作成者別アーカイブ: Saki Ota

「結婚後に子どももつべき」6年で激減 

国立社会保障・人口問題研究所が発表した出生動向基本調査で、18-34歳の独身で「結婚したら子どもはもつべきだ」と考える女性は36.6%、男性は55.0%という結果が出た。6年前の調査と比べ女性はほぼ半減し、男性も20%下がった。一方「一生結婚するつもりはない」と答えたのは男性が17.3%、女性は14.6%で男女ともに前回から5%以上の増加で、そもそも結婚を望まない人が増えた。少子化問題に詳しい日本総研の主任研究員は「結婚や子どもを持つことがネガティブに映っているとすれば政府のこれまでの少子化対策は修正を迫られる」という。 22/09/13 朝日新聞 8ページ

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入試で女性差別 東京医科大に賠償命令 

女性を入試で一律に不利に扱う不正があったとして2006-18年度に受験した女性ら28名が東京医科大に損害賠償を求めた集団訴訟で、東京地裁は計1826万円を賠償するよう大学に命じた。裁判長は「性別による差別を禁じた教育基本法と憲法の趣旨に反する」と述べ、慰謝料は受験1年度につき原則20万円が相当とし、本来なら合格していた可能性があった場合については100万~150万円を加えた。医学部の不正入試は18年、文部科学省と東京医大が舞台となった汚職事件をきっかけに複数の大学で発覚し、提訴が相次いだ。 22/09/10 朝日新聞 34ページ  

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性別変更に手術要件 違憲か否か

トランスジェンダーが戸籍上の性別を変えるのに生殖能力を失わせる手術などを必要とする「性同一性障害特例法」の規定が、憲法に違反するかが問われた家事審判で、最高裁は決定を25日に出すとした。申立人は手術を受けていないが、長年のホルモン投与により要件を満たすと主張し、手術の強制は幸福追求権を定めた憲法13条などに違反すると訴える。家裁と高裁は要件を満たさないとして性別変更を認めなかったが、最高裁が規定を違憲と判断すれば、手術なしの性別変更に大きく道が開かれる。 23/10/19 朝日新聞 27ページ

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広島「夫は外、妻は家庭」県調査で賛成増

広島県でも直近約20年間の県政世論調査を見ると、ジェンダー平等への意識は高まっている。しかし県が行うネット調査で「夫は外、妻は家庭」の考えについて、21年度は賛成が24・6%で、反対は55・8%であったのが、23年度は賛成27・6%、反対52・2%となり、2年連続で賛成が増えた。広島大の白川准教授は、この調査の「自分の行動が性別に影響された理由」という質問について、半数以上が「社会一般の意識が変わらないため」と答えたことから、「社会構造のあり方が個人の意識に追いついておらず、結果的に不平等感がただよっているのでは」と話す。 23/10/11 朝日新聞 23ページ

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歴史のなかの女性像

2022年、世界経済フォーラムによるジェンダーギャップ指数の政治分野において、日本は146カ国中139位であったが、さかのぼって古代の倭では女性政治家は珍しくなかった。例えば卑弥呼は巫女ではなく政治・軍事・外交を担う王であった。また古墳時代前半の大型古墳の被葬者は半数弱が女性である。しかし男性優位の律令制の導入は女性の地位を大きく変え、主要官職は男に独占され貴族の女は氏から一人しか官人になれなくなった。現在の研究ではその後、平安時代の9世紀半ばごろになると女性の公的世界からの排除が進むことが明らかにされている。 22/11/26 朝日新聞 25ページ

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賃金や管理職比 男女格差悪化

世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ報告書で、経済分野の日本の順位は146カ国中121位に沈んだ。格差がない状態を100%とする達成率は、経済分野で56・4%となり昨年から4%低下した。経済分野の指標のうち労働参加率や賃金の同等性、管理職比率で悪化した。 政府は男女の賃金格差の開示を企業に義務づける方針を発表しているが、早稲田大の大湾教授は「単純な平均比較では、格差を解消するという望ましい結果になりにくい」と指摘。男女の昇進率の格差や職種ごとの賃金格差など細かい項目の開示を義務づけたり、年齢や学歴が同じ男女間の格差を分析する無料ツールを政府が提供したりすることが求められるという。 22/07/14 朝日新聞 8ページ

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イランの人権活動家 ノーベル平和賞受賞

制限される女性の人権や自由の拡大を訴え続けたイランの人権活動家、ナルゲス・モハンマディさんのノーベル平和賞受賞が決まった。イランでは、女性はヒジャブという布の着用が法律で義務づけられ、かぶらなかった場合禁錮刑や罰金刑に処されることもある。昨年9月、ヒジャブのかぶり方が不適切だとして22歳の女性が逮捕された後に急死し、警察官の暴力を疑う抗議デモが国内で広がった。抗議運動には女性だけでなく、同じ問題意識をもった男性も多く参加した。モハンマディさんはインスタグラムを介し、「ヒジャブの義務は単なる女性の問題ではなく、社会全体の問題であり、専制からの自由や解放の問題なのだ」と訴えた。 23/10/07 朝日新聞 2ページ

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言語もジェンダーレスの波

一部の外国語を習うときに日本人が戸惑う理由の一つである男性名詞と女性名詞に、近年言葉を「中立化」させる動きがある。スペインで最近認知されるようになってきたインクルーシブランゲージは男性形のo、女性形のaをxに置き換えることで男女を区別しない。これを使った書類や役所もある一方日常的に使っている人は少数派で、ブエノスアイレス市は昨年6月、学校教育の場で“x”を使った言葉を教師が教えることを禁止した。市教育局長は、「インクルーシブ・ランゲージ全般を否定するものではないが、幼少期の子どもたちに正しいスペイン語を覚えさせるのは学校の責任である」とした。 23/09/29 朝日新聞 11ページ

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都立高 男女別の定員撤廃へ

都教育委員会は都立高校入試の男女別定員について、現在の中学3年生が受験する2024年春の入試から全面廃止する方針を固めた。都道府県立の共学高校で男女別定員が残るのは全国で東京のみで、同じ高校の入試でも男女で合格ラインが異なり、ジェンダー平等に反すると指摘されてきた。都教委は21年に男女合同定員へ段階的に移行する方針を決定し、緩和措置として性別によらず成績順で合否を決める「男女合同枠」を22年入試で定員の1割、23年は2割設けていた。一方、21年に公表した都教委の試算によると、男女別定員がなくなれば、都立高の男子の合格者は約600人減ると見込まれる。 23/09/10 朝日新聞 30ページ  

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書評「ジェンダーレスの日本史」

肉体の性別とは違う性認識を持つことが尊重されるようになり、性差の壁が崩れてきたことは先進的に見えるが、実は日本の古典文学には男女の境があいまいな話が数多く存在していたことを本書は紹介している。様々な古典作品を通し「伝統的」「日本古来」と思われてきたことの嘘を解き明かす。 第一章 第一章では江戸時代は女性も立って用を足していたことや、十四世紀の絵の中で僧侶と添い寝する長い髪の人は男性であったこと、日本神話の中で子を産む男性神が登場することなどを紹介している。いずれも男女の境目の曖昧さをあらわしており、性への意識が今より緩かったことがわかる。 第二章 第二章では現代日本と比べると昔の女性の方が権力を持っていたことが紹介されている。古墳の副葬品からは、当時の女首長が祭祀だけでなく男同様に軍事・政治も行っていたことがわかった。男女平等だった古代から平安時代において特に貴族社会では家土地に関する相続権は女子の方が強かったとされる。そこには源氏物語からみる結婚の形態が関係している。貴族社会では男が女の家に通い、新婚家庭の経済は妻方が担っていた。このような結婚形態で女子が婚姻によって実家を離れないために、実家=家土地を女子が相続する機会が当然増えるというわけである。しかし戦国時代になると男の地位が高まり女子は相続から弾き出され、その社会的地位も低下していった。 第三章 第三章では夫婦同姓も三世代が同居する大家族も比較的最近のことであり「伝統的」とは言えないと主張している。 第四章 第四章では前近代の日本の離婚・再婚率の高さに関して、女性がお産で死ぬ確立の高さ、平均寿命の低さによる死別の多さといった理由以外に、離婚や再婚が人生においてデメリットとならない、特に女性側に貞操が求められていないという当時の通念が背景にあると考察している。しかし私は現代でも貞操が求められることの方が稀なのではないかと考えた。 第五章 第五章では前近代ですでにLGBTは認識されていたことが紹介されている。古典文学にはLGBT全てが描かれ、特に男色に関してはそれを罪悪視する人を、神に救いを求めて拝む人や一夫一妻を守る人と同列にあざ笑うほど普通に受け入れられていた。 第六章 第六章では平安時代から「女々しい」という言葉が現代と同じ意味で使われ、女々しい男も雄々しい女もいたと書かれている。少し前の日本では男が泣くことを女々しいという表現で否定的に見られることがあったが、平安時代では泣くべきときに泣くことが貴族のたしなみであり理想の大人とされていた。 第七章 七章では全章までに紹介されてきたジェンダーレスな文化の裏にあるデメリットをあげている。例えば通い婚により女の地位が高まるということは、逆に女には経済力を求められるということであり貧乏な女は結婚できない。 ジェンダーレスや夫婦別姓などは、昔からの伝統を切り離していくための多様性に配慮した最近の取り組みだと思っていたが、昔はむしろ性にとらわれていなかったということがわかった。しかし男らしく女らしくが主流の時代にそれがどのようにして移り変わったのかは、戦争によって男性が地位を高めて行ったところくらいでしか述べられていなかったので今度はそこをもっと知りたいと思った。   中公新書ラクレ ジェンダーレスの日本史 著者 大塚ひかり 2022.11.10 発行

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