【書評】アマゾンが描く2022年の世界

【著】田中 道昭    2017年 PHP研究所

本書はアマゾンが世界に対し、どのように影響を与えていくのか、アマゾンがこれから行っていく戦略とは何か、ジェフベゾスは真の顧客第一主義なのか、宇宙事業、アリババとの比較、アマゾンに対する批判や、日本はどのようなビジネスを展開していくべきか、などについて解説されている。5ファクターメソッドというフレームワークや、4階層分析(国家・産業・企業・人)を用いて分析し、それらに基づいて話が進んでいく。

アマゾンはAWSというクラウドコンピューティングサービスで世界シェア一位であり、アマゾン全体の営業利益の74%を占めている。「アマゾンは利益をためこまず、顧客に還元している」と言われるが、正確には「AWSであげた利益を他の事業に回している」という構造であることがわかった。

また、2000年に航空宇宙企業「ブルーオリジン」を創業、2015年には初飛行を成功させ、2018年には顧客を乗せた宇宙旅行を実現させようとしている。AWSが地球観測データやそれを扱うプラットフォームを宇宙事業、都市計画、災害復興、農業や林業に携わる企業に提供し、すでに収益化している。

無人コンビニ「アマゾン・ゴー」の展開や「ホールフーズ」の買収により、本格的にリアルな世界に進出しようとしているアマゾンの影響力が大きくなるほど、CSRでの問題点(個人情報の取り扱いや経済の衰退など)が注目され、批判が高まっているという現状を知ることができた。

今まで読んだ書籍と重なる点が何箇所かあったが、本書は具体的な数字を用いて、より深く解説しているように感じた。またアマゾンに対する批判や問題点も解説しているため考えさせられた。

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