卒業研究 第4章

第四章 交付金による恩恵

前章では電源三法による交付金制度をみてきたが、この制度は2003年10月1日に法改正された。これによって以前は公共施設の整備などに用途が限定されていたが、整備した施設の維持運営費にも活用できるようになった。さらに改正の大きな特長としては、新たな対象事業として「地域活性化事業」を設け、さまざまなソフト事業にも支援できるようになったのだ。

では実際に交付金を支給されている自治体はどのような暮らしをしているのだろうか。県内には原発が13基と日本で一番保有し、原発銀座とも言われる福井県を例に見ていきたい。2010年度までの37年間に、県内には3461億円の交付金が配当された。そのうち2010年度に配当された金額は約216億円である。そしてその用途としては、子育て支援のための一時預かり施設の運営に300万円、若者のニート対策のためのサポートセンターの運営に500万円、県立高校のパソコン整備に1億円、不妊治療助成などに1300万円などと県民の生活に密着したところに活用されている。また全国の90%を占めている眼鏡産業も1300万円割当てられており、今や交付金なしには成り立たない産業となりつつあるそうだ。

公共施設の整備から県民の生活に密着したソフトな面に至るまで交付金はその地域の人々には必要なものとなっている。現に甚大な被害をだした福島原発事故後、原発を保有している28の自治体に対して行なったアンケートで、「すぐに又はいずれかは脱原発を進めたい」と回答したのは4つの自治体にとどまっている。結果として原子力発電導入を促進させた制度は成功したと言えるだろう。

 

<参考文献>

・よくわかる原子力

http://www.nuketext.org/yasui_koufukin.html#tukaimichi

・眼鏡産業http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/chisangi/megane/meganesangyo.html

・福井県の幸福度

https://www.evernote.com/shard/s66/sh/492cd81a-81f7-426e-8b5f-6643ea82fbc8/5c5ae95fdbbda77766c1ca13bbece341

・NHKによる「原発立地自治体アンケート」の結果

http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/600/87283.html

・電源地域振興センター

http://www2.dengen.or.jp/html/leaf/sanpo/sanpo.html

・資源エネルギー庁

http://www.enecho.meti.go.jp/info/tokubetsukoufukin.htm

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