【書評】サブスクリプション・マーケティング モノが売れない時代の顧客とのかかわり方

本書はサブスクリプション型ビジネスを行う様々なB2B企業、B2C企業を実例として取り上げ、その効果的なマーケティングを解説したものである。パッケージ化された商品の販売と違って、サブスクリプションで収益を上げていくには顧客の長期的維持がより重要である。従来のマーケティングのように購入するという判断に導くためのマーケティングではなく、契約後のマーケティングが重要である。著者は本書のpart1~3のなかで、顧客を常に満足させるための「価値の育成」を考察している。
 Part1「サブスクリプション・シフト」では、様々な業界でサブスクリプションへの移行が進む中、どのような条項が生まれているのか、そうした変化がマーケティングにどのような影響を及ぼすのかを論じている。伝統的なマーケティングのセールスファネルとは異なる物であり、顧客がより満足いく経験をできる価値の育成について明らかにしている。
 Part2「価値育成のための戦略」では、価値育成のためのさまざまな戦略を示している。無料お試しなど、ユーザーを契約者に変えるための価値育成の最初の段階で何をすべきかを述べている。
 Part3「戦略の実践」では、part2で述べた戦略の実践法について述べている。契約後のマーケティングをさらに推進するための組織の調整や具体的なマーケティングの進め方について述べている。
シェアリングエコノミーに採用されやすいサブスクリプション方式について知るためにこの本を選んだ。本書の後半は企業がすべき具体的なについて書かれており、あまり参考にはならなかったが、人が本当に求めているのはモノの所有ではなく、利用であることを再認識できた。著者は最後にサブスクリプション・エコノミーで世界は良くなるという楽観的持論を述べている。それはサブスクリプションの成功には顧客のロイヤリティが重要であり、顧客との長期的関係を築いていかなければならず、顧客と価値観を共有しようとする企業が増えていくからだ。倫理的な企業、価値観に基づいて行動する企業が他社よりも優位に立つことができる。そして世界経済が強固になると結論付けている。シェアリングエコノミーによる経済の影響について気になっていたが、顧客にとって、世界全体にとって合理的にはたらくと感じた。シェアリングエコノミーの課題や、負の側面について気になったので調べていきたい。(アン・Hジャンザー著 英治出版 2017 11月)

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