香港、教育制度を見直し、愛国教育へ

香港政府は大規模デモや香港国家安全維持法の施行を受けて、教育制度の見直しに乗り出した。自由な発想や多様な見方を養う目的で導入した「通識教育(リベラルスタディーズ)」を縮小し、愛国教育にカジを切る。政治活動への締め付けが教育現場にも及んできた。香港政府は11月、3年間で250時間を確保していた授業時間を半分に減らし、中国本土での視察学習を新たに取り入れる見直し案を発表した。教科書には審査制度を導入し、中国の発展や国家のアイデンティティーを重点的に学ぶ。6月末に施行した香港国家安全法は学校への監督強化や「国家安全教育」の推進を掲げている。プロテストソングの演奏を許可した教師や、授業で香港の独立運動を取り上げた教師らが相次いで事実上、解雇された。政府が任意で教科書を点検する仕組みも設け「天安門事件」や「三権分立」などの記述を削除させた。中国当局は自由すぎる教育制度が反中的な思想の素地になったとにらみ、見直しを進めている。
(2020/12/15 日本経済新聞 11頁)5141AB6D-0EF8-4D14-8154-90FF0F981DE3

カテゴリー: 新聞要約   パーマリンク

コメントを残す