キャッシュレスFUKUOKA(卒論事例研究)

福岡県福岡市は、「キャッシュレスFUKUOKA」構想を掲げ、複数の決済サービス事業者と組む実証実験を2018年6月から2019年3月まで実施した。市が後押しする形で公共施設や商店街、屋台など約300店舗以上でQR決済を一斉導入した。QR決済を導入するに当たって、各施設で割引やキャッシュバックキャンペーンを実施した。
福岡市と手を組んだ決済サービス事業者としては、LINE株式会社をはじめ、paypay株式会社、株式会社福岡銀行、株式会社マネーフォワードなどがあげられる。

キャンペーン例:
・LINE →屋台での毎日半額キャンペーン
・paypay→paypay支払いで全品半額
・YOKA!Pay→薬局や学園祭、マラソン大会でQR決済を導入、割引キャンペーンを実施
・マネーフォワード→カフェにQR決済やクレジットカードを導入
実証実験結果:
・屋台において、現金のみの決済のときは40〜50代の顧客が中心で顧客の7割が観光客だった客層が、QR導入後は決済者の内20〜30代の顧客が72%、福岡県内の顧客が48%になり、新規顧客の獲得に繋がった。(LINE Pay)
・一度利用したユーザーはキャンペーン後も恒常的に利用する。キャンペーンを実施することにより消費購買活動の活性化につながった。(paypay)
・実証実験で福岡市全体でのキャッシュレス化機能が生まれ先進的な都市のイメージがさらに進み、そのことにより加盟店、消費者の前向きな協力体制を得られた。加盟店、消費者共に実際に使ってみたら想像していたよりも操作が簡単で便利だと実感してもらえた。また、割引分が牽引して決済平均単価が上がった。(YOKA!Pay)
・導入から3ヶ月で現金購入者が1.8倍であるのに対し、キャッシュレス購入者は6.2倍増加した。(マネーフォワード)
今後の展望・課題:
・国内顧客だけではなく、Wechat Pay、Alipay連携による海外顧客の拡大
・中小企業への「キャッシュレス・消費者還元事業」の周知強化
・導入後のQR決済を活用した集客ノウハウの提供
・割引キャンペーンが終了した後の顧客管理、リピート促進
・決済データ活用による効果的なマーケティング

実証実験により、福岡においてゆるやかにではあるがキャッシュレス意識が浸透し、新たな客層の獲得や売上増加につながった。キャッシュレス普及のカギとして、新しい決済サービスを使い始める「きっかけ」が必要であり、お得なキャンペーンを実施し人々にキャッシュレスの利便性を実感してもらうことが必須だ。また、利便性向上のためにはQR決済を使える範囲の広さと、施設ごとに最適な決済方法を選べることが重要である。

https://www.city.fukuoka.lg.jp/soki/kikaku/mirai/fullsupport_3.html

カテゴリー: 新聞要約   パーマリンク

コメントを残す