【書評】M&Aという選択

中小企業向けのM&Aアドバイザリー事業をする会社のCEOである著者は、自身の経験から、企業が生き残るための選択肢としてM&Aがあると述べている。
PART1「日本の中小企業を次世代につなぐために〜M&Aが日本経済を救う〜」では、人口減少や価値観の多様化により、中小企業は後継者不足に悩まされ、内需中心であることから、今後利益を拡大していくことは困難になると予想している。一方で大手企業は、マーケットの拡大のため、グローバル化を急ぎ、M&Aを進めているという。そのあとで中小企業を取り巻くデータを示し、M&Aは、従業員や経営者の思いを引き継ぐために有効的な手段であると述べている。PART2「30分でわかるM&A」では、M&Aとは何かを解説し、中小企業のM&Aで最もポピュラーな形は、株式譲度だという。そして、M&Aを進めるためには、買いたいと思われる会社になること、実際に交渉が進み始めたら情報漏洩に注意することを主張している。PART3「納得!M&Aのケーススタディと成功のポイント」では、具体的な会社名は出ていないが、実際のケースを8つ紹介し、それぞれのM&Aについて、ポイント、メリット、注意点などを解説している。例えば、四国の老舗建設会社A社と、四国への進出を検討していたマンションの大規模修繕やリフォームをする会社B社の間で行われたM&Aの話で、A社は従業員を守ることができ、B社は全国展開を進められたという双方の思いが合致した理想的なM&Aだと紹介している。
前半は、日本経済の状況や予測から中小企業の位置付けを示し、M&Aと絡めた話で、M&Aに対する理解を深められた。一方で後半は、中小企業経営者向けに、M&Aを薦めるような話であった。M&Aについて学び、知っていくほど幅が広いものだと感じたので、卒論に向けては、M&Aの中でも詳しくテーマを絞り、何を主張したいかを考えなければならないと思った。

M&Aという選択 畑野幸治 プレジデント社 2017年

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