作成者別アーカイブ: 樋口 廉

卒論アウトライン

主張 世界的に化石燃料から脱却し、地球温暖化を抑止するために再生可能エネルギーの利用が進められている。 日本でも同様に再生可能エネルギーの利用を促進している。 しかし、他の主要国と再エネ比率を比較すると、日本は16%で最も高いカナダとは50%近く離れている状態である。 この様な現状を改善するためには、地熱の発電量を増やすべきだと考える。 日本は世界第3位の地熱資源を持っていて地熱発電のポテンシャルも十分に秘めているにもかかわらず、発電所を建設するには問題点が多くあり、地熱の発電量は再生可能エネルギーの中でもかなり低く、日本の地熱発電の割合は0.25%であり、地熱発電の設備容量が資源量に対してかなり少ない。 そこで、世界の成功した地熱発電を参考にして、日本の地熱発電における課題を解決し、地熱発電量を増やし、再エネ比率を高くすることが重要である。 調査の方向性 日本が直面している地熱発電の課題点の確認と建設できている地域とそうでない地域を比較。その後、日本の現状と似ている国と比較し、どの様にその課題点を克服したのか、もしくは失敗したのかを調査する。そこから日本が地熱発電で発展するための方法を考察。

カテゴリー: 新聞要約 | コメントをどうぞ

書評『アメリカ合衆国における再生可能エネルギーの普及促進に関する近時の動向と法的課題(2)』

本論文は小林寛がアメリカ合衆国の再生可能エネルギー事業の動向と法的課題を考察し、日本への示唆を行っている。第1章から第5章までそれぞれ太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス・バイオ燃料について述べているが、地熱のみをピックアップして書評を書く。 第4章 第1節 アメリカ合衆国 1 近時の動向 ここではアメリカの地熱に対する動向が記述されている。 アメリカは地熱賦存量が世界1位であり、地熱発電設備容量においても世界最大とされている。1978年の公益事業規制法により設備容量は大幅に増加したが、1990年台の電力自由化により地熱発電の建設は鈍化した。しかし、2009年のオバマ政権時にアメリカ再生・再投資法により税額控除や148の地熱発電事業に投資したとされている。トランプ政権に交代後、エネルギー省の2018年度会計年度予算要求によると、地熱は7100万ドルから1250万ドルへと減額されたが地熱開発に係る連邦政府による支援は依然として存在している。 2 法規制の概要 ここではアメリカの法規制、特に地熱資源の所有権が誰に帰属するのかが記述されている。 地熱資源は連邦政府に規則する場合、私人に帰属する場合、州に帰属する場合の3つがある。地熱蒸気法は、連邦政府に帰属する地熱資源を鉱物として管理し、リースプログラムを通じて私人による開発が許されている。また、地表における権利が私人に譲渡された場合でも、鉱物に対する留保により地熱資源はアメリカに帰属する。さらに土地の所有権が私人に帰属している場合でも地熱開発の際には一定の規制がかかる。 地熱開発における経済的支援策は税額控除、交付税、エネルギー省による債務保証などがあるが、最も地熱開発を後押ししたのはオバマ政権時に成立したアメリカ再生・再投資法だ。現政権下(トランプ政権)では同胞に匹敵する経済的支援策は望めないが、低炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの普及促進に向けた支援策の策定・実行が期待されている。 3 課題 ここでは地熱開発の際の課題について3つ記述されている。 1つ目は環境汚染の懸念だ。環境上の課題として「大気質」、「水質」、「水資源の枯渇」、「生物の生息地や文化資源の衝突」の問題が挙げられる。地熱流体には少量のメタンや硫化水素。アンモニアが含まれているため大気環境に悪影響を与えうるとされているが、大気浄化法によって具体的な数値を出して規制されている。また水質汚濁についても一定基準のもとで規制されている。 2つ目は歴史的文化資源との関係だ。地熱発電所の敷地が温泉と関係しており、「しばしば歴史的文化資源であったり貴重な生物種の生息地であり、その様な式地上での問題は共存できない」との指摘がある。アメリカでは日本と異なり自然公園法や温泉権の問題よりも、国家歴史保存法などの連邦法及び先住民族に対する忠実義務との関係が大きい。 3つ目は手続面だ。地熱発電に係るリースは競売の手続を経て発行されているが、「競売の手続は、地熱資源について集中的に行う開発者のインセンティブを大幅に弱化させてしまう」という問題点が指摘されている。さらに土地管理局だけでなく、農務省林野部、野生生物部、国家海洋大気管理局および国立公園局といった多くの機関が関与している。1つの事柄について様々な機関が手続に関与することによりリースに係る手続が遅滞してしまうことも考えられる。 第2節 日本 1 近時の動向 ここでは日本の地熱発電の現状が書かれている。 日本の地熱資源量は、アメリカ。インドネシアに次いで世界第3位とされているが資源量に対する利用率は約2%の53万kWにすぎない。また、2012年に施行された電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に基づく固定買取制度のもとでも、導入量は認定容量の7.9万kWに対し1万kWと著しく少ない。 2 法規制 ここでは地熱発電事業に適用される法律のうち、日本特有の自然公園方と温泉法について記述してある。 (1)自然公園法 自然公園法は、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的とする。同法により、国立・国定公園内における地熱発電事業は規制を受ける。しかし、東日本大震災の発生後、再生可能エネルギーの利用を促進するために、2012年通知により開発規制は緩和されることになった。さらに2015年通知が発出され2012年通知は廃止された。2012年通知においては、特別保護地区と第1種特別地区においても傾斜掘削が認められていなかったが、2015年通知においては第1種特別地区において一部、傾斜掘削が認められることになった。 (2)温泉法 温泉法によると、温泉をゆう出させる目的で土地を掘削しようとする者は、都道府県知事の許可を得なければならないとされている。地熱開発を行う際の掘削も「温泉」を「ゆう出させる目的」であれば都道府県知事の許可が必要になる。2012年3月に定められた環境省の「温泉資源の保護に関するガイドライン」は2014年に改正され許可が不要な掘削の類型化がなされた。これは例示的に列挙されたものであり、個別具体的な事情に基づいて判断することが必要だ。 3 課題 ここでは日本の温泉権についての課題が詳しく記述されている。 一般的な課題は「掘削成功率が低く、開発コストが高い」、「リードタイムが長い」、環境アセスメントや地元調整などに時間がかかる」などがあげられ、これはアメリカに共通するところがある。日本特有の課題は「国立公園問題、温泉問題」が挙げられる。 いかなる場合に、地熱開発が温泉権の侵害となるかだ。福岡高判昭和27年10月25日は、いかなる場合に権利の濫用として掘削行為の差止めを求めることができるのか、その判断基準は必ずしも明らかにしていない。しかし、湯口における湯の直接採取・管理に支障が生じるのは、温泉の湯量の減少または温度もしくは成分への影響によってである。つまり、地熱開発を行うにあたり、源泉や湯だまりに向けた掘削によって、客観的に温泉の油量、温度または成分に看過できない影響を与えたことにより、湯口における湯の採取、管理または利用に支障をきたすと認められる場合には、温泉権の侵害と評価するものと考えられる。そこで温泉権の侵害にならないためには、都道府県知事の許可に加え、適切な地盤調査、湯口から一定の距離を空ける、温泉の採取量に一定の限定を設けることなどが必要になる。 アメリカと日本の現状、課題が比較できたと思う。日米で似ているところもあれば違うところもあったので、良いところはどの様に取り入れるのか、悪いところはどの様にしたらその様にならないのかを考えることが必要だと感じた。 紀要論文 アメリカ合衆国における再生可能エネルギーの普及促進に関する近時の動向と法的課題(2) 2018年11月9日 公開 著者 小林寛

カテゴリー: 新聞要約 | コメントをどうぞ

書評『火山の熱システム -九重火山の熱システムと火山エネルギーの利用-』

本著は江原幸雄が九州大学教授時代に「九重硫黄山」で「噴火予知に代表される火山防災」と「地熱発電に代表される熱エネルギー利用」の研究の成果がまとめられている。 題材は九重火山であるが、火山の熱学的研究の基本的な考えは他の火山にも適用可能である。 1 「はじめに」 この章では九重火山と筆者の火山研究について説明されている。 九重火山は大分県南西部に位置し、九州大学九重地熱・火山研究観測ステーションという教区研究施設があり、九重火山は熱的理解の最も進んだ火山の一つと言われている。 また、筆者は火山を理解し、その成果を人間生活に役立てる研究をしている。 2 「九重火山の地学的背景」 この章では九重火山とプレートの関係について解説してある。 九重火山はプレートの沈み込みに伴って形成された火山というよりも、プレート沈み込み地域背後の地溝帯中に形成されたと考えられている。そして、九重火山周辺の地殻・上部マントルは周囲と比べ高温になっている。 3 「九重火山の形成」 この章では九重火山の地質学的な発達史について解説されている。 九重火山は長期的に見ると最近数万年は大規模な火砕流が発生しておらず、短く見ると最近1700年はドーム状火山体を形成するようなマグマ活動は行われていない。 4 「九重火山のいま」 この章ではデータを元に九重火山の現在の状態が解説されている。 九重火山は約5万年前の火砕流噴火発生以後、地殻上部にあるマグマ溜まりは熱伝導的な冷却が続き、溶融部分は現在、7km程度まで後退している。 また、マグマから分離したマグマ性流体は、深さ2km以浅で、周辺の岩体内に含まれる地表起源の水を加熱、上昇し、気液2相状態および中心部では加熱状態となり、最終的には過熱蒸気として地表から放出され、一部は温泉となっている。 5「1995年噴火」 この章では九重火山の高温蒸気溜まりの消滅の理由が解説されている。 九重火山は1995年水蒸気爆発起きたが、これは1990年から活動を開始していた。その1990年に起きた水蒸気爆発後に大量の地下水が火山体中心部に流入し、火山体内部を冷却させ、蒸気溜りから熱水溜りへと変化した。噴火が発生したことで火山体が冷却されるという奇妙な現象が発生した。 6「火山エネルギー利用を目指して」 この章は火山エネルギーの利用、特に地熱エネルギーについて書かれている。 人類にとって意味のあるエネルギーとは技術的に利用可能で、利用するために妥当な価格であることが最低条件である。その一番典型的なものが地熱エネルギーである。地熱発電は他の発電システムと比較し、ほとんど安定的に発電することが可能である。また、同じ発電設備容量で比較した場合、他の発電システムの数倍多くの電力を発電している。 現在、世界の各国はエネルギー安全保障、地球環境問題から地熱エネルギー利用に積極的だが、日本においては地熱開発の促進が遅れている。また、火山エネルギーの利用は火山活動の制御に貢献できる可能性があり、十分に検討する必要がある。 7「次の噴火に備えて」 この章では九重火山の次の水蒸気爆発活動の発生について解説されている。 8「九重火山における未解決の課題」 この章では九重火山の重要で未解決の問題について書かれている。 九重火山に特有な課題だけでなく、他の火山に共通する課題も記述されている。 この著書であるように日本は火山エネルギー、特に地熱エネルギーについて、潜在能力が高いにもかかわらず、促進が他の国より遅れている様に感じる。なので、他の本で海外の地熱の政策について理解を深め、日本との比較に役立てたいと思う。 櫂歌書房 『火山の熱システム -九重火山の熱システムと火山エネルギーの利用-』 2007年6月1日 発行 著者 江原幸雄

カテゴリー: 新聞要約 | コメントをどうぞ

別府温泉で新規掘削を規制

国内有数の湧出量を誇る温泉地・大分県別府市で、4月から温泉の新規掘削が一部地域で認められなくなる。国の旗振りで地熱発電施設が増加し続けた結果、泉温低下が指摘され大分県が資源保護に乗り出した。市内にはすでに3ヶ所の特別保護区地域があるが、新たにに地域を指定する。指定は54年ぶりだ。全国ブランドの温泉を守る規制に「温泉は別府の命。仕方がない。」と発電事業者から諦めの声が漏れる一方、市内の温泉旅館やホテルは「温泉は限られた資源だと自覚しなければならない」と規制を歓迎した。 2022/3/6 読売新聞オンライン

カテゴリー: 新聞要約 | コメントをどうぞ

地熱発電利用、利害対立が顕在化

鳩山政権は温暖化ガスの大幅削減の柱に再生可能エネルギーの利用促進を据えている。だが導入にあたり地熱開発と温泉産業の調整など利害対立が顕在化する可能性があり、低炭素社会実現のアキレス腱になりかねない。群馬県嬬恋村は08年にNEDOの調査事業に応募したが、温泉枯渇を懸念する草津町の反対にあい、翌年は応募自体を見送った。気象状況に左右されない地熱発電の設備稼働率は約70%と太陽光発電や風力発電より高いが全国で発電能力は50万kW超に過ぎないという。 2010/2/16 日経産業新聞 2面

カテゴリー: 新聞要約 | コメントをどうぞ

日本初の商用地熱発電所 設備の更新へ

日本初の商用地熱発電所、松川地熱発電所が老朽化した設備の更新を進めている。新発電棟は地熱発電の仕組みを紹介する松川地熱館に似た、切り妻屋根のデザインを採用し、新冷却塔は高さ18メートルと小型化を図る。現在の出力は23500kWで、改修後は14990kWに減らし、安定して発電し供給する予定だ。また、同発電所では、使った蒸気を発電後に復水器で水にして蒸気の冷却に再利用しているほか、蒸気を吹き込んで熱水も作っている。その熱水を温泉号の住宅や病院、ビニールハウスの暖房の利用に使われている。 2022/11/10 日経速報ニュースアーカイブ

カテゴリー: 新聞要約 | コメントをどうぞ

中部電力初の地熱発電所 地元温泉地と協力体制

中部電力グループが12月、岐阜県高山市の奥飛騨温泉郷でグループ初となる地熱発電の運転を始める。湯量の減少や泉質・温度変化に対する温泉事業者の懸念もあり、反対運動が繰り広げられる事例が多い。中部電力は熱水を無償供給や、発電所のPR館を整備し、観光客の誘致を後押しするなど、きめ細かな対応で協力関係を築いた。年間発電量は約1400万kW時の見込みで一般家庭約4000世帯の年間使用料を賄うことができる。今後も湯量や泉温をモニタリングする体制を整え、地元との信頼関係を維持することが欠かせない。 2022/10/6 日本経済新聞 地元経済面中部7ページ

カテゴリー: 新聞要約 | コメントをどうぞ

政府、次世代原発の方向性まとめる

政府は年内に原子力発電所の新設・建て替えの方向性をまとめる。経産省は「次世代」や「革新」といった表現を使い、新たな原発の建設を模索する。次世代原子炉は主に5つが想定され、核融合以外は既存の原発のように核分裂のエネルギーを使う。このような設備は欧州ではすでに導入されており新技術ではなく、「本当に次世代と言えるか疑わしい。言葉の『お化粧』ではないか。」との指摘もある。 2022/12/06 日経速報ニュース

カテゴリー: 新聞要約 | コメントをどうぞ

豪州、太陽光発電パネルの販売が高まる

オーストラリアで家庭向け太陽光発電システムへの販売熱が高まっている。世界的な資源高を受けて電気代が高騰しているほか、環境問題への意識向上が背景にある。設備が稼働すれば、日中の必要電力量の大半をまかなえると見込む。豪州は家庭の太陽光利用率が高く、約3割の世帯が導入済みで、ここにきて引き合いが強まっている。朱印は電気料金の上昇だ。石炭やガス価格は24年に高止まりし、電力価格に影響を与えるとの見通しがある。もう一つの要因は、世界的な脱炭素の潮流だ。個人が貢献できる手法の一つが、家庭での太陽光パネルの活用だ。 2022/11/29 日経速報ニュース

カテゴリー: 新聞要約 | コメントをどうぞ

卒論仮テーマ

日本のエネルギーの将来

カテゴリー: 新聞要約 | コメントをどうぞ