書評 アマゾンと物流大戦争

本書は、Amazonが成長した理由をロジスティクス(物流合理化手段)という観点から論じたものである。

Amazonがなぜ書店から始まったのかという着眼点をきっかけに、物流の見地から概略を説明している。また楽天が没落した理由をロジスティクスの側面から解説した。筆者曰く、ネット通販には、総合ネット通販とモール型ネット通販がある。Amazonは総合ネット通販で楽天はモール型ネット通販である。総合ネット通販は、入荷から出荷までを自社で行う。モール型はネット通販会社の集合体であり、メリットは各店舗が物流機能を担うため物流センターへの投資が必要なく、立ち上げのスピードを速くすることができることである。デメリットは物流品質のバラツキ、規模の経済が生じない点、客にとって利便性が悪い点(配送料がそれぞれかかるなど)が挙げられる。Amazonは優れたロジスティクスを構築することにより削減された物流コストをマーケティングにではなく物流へのさらなる投資と商品の価格削減のための施策につぎ込んでいる。

楽天はロジスティクスを短期的なコストだと考え、Amazonは長期で構築する投資だと考えたところに決定的な違いが現れたのだと感じた。具体的な数値を示した図やグラフでの説明よりも筆者の予想や勘が多いように感じたが、物流に関する本は初めてだったので読みやすかった。

 

アマゾンと物流大戦争  角井 亮一 2016 nhk出版新書

 

 

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