4章 日本と諸外国の風力発電ケーススタディ② 外国

4章 日本と諸外国の風力発電ケーススタディ② 外国

 4章①では、日本における風力発電の概況を「WIND POWER Group」が持つ「ウィンド・パワーかすみ」を例に取り上げてきた。そこで本章の4章②では、外国の風力発電の概況としてデンマークを例にして見ていきたい。

 デンマークは、再生可能エネルギー利用を世界に先駆けて積極的に進めている。その中でも特に注目されているのが風力発電である。現在、風力発電はデンマークの国内電力消費量の約10%を担うエネルギー源にまで成長し、2030年までにこれを50%まで高める計画が進められている。では、なぜデンマークでこれほどまでに風力発電が普及したのか。それには、2つの理由が考えられる。

 

 

 第一に、デンマークの経済的な要因が考えられる。現在のデンマークでは、風力発電への投資は、税引き後の利回りで5%から6%を確保できる非常に良い案件と言われている。

 例えば600kWの風車3基の風力発電施設を共同所有する際の投資計算を考えてみたい。総業費は合計で2億9千万円。年間見込み発電量は39299000kWh。これを1000kWhを一口(74000円)とする。それを10口所有した場合、初年度の税引き後の利益率は約7%となる。単純に考えてみると、約14年で元が取れる計算となる。我が国日本では、風力発電などの再生可能エネルギーは、地球環境にいいことは分かっていても、コストが高い事や、採算がとれないから普及しないという考え方がまだまだ根強い。

 

 第二に、デンマークにおける風力発電では、個人や共同組合によって所有される割合が圧倒的に多い。デンマークで風力発電を所有するのは85%が個人や協同組合で、電力会社が保有するのは残りの15%に過ぎないのだ。このため、売電収入は地域住民の収入増に繋がるのである。例えば、ユトランド半島北西部のVestervigという町では、人口1万2千人に対して風力発電施設が150基ある。この地域では発電量が地域の消費電力を上回り、売電収入によって地域が豊かになった。これは1つの例に過ぎないが、このような例は数多くある。

 

 本章では、風力発電を積極的に進めてきているデンマークを例に挙げてきた。風力発電は、デンマークでは採算の取れる再生可能エネルギーと考えられ、急速に普及している。しかし、日本ではいまだにコストが高く、採算が取れないという考えが根強い。諸外国と日本を比べ、今後さらに風力発電を日本で広めていくのには、やはり政府の援助を含め、採算が取れる分野であるという考えを広めていく必要がある。

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