【書評】ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人-球団経営が分かればプロ野球がわかる-

巨人戦の地上波全国中継の激減、相次いだメジャーリーグへのスター流失。野球人気の低迷がささやかれだして長い年月が経った。その中で、2000年台後半からパリーグ球団を先駆けとして球団改革が進み、その努力の成果が観客動員数の増加という形で現れている。本書では、公表資料や著者の取材を元に金融、会計の視点から分析し、プロ野球球団の事業構造を解き明かすことを目的としていて、1章では総論としてのプロ野球球団の事業構造、2章3章ではセパ12球団それぞれの経営状態、特徴、経営面での大きな出来事などを論じている。球団ごとに取り巻く環境や経営スタイルは多岐に渡るが、中でも球場との関係性は収益性に関わる大きな要因であり、球団と球場の経営面での一体化を果たすことによって財政の黒字化へと繋げた球団が多いことが読み取れた。
金融、会計の専門用語や数字が多く使われているため読み進めづらさを感じたところはあったが、経営面での各球団の強みや歴史、著者が各本拠地を訪れた体験に基づいた各球団の特色あるサービスなどついて多くの情報を得ることができる一冊であった。

 

ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人-球団経営が分かればプロ野球がわかる-

伊藤 歩 著  星海社新書  2017年発行

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