豚肉が中国の政局を揺さぶる

共産党機関紙・人民日報系の「生命時報」は九月、「豚肉の消費を抑えた方が健康にも財布にも優しい」とする記事を掲載し、読者の反発を招いた。中国は世界一の豚肉消費大国であり、国内の肉類消費量のうち豚肉が約六割を占める。しかし昨夏以来中国で猛威を振るう豚コレラの影響で、これまで大半の豚肉を自給してきた中国の養豚業が大打撃を受けた。国家統計局によると、九月の消費者物価指数は前年同月比3%の上昇。食品全体では11・2%上昇だが、中でも、豚肉は69・3%上昇と突出している。中国政府が環境保護を理由に不衛生な中小養豚農家の廃業を進め、さらに米中貿易戦争の対抗策として豚のエサになる米国産大豆に高い関税を課したことが豚肉価格の上昇に拍車がかけた。一連の政策が裏目に出た形だ。国慶節を何とか無事に乗り切った習近平指導部だが、香港問題は「前門の虎」、豚肉不足が「後門の狼」として中国政局を揺さぶっている。(東京新聞10月25日)
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