかめる。今後、地名などの地図情報と組み合わせることで「国立競技場が再開発された」といった分析を自動で加えられるようにする。 2017/7/3日経朝刊

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豊洲に予定の商業施設、運営会社が撤退示唆

築地市場の豊洲市場への移転を巡り、豊洲市場内に設ける予定の商業・観光施設の運営事業者に決まっている万葉倶楽部が、撤退する可能性を都に伝えたことが分かった。小池都知事が先月示した、豊洲市場に移転後、築地市場の跡地を再開発し、「食のテーマパーク」などにする構想に対し同社は、築地に豊洲の施設と競合するような商業施設ができた場合、採算がとれない可能性があるとして、都に再開発の詳細な説明を求めたという。同社の担当者は「築地のにぎわいを豊洲に引き継ぎ、豊洲ブランドを作るという都の方針を踏まえて事業に応募した。採算の前提条件が変わってしまう」と話す。一方、都は「事業を推進できるよう、誠意をもって事業者に対応している」としている。 2017/7/12 朝日新聞朝刊

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大和ハウスがオフィスビルの開発事業に参入

大和ハウス工業は都心でオフィスビルの開発事業に参入する。 同社は賃貸住宅や物流施設に続く新たな柱に育てる。第1弾として7月に西新宿に「職住一体」型の住居を併設する複合型のビルを着工する。今後5年で東京や大阪、名古屋など都心部で8~10棟を運営し、総投資額は最大2000億円規模となる。完成後は系列の不動産投資信託(REIT)への売却も視野に入れているという。東京都心では大規模ビル開発が活発で、20年前後にかけて相次ぎ開業する予定。オフィスの大量供給か見込まれるが、業界では省エネ性や情報技術設備など機能性が高いビルは需要が大きいと予測する。 2017/6/24日経朝刊

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