FinTech入門〜テクノロジーが推進する「ユーザー第一主義」の金融革命〜

API・PFM・ブロックチェーン…様々な専門用語が一般誌を飾るようになった昨今、それがなにを意味し金融革命の一端とされているかを解説した入門書。3部構成の本書では第1部にFinTechの基礎概念の説明、第2部ではFintechをそれぞれの業界に分類し、業界ごとにFintechがどのような変化をもたらすのか、代表的なサービスを例に挙げ、第3部においてそれらを用いた未来の金融を推測している。今のFinTechをFinTech2.0と題しこの背景にはコストの低下、スマートフォンの普及、そしてユーザーの変化があると述べる。金融がブラックボックス化されていたのは過去の話でありスタートアップが前進させるFintechによって「アンバンドル化」が進んでいるのが金融の現状である。「所有」から「共有」の時代へと進む現代において、お金以外で価値の交換が可能となる未来への架け橋になること、Fintechという言葉が消える日が来ることを目指して技術はより進歩していく。

前述の通り「The・入門書」との印象を受けた。これからFintechを学びたい人に向けた具体的でわかりやすく背景や実例を解説した本であった。著者がマネーフォワードCEO・辻 庸介氏ということもありマネーフォワードの宣伝本かと最初は思ったが、多方面の企業が紹介され業界の分類が的確になされていた。独学でFintechを研究する私が今回得られたことは、分類された業界内でトップに君臨する企業名とその企業の背景に関することに限られてしまったため若干の物足りなさを感じたが、この先論文を作成するにあたっての土台としては十分な基礎的知識の盛り込まれた1冊であったので参考図書として常備しておきたい。

FinTech入門〜テクノロジーが推進する「ユーザー第一主義」の金融革命〜
辻 庸介・瀧 俊雄
2016年 日経BP社

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