書評 ジャパン アズ ナンバーワン

本書は社会学者である著者が当時優越性に浸りさまざまな問題が起きた自国アメリカに対して、日本の諸制度の中からアメリカにとって教訓となるような優れた面を分析し述べたものである。3部構成で第1部は1.2章、第2部は3章から9章、第3部は10章となっている。なお今回の書評は第1章から4章、そして6章に関するものである。

第1部「日本の挑戦」。第1章「アメリカの「鏡」」ではアメリカが諸制度を再検討していく中で最も良き鏡となる理由をいくつか述べている。西欧諸国にはみられない制度の築き方をしていることや当時アメリカが直面している諸問題は日本もずっと前から抱えてきた事実があることである。第2章「日本の奇跡」では国土は小さく資源も少ない日本が成功した原因を生産性の高さや好学心の衰えない性格など様々な観点から述べている。

第2部「日本の成功」。ここでは2章で述べられた日本の成功要因を一つ一つ具体例をあげて説明している。第3章「知識」では日本の成功の要因の一つとして集団としての知識の追求があるとしている。日本はいつでも何かから学ぼうとする気持ちが強く、アメリカにはあまりないことであると比較説明していて、その具体的な例をスポーツの強化方法や企業の情報収集戦略などから説明している。第4章「政府」では日本政府が現代社会の直面する諸問題を他国よりもうまく解決できた理由をアメリカと日本の政府の役割の違いを比較しながら、官僚は企業の長期的発展を助けるための政策を遂行しようとしてきたことや、企業と友好的な関係を築いていることが大きいとしている。第6章「大企業」では日本的経営方法の起源を説明した上で日本の長期的展望に根ざした終身雇用や年功序列によって生み出される企業への帰属意識が会社内の良好な人間関係や成功につながっているとしている。

途中までしか読めていないため全体的な感想は述べられないが、1979年当時の日本の成長要因を知ることができたと思う。昔ながらの日本的経営の雰囲気を知るという視点で見るとその経営方法が生まれた理由とその効果が6章で述べられており私が求めていた社内の雰囲気は終身雇用・年功序列が一つ生み出す要因としてあるということがわかった。

ジャパンアズナンバーワン エズラ・F・ヴォーゲル著 1979年初版

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