財務省が3日発表した法人企業統計をもとに算出した大企業の2023年度版労働分配力は、38.1%と1960年以降、過去最低だった。23年度は高い水準で賃上げが行われたが、それ以上に利益の伸びが大きく労働分配力の低下につながった。労働分配力の低下は、中小企業も同じ傾向にある。賃金は物価の上昇の動向や企業の利潤水準に対して遅れて決まる傾向があることや深刻化する人手不足の影響から、労働分配力は下げ止まると指摘される。しかし、基本給の底上げは退職金や社会保険料負担の増加につながるため、企業は慎重な姿勢を崩せない。
2024,6,4 日本経済新聞 経済