ゲームはサプリになるか

産業界からのゲーム研究 ー「ゲームの処方箋」プロジェクトへの取り組みー

この論文では、世間に根強く存在する「ゲームが子どもの発達や脳に悪影響を及ぼす」という批判(ゲーム悪影響論)に対し、ゲームメーカーであるバンダイナムコグループなどが科学的根拠を持って反証し、ゲームの「人間にとっての良い影響(効能)」を証明しようとした産学協同研究の報告である 。早稲田大学こどもメディア研究所などと連携したこのプロジェクトは、ゲームを適切に遊ぶための「処方」を科学的に解明し、日常生活においてゲームが「サプリメント」のような役割を果たすための知見を得ることを目的としている 。

第1期の実験・研究では、すでに新規性と有効性の高い成果が得られている 。心理的効果の検証においては、レースゲーム『リッジレーサーズ』のプレイ後に活気が向上し、パズルゲーム『ルミネス』ではストレスが低下する傾向が確認されたほか、『パックマン』を用いた実験ではプレイヤーの視覚的注意機能(実効視野)が向上する可能性が示された 。また、医療や教育現場への応用として、ADHDや発達性難読症(ディスレキシア)といった軽度発達障害児を対象とした調査も行われており、子どもの症状や特性によって選ぶゲームのジャンルに顕著な傾向が見られることや、立体ディスプレイを用いた識字学習ソフトが有効に機能することなどが検証されている 。

さらに、ナムコが20年以上にわたり継続している福祉工学分野への応用(リハビリテインメント)も大きな成果を上げている 。高齢者が運動機能の維持・回復を目的として、仕様を一部改変し、音楽療法士の協力を得て開発された『太鼓の達人RT』なども含め、ゲームが持つ「遊び」の楽しさは、リハビリテーションの継続性を高め、生活の質(QOL)の向上に貢献することが示されている 。

プロジェクトはすでに第2期へと進んでおり、今後は調査対象となるゲームソフトやデータの属性を増やすことで、個人の気分や体調に合わせた「ゲームのソムリエ評価」の確立を目指している 。また、特定の心理効果と科学的根拠をあらかじめ持たせた新しいゲームソフトの共同開発や、子ども向けの「遊育施設」の共同開発なども計画されており、ゲーム産業界のみならず、教育や福祉といった幅広い分野へのさらなる社会貢献が期待されている 。

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