世界の地熱発電設備の動向 要約


この論文はWGC2020+1の各国の論文等の情報を集約してあり、国別・世界全体での発電所数や発電方式を分析してある。その次に各発電ユニットの導入年情報や10年ごとの発電方式の変化、現在の国内メーカーシェアの推定をし、将来展開が考察されている。


10基以上の地熱発電ユニットを持つ国について比較している。日本の地熱発電所数は71、ユニット数は82であり、米国の84と176に次いで多い。しかし、日本の平均設備容量はドイツ、中国に次いで小さく、日本(6.707MW)より大きい国はいずれも25MW以上である。中でもインドネシア(190MW)の設備容量は2位のアイスランド(75MW)の2倍以上あり突出している。
設備容量に占めるバイナリー発電の割合については、近年成長著しいトルコが80%、ドイツを代表に2000年以降に地熱開発を始めた非火山国では100%バイナリー発電という国が多い。
国土面積あたりの地熱発電所数については10,000㎢あたりの地熱発電所数は1位が日本(1.88)、2位がイタリア(1.13)3位がアイスランド(0.97)で日本は最も身近に地熱発電所がある状態だ。

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2020年までに導入された累計の地熱発電設備の容量は世界合計で15,945MW、ユニット数は838である。そのうち稼働中のユニットの設備容量とユニット数はそれぞれ15,067MW、680である。
累計設備容量はシングルフラッシュ発電が40%、バイナリー発電、スチーム発電が約20%ずつであるが、ユニット数ではバイナリー発電が約50%でシングルフラッシュ発電は30%弱となっている。
地熱発電ユニットの導入年代を1990年以前、1991年から2020年を10年ごとに分け発電方式の変遷を調べたところ、ドライスチーム発電とダブルフラッシュ発電はほぼ横ばい、シングルフラッシュ発電は緩やかに増加、バイナリー発電は近年増大している。
発電方式別の新規ユニット数については、バイナリー発電が近年著しい変化を見せている。また1990年当初に主流であったダブルフラッシュ発電、ドライスチーム発電は大きく衰退している。シングルフラッシュ発電は長期的な傾向は不明瞭だが、直近では増加傾向にある。
世界的にドライスチーム発電、ダブルフラッシュ発電が可能な地熱地域の新たな開発候補地は乏しい。そのためより低温でバイナリー発電に適した地域の開発に移行している。
また、1990年代に各国で電力会社民営化等の影響で2000年以降、地熱開発が鈍化した国や地熱がまだ進行していない国もあったため、2001〜2010年は新規設備が少ない。


2005〜2015年の間に導入されたタービンに関してフラッシュ発電(ドライスチーム発電含む)の日本メーカーのシェアは81.8%だが、バイナリー発電ではわずか0.2%だ。地熱タービン全体としては50.7%である。
2011〜2020年における日本メーカーのシェアについて、シェアがその後も変わらないと仮定すると、ほぼ40%と推定されている。
バイナリー発電が今後増加していくと考えられるので、バイナリー発電設備の製造を強化しない限り、国内メーカーのシェアは減少し続けることが予想される。

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