2015/09/12 日本経済新聞 朝刊
原発から20~30キロ圏で指定された「緊急時避難準備区域」は2011年9月末に解除されたが、4年たった今も帰還の動きは鈍い。特に若い世代が減り、街の衰退を懸念する声があがる。住民の約9割が避難準備区域に住んでいた福島県川内村。現在の人口は約1600人と、原発事故前の55%にとどまる。南相馬市原町区は事故前の87%に当たる約4万1千人が住むが、区内の小学校の児童数は事故前の半分程度だ。廃炉や除染に携わる作業員と住民とのあつれきも課題。広野町では町内のホテルなどで暮らす作業員が3000人以上と、町民約2200人を上回る。町は昨年10月、警察や東電、除染業者などで構成する「安心・安全ネットワーク会議」を設立。町の担当者は「住民との共生を図りたい」としている。