卒論6

次に、モバイルゲームについてだ。
モバイルゲームは、モバイル端末をプラットフォームにしたビデオゲームの総称だ。スマート端末さえあれば手軽にゲームを楽しむことができ、内容もカジュアルなものが多いことから、あらゆる年齢層に人気を博している。
その売上は近年目を見張るものがあり、2021年世界ゲーム市場の1803億ドルに対して、その約51.7%(932億ドル)を占めている。

各国の市場について見てみる。
2022/7/29、一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムが2021年(1月~12月)のモバイルコンテンツ関連市場について市場規模調査結果を公表した。
同調査結果によると、日本のモバイルゲームの市場は1.3兆円で、米国の2.4兆円と中国の2.2兆円に次ぐ規模となっており、その日本を挟んで韓国(0.7兆円)、台湾(0.2兆円)とデータが掲載されている。

2019年からの伸びを見ると、米国が最も伸び率が高く、21年の市場規模は対19年比57.8%増となっている。同様にアジアに属する韓国が同49.3%増、台湾が同39.8%増となっていることに対し、日本は同2%増、中国に至っては同マイナス3.6%となっている。

中国は市場規模としては大きいが、伸びで見ると米国、韓国の方が有望だ。
国内モバイルゲーム市場の伸びは比較的鈍化・停滞傾向にあることがいえる。

国内のモバイルゲーム市場は、2021年の売上上位の5タイトルで、全体の約30%を占める売上となっており、これらのタイトルがここ数年の市場を牽引している。
{ウマ娘プリティーダービー(Cygames)がトップの1296億円。次いでFate/Grand Order(917億円、アニプレックス)、モンスターストライク(739億円、ミクシィ)、パズル&ドラゴンズ(523億円、ガンホー・オンライン・エンターテイメント)と続く。}
国内のモバイルゲームユーザーは4231万人で、一人あたりの課金額も約149ドルと世界トップだ。

イギリスの市場調査会社大手のGlobal Data社は、2027年にモバイルゲーム市場は現在の約2倍である2200ドル規模に成長すると見込んでおり、モバイルゲームはゲーム市場において益々立場を強めていくと予想している。

モバイルゲームをプレイする手段として、私達の多くはスマート端末を使用する。そして、モバイルゲームをインストール・動作させるために2つのプラットフォームを使用するだろう。
1つはApp Store、もうひとつはGoogle Playだ。

1.App Store
App storeは、iPhoneやiPadなどiOSやiPadOSを搭載した端末向けのアプリケーションダウンロードサービスである。プラットフォームとしてのカテゴリーとしてはosプラットフォームで、ゲームだけでなくビジネスやエンタメなど多様なアプリケーションが取引されている。ゲームという面でいうと、スマートフォン向けのゲームアプリケーションを提供しているプラットフォームだ。

現状、iPhoneやiPadのアプリケーションを入手する方法は公式的にはApp storeの利用のみである。iOS向けのアプリケーションを探す・手に入れるのであれば原則他に選択肢はない。

収益モデルは手数料課金と月賦課金だ。
App Storeでは外部の開発者の出品を受け入れており、開発者登録と年会費99ドルを支払い、Appleの審査に通過すれば自作のアプリケーションを出品することが可能である。有料アプリケーション(無料アプリの課金も含む)の場合は売上の3割を手数料としてApple側が徴収する。

モバイルゲーム市場におけるAppleのシェアは極めて高く、全体の55%以上にもなると米裁判所が発表している。

開発者側としては、iOSの端末を使用するユーザーに広く自身のアプリケーションを提供することができ、ユーザーとしては審査に通ったアプリケーションが提供されるため安心感があるというメリットがある。

しかし、この審査こそが度々問題になる。
審査プロセスの進度にばらつきがあることや、審査を通過してもApple側の独断で公開を取り消されることもある。2010年ごろからアプリケーションの審査基準が厳しくなり、2021年には42万個のアプリケーションがストア上から削除された。
また、開発段階で特定のブラウザやストリーミングソフトを使用しなければならず技術的な制約も多い。

以上のように開発者側としては、不満に思う点も多く、その不満がとあるゲーム会社との対立に繋がったケースがある。これは後々触れたいと思う。

2.Google Play
Google PlayはGoogleによって提供される、主にAndroid及びChrome OS向けのデジタルコンテンツの配信サービスである。
利用者はアプリもしくはWebから世界中の個人や開発者が開発したアプリを入手することができる。一度購入した・インストールしたアプリはGoogleアカウントに紐付けられ、どの端末に何回でもインストールが可能だ。iOSに対してのApp Storeと同様、AndroidやChrome OSにおいてアプリケーションをインストールする場合、原則Google Playの使用が必要である。

収益モデルは手数料課金で、開発者側からの徴収となる。合計収益が100万ドル未満であれば15%、100万ドルを越えると30%である。
その他4%の割引が適用される場合もあるが、現時点(2022/11/30)でサブスクリプションアプリ現在もなっており、モバイルゲームアプリは対象外だ。

アダルトアプリ等はGoogleの権限で削除されるが、その他マルウェアについてなどの審査は必要最低限でしか行われない。

2014年4月16日、アプリの売上においてゲームがその90%を占めている。

以上、2つのプラットフォームがモバイルゲームでよく利用される。前述した通り、これらのプラットフォームがあることは、開発側にとってもユーザー側にとってもメリットとなる部分は多い。
しかし、iOSならApp Store、AndroidならGoogle Playという構図はしばしば『独占的だ』という見方もされる。

その問題が顕在化した事例を紹介する。

『Epic games vs Apple.google』
この戦いは2020年8月13日、莫大な販売手数料に不満があった「Epic Games」は、自身が開発する大人気ゲーム「FORTNITE」内での課金システムにおいて、独自の課金システムを導入したことで始まる。この課金システムは「App Store」や「Google Play」を経由せずに比較的安価(手数料が約30%→12%となり、その分価格が押さえられる)に課金できるシステムである。同日、「Apple」と「Google」は「App Store」と「Google Play」において、ガイドライン違反で「FORTNITE」を削除した。翌日、「Epic Games」は「Apple」と「Google Play」に対して独占禁止法違反で訴訟を起こしたのである。

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