卒論 第6章

5章では現在、アニメ産業を発展させるためにアニメクリエイターの労働環境を改善する企業の動きについて紹介した。今までは委員会側とスタジオ側で分かれており、完全にお互いのことを把握することができず、薄給や長時間労働などの問題が起きていたが、アニメ製作を一貫して行うことによって、お互いに意思疎通することが容易になり、お互いが納得するようなアニメ制作の労働環境になるのではないかと考えると言う一例である。この様に製作側と制作側が一つになることによって資金力が大きくなるため、アニメ制作の設備を充実させることができ、作業の効率化を図ることができると共に多くの資金を投じて今までよりも大きなコンテンツを作り出すことが可能となる。つまり、労働環境の改善と強力なコンテンツ制作の2つの要素からアニメ産業を発展させることができるのだ。その例として海外のディズニーが存在する。ディズニーはピクサーや20世紀FOXなどの複数の会社を買収し、現在、ハリウッドで一番大きな総合エンタメ企業となっている。ディズニーは年収も労働時間も申し分なく、労働環境は良好である。さらに誰もが知るようなコンテンツを何作品も制作しているため、コンテンツ制作力も高く、世界のコンテンツ産業を牽引している。

これらの事例を含め、アニメ産業を発達させるには「アニメを企画する製作委員会側とアニメを作るスタジオ側で分かれずにアニメ製作の工程を一貫して行える巨大な総合エンタメ企業を作るべきである」と考える。 具体的にはバンダイやソニー・ミュージックのような既存のエンタメ企業が複数のアニメスタジオを買収し、一つの大きな総合エンタメ企業を設立するということである。

このように、日本にアニメ製作を一貫して行える大きな総合エンタメ企業を作ることによってクリエイターの労働環境も改善されると共にアニメ業界のコンテンツ力も強化され、今後のアニメ産業が発展し続けていくと考えられる。

現在、アニメ産業は10年前と比べ、市場規模は2倍以上拡大し、日本が誇る成長産業の一つとなっている。また、今まで普及していなかった世界からの注目も集まっており、これからもさらにアニメ市場は拡大していくだろう。しかし、アニメ業界の発展の懸念点となっているクリエイターの過酷な労働環境についてはようやく改善の糸口が見えてきたが、業界全体では労働条件の改善は浸透していないため、今後クリエイターが減少し、アニメ自体が作れなくなる可能性がある。これからも高クオリティのアニメ作品を制作し、日本の文化であるアニメを益々成長させていくためにも早急に業界全体がクリエイターファーストの意識をもってアニメ制作に取り組まなければない。

カテゴリー: 新聞要約   パーマリンク

コメントを残す