書評「決定版 5G: 2030年への活用戦略」

総務省にて、広く情報通信・ICT行政に携わり、2018年4月から2019年7月まで携帯事業者への周波数割当てやローカル5Gを含む日本の5G推進戦略を担当する片桐 広逸氏による著書。
いまだ身近そうでまだ手の届かない印象のある5G。この5Gは、今までの携帯電話や移動通信と何が違うのか。新たに手に入れた技術を何のために使い、どう使いこなすのかを解説する。

第1章「5Gとは何か 携帯電話40年の集大成」では、初めに5Gとはいったい何であるかを詳らかにし、我が国衙5Gに対して持つ強みや課題にに触れつつ、我が国での5G展開の狙いや方向性について触れている。
第2章「5G周波数割当ての狙い」では、5G周波数割当ての狙いや結果の概要について説明し、総務省の制度設計や政策の含意について、読み解き、政策的な狙いを解説している。
第3章「「静かなる有事」とsociety5.0」では、5G利活用の本質とともに、現愛我が国衙直面している数々の経済社会上の問題について「静かなる有事」と「society5.0」というキーワードを用いて5Gを活用した新ビジネス創出や地域課題の解決が、いかに深刻であるとともに必要なことかを解き明かす。
第4章「5Gの利活用に向けた総力戦」では、政府や携帯事業者が先導的に推進している5Gの利活用の動向について説明しつつ、今後10年間で早期の実現が期待される各種ユースケースのイメージを示している。
第5章「誰でも使えるローカル5G」では、全国をカバーする大手携帯通信事業者とは別に、小さなエリア単位でだれでも手軽かつ柔軟に5Gサービスを提供できる新機軸である「ローカル5G」の導入と、その意義やスマート工場などの代表的な利活用方法例、政府の支援等について紹介する。
第6章「持続可能な2030年の未来社会に向けて」では、企業、自治体、大学等の研究機関、通信事業者、ベンチャー、地域団体、NPOなど「垂直セクター」と呼ばれる利活用分野の当事者、地域住民などの関係者が、どのように手を結び5Gと向き合うことで利活用方法が広がっていくのかについて考察されている。

本書を読んで、5Gがより身近なものとなり、生活を支えるインフラになることを確信させられた。技術を利用する立場からではなく、政策として普及させる立場の見解であったことから、5Gによる地方創生、産業・社会再生など認知していなかった新たな使命を知ることができた。本書でも活用事例は多く掲載されていたが、今後より一層具体的な活用例、実施例などを調べていき、5Gの可能性について見識を深めていきたい。
「決定版 5G: 2030年への活用戦略」 片桐広逸 東洋経済新報社

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