消えゆくお国なまり

1982/05/07  日本経済新聞 朝刊 23ページ

福島県・保原町は新幹線停車駅の福島市から約十キロ。「方言のよく残っている地域」として、国立国語研究所が四十五年に、この町で実態調査を実施した。「ばっぱちゃん」祖母を表すこの言葉を、当時、60歳以上で67%、40歳代で63%、20歳代でも18%の人が口にしていた。「今じゃ、お年寄りのごく一部で使われているだけ」と郷土史研究家で同町助役の滝沢良夫さん。テレビ・ラジオの普及、明治以来の標準語こそ正しい言葉という学校教育、そして交通網の整備に伴う人の往来。この三つが、各地方に残るお国なまりをしていく。「新幹線が来るからといって、口にしなくなっては、町の歴史や文化の否定にもつながる」と滝沢さん。

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