高齢者市場についての現状調査

以下の参考文献に基づいて、高齢者市場についての現状調査を行った。

参考文献:日本政策金融公庫 調査月報10「高齢社会に潜むビジネスチャンス」前田展弘 2019年8月

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tyousa_gttupou_1910.pdf

・高齢者市場の規模
高齢者市場の規模は2012年の段階で100兆円に達し、以降毎年1兆円以上の規模で拡大していく見通しにある。日本の高齢者人口が現在約3500万人であるのに対して、2030年の世界の高齢者人口は約10億人に達する見通しだ。日本国内の市場で成功できれば、世界で飛躍的な発展につながる可能性がある。

・高齢者市場の特徴
高齢者は健康状態、経済環境、家族構成、経験やキャリア、価値観に至るまで多様である。そのため高齢者市場は「多様なミクロ市場の集合体」といえる。

そのうえで前田氏は、高齢者市場は「1:8:1」の割合で三つの市場に分けられると説明している。
両端の1割の市場は、高齢者の一部を占める「裕福な富裕層向けの市場」と、一方で他者のサポートを必要とする「虚弱な高齢者向けの市場」である。残りの8割が「普通の高齢者市場」で、この「普通の高齢者市場」はニーズが他の2つの市場と比べて顕在化しにくいという点で、開拓の余地が非常に大きいと前田氏は述べている。

・高齢者市場の開拓視点
前田氏いわく、高齢者市場を開拓するには以下の三つの視点から考えていくことができる。

①高齢者を「活かす・導く」視点
②高齢者の「QOL」の向上に貢献する視点
③安心で活力ある「高齢社会を築く」視点

特に、①高齢者を「活かす・導く」視点は、高齢者の活躍ニーズやライフデザインニーズに対応している。これは高齢者を貴重な社会資源として捉え、彼らのセカンドキャリアをコーディネートまたはサポートする事業をイメージしている。具体的には高齢者の就労環境整備(軽労技術)や労働力合成技術開発などがこれにあたる。

・まとめ
この文献を読み、高齢者ビジネスの市場が拡大している現状と、多様なニーズで構成される高齢者市場の特徴について知ることができた。前田氏が取り上げた開拓視点のなかで①高齢者を「活かす・導く」視点というのが、まさに私が書評で示したアクティブな高齢者を支えるIT技術を推進するものであった。しかし具体的な事例については触れられていなかったので、やはり実際にIT技術が働く高齢者にとって有効に働いているケースを調べていく必要があると思う。

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