書評 アマゾンエフェクト

本書は、日本で初めてアマゾンエフェクトを受けたと自負する筆者が、デジタルシフト危機の背景や対処法を述べたものである。

1章「アマゾンショック日本に押し寄せる」では、4つのショック(アマゾンショック、クラウドショック、AI,Iotショック、教育ショック)を紹介。
2章「アマゾンに対抗できるのはどのグループか」では、アマゾンエフェクトを受けた一例として、トイザらスの倒産とホールフーズの買収を取り上げる。アマゾンは顧客を「ライフタイムバリュー×アクティブユーザー数」で捉えているのに対し、セブンイレブンは「客単価×客数」と捉えているとし、この考え方ではネットの世界では成功できないと述べた。
3章「デジタルシフトの本質はなにか」では、世界がデジタルシフトに向かってる理由を具体例を用いながら説明。デジタルシフトとは、人々が『時間』『距離』『量』『方向』の制約から開放されることだと定義した。また、ネットファースト思考からカスタマーファースト思考に突入しつつあるとし、ネットとリアル、Eコマースとリアル店舗がシームレスに融合するのがオムニチャネルの最終形態と述べている。
4章「取り残される日本企業」では、他国に比べてコンピューターサイエンスの教育が遅れていることを危惧し、日本企業と米国企業のIT投資の違いを説明した。
5章「業務改革でデジタルシフトの波に乗る」では、デジタルシフトの取り組み方を、筆者自身の経験を交えながら説明した。

筆者は、富士通でSE、ソフトバンクで営業、Eコマース事業を立ち上げ、セブン&アイ傘下に入るなど、多くの経験をしたため、ITを取り巻く現状を分析できていると感じた。しかし、後半はアマゾンの話は出ず、セブン&アイグループで、CIOとしてオムニチャネル(オムニ7)の導入に携わった筆者の回想になっていた。

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