群衆の知恵(と狂気)要約

〈モナリザ〉が急激に人気を博したのは20世紀になってからであり、きっかけは一件の盗難事件だった。これは〈モナリザ〉を新たな形で世に知らしめた。多くの人々はみな、〈モナリザ〉を自分の名声を高め、意味ありげな目印にするために利用した。〈モナリザ〉は利用されるたびに西洋文化の骨組みと何十億もの人々の意識に深く浸透していった。そういう意味では〈モナリザ〉は絵画の最高傑作であるが、その比類なき地位を絵そのものが持つ何かに帰することは不可能である。我々は芸術作品をその特質に基づいて評価しているように思えるが、その反対のことをしている。まずどの絵が最高かを決めた上で、その特質から評価基準を導き出しているのだ。これがもたらすのは循環論法である。

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