鴻海(ホンハイ)によるシャープ買収

2016年4月2日、日本の大手電機メーカーであるシャープが、台湾の企業、鴻海(ホンハイ)の買収により傘下に入ることが決まった。
シャープは2000年代、液晶分野で成功を収め、「アクオス」ブランドなどで売上を伸ばしていた。2009年には、世界最大規模の液晶ディスプレイ工場を大阪・堺で稼働させ、自社ブランドの大型液晶テレビを製造販売しようとした。しかし、時代とともに液晶に対する需要が、高機能なものから低価格なものを重視する傾向に変化した。結果的に、韓国などの海外の同業他社に価格競争で敗れ、大赤字を計上した。そして、赤字を回復させるためにシャープが実施したのは、社員のリストラと不動産の売却であり、目先の資金調達をするための行動でしかなく、根本的な問題の解決はできなかった。このような状況になったシャープは結果的にホンハイに買収されることとなる。
ホンハイは自社ブランドを持たず、下請けとして、電子機器の組み立てをしている会社であり、EMS(Electronics Manufacturing Service)分野では世界トップクラスの企業である。ホンハイは競争が激しい液晶分野で、新技術を磨くのは難しいと考え、経営が悪化していたシャープの液晶技術に目をつけた。シャープの技術、ホンハイの資金力、ホンハイの誇る顧客で、シャープの液晶パネルを復活させる計画で、ホンハイは2011年から大阪・堺の工場を共同経営しており、2012年にはホンハイの会長の個人資産によって、工場を買収した。そして2016年、シャープを買収した。
当初はホンハイのシャープ買収によってシャープの赤字経営は2〜3年をめどに改善していくだろうという予想だった。しかし、実際はわずか1年で黒字に転換した。まず取り組んだのは大幅なコストカット。悪い慣習が続いていたシャープでは、条件の悪い契約や割高な材料費の価格などが経営を苦しめる原因のひとつになっていた。高額なやりとりはホンハイの社長自ら関わるという。この執拗なまでのコストカットが、原価の減少や引当金の減少につながり、黒字転換の一因となった。さらに、従業員の待遇についても見直しを図った。より会社に貢献したりした社員を厚遇するという仕組みにし、新入社員についても専門性を考えて等級を付け、入社して間もないころから一社員としてのやりがいを感じられるようにした。
こうしたシャープの改革の功もあってか、2017年にはシャープの株価が大幅に回復していった。底値は2016年の7~8月あたりの1株1,000円付近であったが、2017年3月決算後の4月には1株5,000円近くにまで回復。2018年7月時点の株価は、2500円当たりを行き来しているが、底値の時期と比べたらだいぶ回復してきている。

https://ma-jouhouhiroba.jp/procmmt_column/20161207/1559/

M&A情報広場by INCGROW鴻海(ホンハイ)によるシャープ買収について
漆山伸一2018年9月26日アクセス

https://www.excite.co.jp/News/economy_g/20180730/E1532531709393.html

exciteニュース シャープが鴻海買収によって復活 経営方針はどう変わった?
結貴2018年10月9日アクセス

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