【書評】SPRINT 仕事最速術

本書はstartupを行うにあたって、「最速化」こそが全ての最強の解決策である、ことを説いた実践的な解説書である。著者が実際に100回以上の立案に立ち会い、試行錯誤の末に生み出された手法であるため信頼性の高い一冊といえる。

本書の説明の前にそもそもSPRINTとは何か。端的に示すと「5日間缶詰めになって(月〜金の10:00-17:00)、5日間でプロトタイプを作成・テストすること」である(前回述べたリーンスプリントとは別物であることに注意されたい)。たった5日間で事業化の可否を判断することができるのだ。
従来の立案方法としては、失敗を避けるため慎重に取捨選択をし数ヶ月をかけて完成させる。しかし、この方法では数ヶ月経ってから(特に完成間近が多い)欠陥が見つかり断念せざるを得ない状況へと変貌、コストも時間も無駄にすることが多かった。この方法論を一新させたのがSPRINTである。とりわけ、startupは時間もコストも制限されていてその中でやりくりしなければならない。それ故、この手はstartupにとってこの上ない方法論だといえる。
数ヶ月やっても失敗することが多々あるのに5日間でどうにかなるのか。誰しもが思うことであるが、その仕組みが本書に記載されている。
本書は「下準備」と「月曜」から「金曜」の全6部で各曜日にやることが事例とともに書かれている。下準備として問題の洗い出しを行い、月曜日に問題を明確化、火曜日にアイデアをスケッチ、水曜日に絞り出しを行い、木曜日にプロトタイプをつくり、金曜日ユーザーテストする。行うことはこれだけで巻末にはチェックリストがあり読者がSPRINTを今すぐに使える仕組みとなっている。

経営戦略、イノベーション理論、デザイン思考など様々な分野を組み合わせられていて大学講義の集合体であった。この方法論を用いることでリスクの予測が明確にできるようになり、たとえそのスプリントが失敗に終わっても新しいアイデアが出ることがほとんどだという。失ったのは5日分のコストだけであるから費用対効果は抜群であろう。
学生に向けた著書ではないものの、5daysのインターンによく行われる新規事業立案ワークなどでは大活躍しそうだ。本格的にstartupを望む現在、リスクに囲まれた私を一新させてくれるのは本書かもしれない。

SPRINT 仕事最速術

ジェイク・ナップ/ジョン・ゼラツキー/ブレイデン・コウィッツ

2017年4月 ダイヤモンド社

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