地熱発電の仕組みと動向 要約

地熱発電は気候、天候、昼夜問わず安定して供給が可能な再生可能エネルギーのため、設備利用率が、風力20%、太陽光12%に対し70%と突出している。また、エネルギー密度が高く、ライフサイクルCO2排出が非常に少ないエネルギーである。
地熱発電には2種類の方式がある。地下から蒸気と熱水の混合流体を気水分離し、蒸気のみをタービンへ導いて発電するフラッシュ方式と、沸点の低い媒体を熱交換させ、その蒸気でタービンを駆動し、発電するバイナリー方式だ。フラッシュ方式は地熱流体の一部を大気に放出するのに比べ、バイナリー方式は地熱流体のほぼ全てを地下へ還元する。

この5年での設備容量の増加が大きいのは、インドネシア、ニュージーランド、ケニア、トルコだ。国が地熱発電を伸ばすことを明言し、積極的に取り組んでいる。
一方の日本は世界第3位の地熱資源ポテンシャルを有しているが、全世界の地熱発電設備容量12,635MWの約4%を占めるに留まっている。日本の地熱発電所は1966〜1999年の間に多くが建設され、2000年以降は大型の地熱発電所は建設されなかったが、2015年に菅原バイナリー発電所が運転され、山葵沢地熱発電所の建設が進められている。
2000年以降の停滞の背景に、経済性の問題、自然公園法による規制、既存の温泉業者との共存の実現が課題として挙げられていた。
経済性の問題は2012年に施行した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」により、買取価格が定められ一定の解決が図られた。またエネルギー庁のもと、地熱発電の普及・開発促進のための予算が組まれている。
自然公園法による規制に対して、2015年には2012年に通知されたものを上書きする形で環境省通知が発行され、規制緩和に進んでいる。
既存の温泉事業者、住民からの温泉への影響や地熱発電の安全性に対し、環境省は従来からある温泉資源の保護に関するガイドラインを地熱発電の掘削に適用するために、「温泉資源に関するガイドライン(地熱発電関係)」を2012年に通知した。一方、FITの導入とともに規制緩和が進んだことから、温度が高すぎる温泉や豊富な油量を活用し、温泉発電と呼ばれる小型発電設備が計画されている。

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