書評『QR決済 キャッシュレスの本命はこれだ』

近頃様々な企業がQR決済サービスに参入を試みている。本書では、その中でも主力サービスを比較し、日本のQR決済サービスがどのように発展するのかということが述べられている。
第1章「財布よさらば 脱現金列島」では、QR決済は企業にとっては手数料の削減と顧客情報の獲得という利点があるが、消費者にとってのメリットは世間にまだあまり認知されていないことを指摘し、ポイントやキャッシュバックサービスを展開し「現金や他の決済サービスよりお得」ということを消費者にもっと認知してもらえればQR決済が広がることに繋がると筆者は述べている。また、筆者はLINE Payの個人間送金のサービスにも注目しており、頻繁に使われるようになれば一定の残高が常にLINE Payに残っていることになるのでリアルの小売店で利用してもらえる可能性も高くなると強調している。
第2章「中国が最先端、脱シリコンバレー時代の到来」では、国中でQR決済が進んでいる中国の事例を紹介している。無人コンビニや飲食店、シェアリングサービスなどでもQR決済は活用されており、人件費の削減や売上を伸ばすことに成功していることが紹介されている。
第3章「識者が語るキャッシュレスの未来像」では、日本のキャッシュレス化の課題点や、日本にQR決済を広めるためには何かしらのイノベーションが必要であることが述べられている。
第4章「QRコードをもっと安全に、開発最前線」では、QRコードの偽装による不正を防ぐための新技術が登場していることが紹介されている。
QR決済に焦点を当てて学びたいと思い本書を選んだが、日本のサービスだけではなく中国のサービスについても詳しく学べた。本書を通して、現金派が多数を占める日本でQR決済を浸透させていくためには、日本なりのイノベーションを起こす必要があることがわかった。また、様々なQR決済サービスが登場しているのは良い面もあるが、消費者は混乱しやすく、企業は多くのQR決済サービスに対応しないといけないという課題に目を向けられた。

吉田琢也 著 日経BP社 発行 2018年

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