イノベーションが起こす経済効果 ケーススタディ①

特許権はイノベーションの中でも重要なプロダクト・イノベーション、プロセス・イノベーションを生み出した結果取得できるもので、どちらかのイノベーションの証明的な役割を持つ。この特許権が経営指標に対する影響を調べるため、上場食品企業のなかでB to C事業が売り上げの過半を占める8社を抽出し製品に関する特許権(プロダクト・イノベーション)に関して調査を行った。結果、これらの企業では保有特許権数の増大に従って、売上高営業利益率が増大する傾向がみられ、ROA(総資産利益率)も同じく正の相関がみられた。しかし、総資産回転率に関しては減少する傾向が見られた。製品の特許権は独占権としての側面を持つ。したがって製品価格を高めに設定できるため、売上高営業利益率は増大しやすい。また製品の価格上昇は取引量の減少にもつながるため、総資産回転率が減少したというわけだ。しかし、ROAは利益率に関する指標であるため、特許数が事業利回りを改善した証明であるといえる。

また上記食品企業から一社除いた7社を対象に、生産技術関連の特許(プロセス・イノベーション)のみに絞って同じ調査を行った。結果、同じく売上高営業利益率に正の相関がみられた。また総資産回転率に関しては前者の調査と異なり減少傾向はみられなかった。プロセス・イノベーションはコストカットのイノベーションのため、取引量の向上につながった結果であるといえる。

以上のことからプロダクト・イノベーションとプロセス・イノベーションの二つともに企業の経営指標を向上させる効果があることが分かった。

プロセス・イノベーションが上場企業の経営指標に及ぼす影響とは(世界、米国、日本) | 地域・分析レポート – 海外ビジネス情報 – ジェトロ (jetro.go.jp)

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