地球温暖化ビジネス

概要

木原ゼミでは、2014年3月に横浜で開催されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)会議に関連する新聞記事を学ぶ中で、地球温暖化に伴い新たに発生するビジネスチャンスを研究することとなりました。「地球温暖化ビジネス」についてゼミ生が調査してきた内容を、以下にまとめます。

  1. 異常気象対策グッズ(宍倉)
    地球温暖化によって、洪水・干ばつと言った異常気象の頻度が増えるという学説がある。この環境変化に対する対応は、従来の製品に対する付加価値として新たなビジネスチャンスをもたらしてくれるかもしれない。そんなもくろみを持った新製品を2つ紹介する。
    • 水害対応ミニEV
      東南アジアでは、小型オート三輪(トライシクル)がタクシーなどのコミュータとして活躍しているが、その排気ガスが環境問題となっている。フィリピン国内には現在350万台以上のトライシクルが走っているが、今このガソリン車のトライシクルをミニEVに置き換えるという国家プロジェクトが動き始めている(フィリピンの三輪タクシー電動化への期待)。
      今回、洪水が頻発するタイにおいてもミニEVの普及をすすめるために、洪水時にも利用可能とする、水陸両用機能を備えた新しいタイプのミニEVが開発された。現在の価格は100万円と割高なため普及は困難と予想されるが、将来的には半額程度の価格を目指して開発中であると言う。
    • 干ばつに強い品種の開発
      農業生物資源研究所では、遺伝子組み換え技術を用い、根を地中深くまで延ばすことで干ばつに強い形質を備えたイネの開発に成功した(生物研など、根を深く張れることで干ばつに強いイネを作出)。通常の気候では、従来品種とほぼ同じ収量を得る一方で、干ばつ時の収穫量も通常気象の30%が確保できるという。今後、農業分野においても、干ばつ対応品種の開発が、新たなビジネスチャンスとなりそうである。
  2. 地球温暖化防止策
    IPCCの報告(特に第三作業部会の報告)によれば、温暖化ガス(特に CO2)の削減が、温暖化の緩和の鍵を握っている。 C O2はエネルギー部門と産業部門での排出が顕著であることから、 CO2削減に向けた取り組みは、ビジネスチャンスとしても、或いは社会的責任の履行という観点からも重要である。
    1. CO2節約型「おうち発電」(木村)
      2011年の原発事故後にいち早く再生可能エネルギービジネスに着手したのがソフトバンクだ。
    2. CO2 排出権取り引き(林)
    3. エネルギーファンド(斎藤)
      エネルギーファンドとは、次世代の再生可能エネルギーを促進するために各種ファンドの事を言う。特に、再生可能エネルギー事業に特化した投資ファンドを狭義の「エネルギーファンド」と呼ぶのに、投資対象を包括的な環境事業に関わる企業活動まで拡大したファンドを「SRC( 社会的責任投資)」と呼ぶ。
      SRCには、投資だけで無く寄付による事業の促進活動も含まれている。 その具体例としては投資ファンド型として「おひさまエネルギーファンド株式会社」「株式会社グリーンファンド」、 寄付型として「北海道グリーンファンド」「きょうとグリーンファンド」等が挙げられる。「おひさまエネルギーファンド株式会社」では、目標の年利2%を達成している。
  3. 環境保護に対する包括的な取り組み
    従来の企業活動では、生態系にかかる負荷についての対価を求めなかったため、 企業活動が生態系の破壊につながるケースが多々見られた。地球温暖化に伴う、環境保護の必要性の高まりは、企業活動がもたらす生態系への負荷を算出し、その回復に必要な対価を求める動きとなってきた。
    • 生態系サービスによる環境保護の価格設定(長谷川)
      生態系サービスとは、私達の暮らしを支える食料や水の提供、気候安定など、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵みのことである。国連では、これを「供給サービス」、「調整サービス」、「生息生育地サービス」、「文化的サービス」の4つに分類 し、それらのサービスの受益者が、その回復に対して『PES(生態系サービスへの支払い)』を行う事で、保全が可能になると言う考え方である。
      日本でも、平成15年に高知県が森林環境税を導入し、そこで集められた資金を利用して森林回復に成功した事例などがある(税金による森林環境の保全)。

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