【書評】ワンクリック

【著】リチャード・ブラント  【訳】井口耕ニ2012年 日経BP社

本書はアマゾンの創設者のジェフ・ベゾスの半生とアマゾンの成長を述べている。

前半はベゾスの幼少期から就職、後半は、アマゾンの立ち上げから世界最大の通販サイトになるまでを描いている。小学生の頃に初めてコンピューターに触れプログラミングを学ぶ。初めての事業は高校卒業直後に、小学校5年生を対象にした2週間のサマースクール(化石燃料や核融合、スペースコロニーの可能性やテレビ、広告など内容は多岐にわたる)である。16歳になるまで夏休みは祖父が経営していた牧場で過ごし、そこで自存的な姿勢を身に付けたと語っている。プリンストン大学に進学後、物理学からコンピューターサイエンスに専攻を変更。大学卒業後、金融系の企業の転職を繰り返す。株取引のコンピューター化事業の通信部門を担当した時に、インターネットの可能性、特に「本」のEC事業に確実性を見い出し、アマゾンを立ち上げる。その後優秀な人材の採用、莫大な資金調達、顧客第一主義の実現、特許戦略、利益度外視の先進的な経営等、天才的なリーダーシップ&マネジメントを発揮していく。

本書を読み、ベゾスが顧客を最優先にしていることがわかった。今は自動化されている本の情報やレビューだが、創業直後は出版社から情報が得られない場合、アマゾン社員が本屋に足を運び情報をメモしてくるという手間のかけ方には驚いた。今はオンラインショップでは当たり前になっている「カスタマーレビュー」 だが、当時は否定的なレビューを書けることは画期的だった。そこがリアルな書店との差の1つであると感じた。前回の本は物流という大きなものに着目していたが、本書はAmazonユーザーにとって当たり前の機能の成り立ちや実装される経緯について書かれているため興味深かった。

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