【書評】東京ファッションクロニクル

「東京ファッションクロニクル」著者 渡辺明日香 発行 2016/8/25
この本は第一部では1950年代から2010年代までのストリートファッションの歴史を、当時の写真と共に説明している。第二部ではストリートファッションに用いられてきたファッションアイテム、ヘアスタイル、アクセサリーなどの時代を象徴するものをイラストと共に説明している。パリのファッション・ウィークに代表されるようなコレクションや、あるいはアパレルメーカーやブランドが市場の流行を意図し組織的に提案するファッションであるのに対し、ストリートファッションは主に若者たちが集う街から生まれる「いま・ここ」のファッションである。1950年代戦後のストリートファッションは欧米、とりわけアメリカ文化の模倣から生まれた。焼け野原となった街の復興には、活動的な洋服の着用は利点が多く、これに戦後の洋裁ブームも相まって洋装化は発展する。街とファッションがこれほどまでに劇的に変化したのは、前代未聞のことであった。私たちは戦後70年の間に過度の産業化に邁進し、その究極段階としてのファストファッションを登場させるに至りファッションの均質化が生じた。インターネットという新たな舞台でファッションが展開される局面も生まれている現在、流行のファッションを誰もが入手可能になったことで、逆説的に、流行=ファッションの図式に終止符が打たれようとしている。それがストリートファッションの変容を70年間通してみてきたなかでの、ひとつの結論である。

今回は日本のファッションの歴史を知りたかったため、この本を読んだ。時代の背景と合わせてファッションが移り変わっていくのをストリートファッション写真と共に説明されていたので、各時代を想像しやすかった。ファッションアイテムは、軍服由来、スポーツ競技服由来、セレブ由来などそれぞれに由来と変遷があり、これらのアイテムが組み合わされてストリートファッションを形成してきたことも想像できた。今後は、繊維素材の進化によって生まれたファッションについて研究する。

カテゴリー: 新聞要約   パーマリンク

コメントを残す