【書評】ショッピングモールの法哲学

首都大学東京の法学系准教授である著者が「公共性とは何か?」というテーマについての論文に加筆修正を施したものである本書は、第一部「郊外の正義論」第二部「公共性概念の哲学的基礎」から成る。第一部では公共性の象徴としてショッピングモールがあるとして、世界的な規制緩和の潮流で「大規模小売店法(以下:大店法)」が改正され「まちづくり三法」が成立した話、第二部では哲学者カントが提唱する公共哲学について書かれている。
1973年に制定された大店法によってスーパーマーケットや百貨店の出店は規制されていた。しかし1980年代から先進諸国で相次ぐ「小さな政府」への潮流が始まり、1989年から行われた「日米構造会議」を契機に大店法は国際的な改正圧力を受けた。その結果、1998年に「大店立地法」「中心市街地活性化法」の制定、並びに「都市計画法」の改正が行われ、所謂「まちづくり三法」が成立した。それによりショッピングモールは出店規制から解き放たれ、日本郊外に続々と展開していった。しかし規制が極度に緩和され、特に土地利用に関する規制が極めて弱いと分かり2006年に「まちづくり三法」は改正された。ただ、規制強化の直前に駆け込み着工ラッシュが起こり、またショッピングモールが増えたという。
カントの公共哲学については正直な話、訳がわからず活字をただ追いかけるだけになってしまった。
ショッピングモールについて経済的な面ではないところから学ぼうと読み、法との関係については知識を増やすことができたと思う。哲学的な話は知識がないと読みづらいと感じた。知識を増やして再挑戦してみたい。

ショッピングモールの法哲学

谷口功一、白水社、2015年

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